【8233】髙島屋/3Qまで想定超も上方見送り、冬ボーナス満額近く財務も余裕残しか。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8233】髙島屋(東証1部)  NT


現在値 846円 PER--.- PBR0.35 2月配当優待 8月配当優待

東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポールSC店と東神開発寄与大。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計24円で、配当利回りは2.84%となります。

髙島屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末・8月末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が3人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した場合における配当優待利回りは、およそ約5.20%となります。

業績を確認していきます。

■2017年2月期 売上高 9,236億円、営業利益 340億円 EPS 119円 

■2018年2月期 売上高 9,495億円、営業利益 353億円 EPS 135円

■2019年2月期 売上高 9,128億円、営業利益 266億円 EPS 94円

■2020年2月期 売上高 9,190億円、営業利益 255億円 EPS 93円

■2021年2月期 売上高 6,820億円、営業利益▲180億円 EPS▲218円 ce

□2020年8月2Q 売上高 2,973億円、営業利益▲102億円 EPS▲139円 
□2020年11月3Q 売上高 4,798億円、営業利益▲105億円 EPS▲146円(12/25)

2020年8月中間期の売上高は前年同期比34.4%減の2,973億円、営業利益は同赤転の▲109億円で着地し、未定としていた期初予算との比較はないもいのの大赤字での着地となりました。新型肺炎の本格化により、あらかたの店舗において2月から時短営業を実施したほか、4月8日から5月半ば~下旬まで食品フロアを除き休業していたため、3月の既存店は前年同期比65%水準だったものの、4月は同30%、5月は同35%に低迷しました。2Qに入っても旗艦の大阪店が同70%、日本橋店が90%まで持ち直したものの、横浜店については同50%止まりとなり苦しい結果となりました。同様に海外についても、上海が時短営業となったほか、旗艦のシンガポールが4月~6月で一部フロアを除き休業を強いられたため、特に2Q(6-8)期間の落ち込みが激しくなっています。


2021年2月期の通期見通しについては、中間時点で公表に踏み切っており、売上高は前期比25.8%減の6,820億円、経常利益は同赤転の▲180億円を見込んでいます。去る12月25日に開示済の3Qによれば、売上高は4,798億円、営業利益▲105億円で進捗しているため、3Q(9-11)期間については損益トントンで乗り切った形となります。そのため、各種コスト削減(※後述)の寄与により、会社側計画を上回って推移しているものとみられますが、年末年始商戦での新型肺炎の“第3波”到来により顧客動向が不透明なため、上方修正を見送っています。なお今年度の取組としてはSC開発子会社/東神開発による玉川SCの改装と、流山おおたかの森の周辺開発を計画しています。


これまで当社はローリング方式で4年中計を公表しており、最終年度となる2024年2月期に売上高9,900億(CAGR1.6%)、営業利益430億円(CAGR10%)を見込んでいましたが、今次新型肺炎影響で中計を一旦棚上げしています。そのため2023年2月期までの向こう3ヵ年を緊急的経営期間に位置付け、合計▲120億円のコスト削減(人件費▲60億円、庶務費▲20億円、減価償却費▲40億円)を新たな目標値とし、主としてリストラ方式により営業利益水準の回復を図ります。直近数期に渡る好業績は、大阪店・新宿店のインバウンドによる免税売上高が実態以上に業績をブーストさせていた側面が強く、新型肺炎後(ワクチン後)に直ぐ回復するとは考えずらいため、ひとまずは体制の立て直しを図る方針です。

 

2019年日本橋SCの開業後は新店パイプラインに乏しく、港南台店及びららぽーと海老名スタイルメゾンの閉鎖、米子高島屋の譲渡、南海電鉄合弁の新南海ストアの大阪メトロへの売却など業容の縮小がみられます。そのため、今後の成長策としては、富裕層向けの信託業やSBIとの新規提携による顧客への投信販売といった金融業のほか、SC開発子会社である東神開発を中心とした海外開拓がメインとなります。越スターレイク都市開発PJはハノイ北西6㎞に所在し、当社はA地区・B地区の土地所有権を取得して不動産賃貸業を展開するほか、学校運営事業にも出資(25%)し、2021~2022年にかけて順次事業を開始する予定です。

 

財務状況については、既発債償還等のため2018年12月に600億円のユーロCBを刷っているものの、行使価格が@2,180円であるため、これが基本的には全部負債として認識されるものの、足許の自己資本比率はIFRS16号採用による悪化分や100億円(4.6%)の自社株買いを考慮してなお34.8%水準を確保しているため、当面の資金繰りには問題がなさそうです。配当予想は年24円を公表しているほか、従業員の今冬のボーナスも昨年並みの約90万円を支払っていることから、財務的にはかなり余裕がある印象です。

 

*参考記事① 2020-06-16 971円 NT

【8233】髙島屋/当面はリストラで凌ぎ、再浮上はインバウンド次第か。

 

*参考記事② 2020-01-10  1,228円 NT

【8233】髙島屋/インバウンド一巡で、実力ベースでは2桁減益。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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