【8233】髙島屋/東神開発の減賃一巡とコスト削減で浮上も、トップラインの戻り鈍い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8233】髙島屋(東証1部)  NT


現在値 1,036円  P/E 75.1  P/B 0.44 2月配当優待 8月配当優待

東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポールSC店と東神開発寄与大。
配当金は2月末・8月末の年2回で合計24円で、配当利回りは2.32%となります。

髙島屋は株主優待制度を実施しており、単元株を保有する2月末・8月末の株主に対して、10%割引優待カードを進呈しております。このカードの持参により、有料催事が3人まで無料となるため、仮に入場料1,000円の催事に、2人で年1回行った場合を想定した場合における配当優待利回りは、およそ約4.24%となります。

業績を確認していきます。

■2018年2月期 売上高 9,495億円、営業利益 353億円 EPS 135円

■2019年2月期 売上高 9,128億円、営業利益 266億円 EPS 94円

■2020年2月期 売上高 9,190億円、営業利益 255億円 EPS 93円

■2021年2月期 売上高 6,809億円、営業利益▲134億円 EPS▲203円 

■2022年2月期 売上高 7,640億円、営業利益 60億円 EPS 13円 ce修正

□2021年8月2Q 売上高 3,471億円、営業利益▲20億円 EPS▲26円 

□2021年11月3Q 売上高 5,372億円、営業利益▲10億円 EPS▲22円(12/24) 

2021年8月中間期の売上高は前年同期比16.8%増の5,372億円、営業利益は同80億円の損益良化となる▲20億円となりました。全面休館や時短営業を強いられた前年のハードルが低かったことにより、対前で大幅な増収増益となったものの、新型肺炎禍の再燃により対計画は未達となりました。店舗別では4割増の横浜を筆頭に、旗艦の大阪、新宿、京都が2割程度の反動増となった一方、日本橋の戻りの鈍さが目立ちました。海外は旗艦のシンガポール(SG)をはじめ、上海、タイ王国ともに反動増となり概ね計画水準を確保したほか、SC運営の東神開発は入居テナントの減賃一巡により上振れしています。


なお2022年2月期の通期見通しは中間時点で減額しており、売上高が前期比12.2%増の7,640億円(期予:8,120億円)、営業利益は同黒転の60億円(期予:130億円)に修正しています。国内百貨店は、人件費・宣伝費を中心に想定超のコスト削減が進んでいるものの、緊急事態宣言解除が秋口までズレこんだ影響で、肝心のトップラインの戻りが鈍い状況です。修正予算では2019年度比で95%水準の売上を前提としており、外商の回復は顕著であるものの、予断を許さない状況です。海外もまちまちで、SGや上海が比較的底堅いものの、ベトナムやタイ王国は目下再度の休館を強いられており、今後の戻りが不透明です。


これまで当社は5ヵ年の中長期計画を公表しており、最終年度の2024年2月期に売上高9,900億(CAGR1.6%)、営業利益430億円(CAGR10%)を見込んでいましたが、新型肺炎禍で一旦取り下げています。翌2024年2月期までを緊急期間として位置付け、2020年3月期比で合計▲216億円のコスト削減(人件費▲77億円、庶務費▲82億円、宣伝費▲44億円他)を目標としていましたが、初年度で▲100億円程の削減に成功したほか、進行期で更に▲90億円程を削減する目途が立っていることから、この2年で▲200億円分の損益改善が実現する見通しです。

 

現状、ロール後の3年中計において、最終年度の2024年2月期に売上高8,500億円・営業利益300億円を目標としており、上述のコスト削減効果のフル享受が見込まれる一方、トップラインの回復が想定超にモタついており、達成可視性は依然として低い状況です。テコ入れ策として、この3年間で1,400億円を投資する計画であり、東神開発を中心とする国内外の商業開発に900億を投じる計画です。中計では国内百貨店はインバウンドが最大3割しか戻らない前提(逆に3割は戻らないと未達)としているほか、東神開発の日本橋三丁目スクエア、流山FLAPSといった新規稼働物件の寄与を見込んでいます。

 

海外事業については、好調だったベトナムの「ホーチミン髙島屋」が一転して全面休業を強いられているものの、ハノイ北西に位置する都市開発PJ「スターレイク」ではA地区・B地区の土地所有権を取得したほか、「THE DEWEY SCHOOLS」という学校運営事業にも出資(持分25%)し、2021年2月には開校に漕ぎつけています。翌2022年には商業・オフィス・住宅の複合開発の「ランカスター・ルミネール」、2024年には「スターレイクⅠ期」の開業を予定しており、会社側ではこれらベトナム事業の深堀りにより、巡行時に年40億円程の営業利益貢献を見込みます。

 

財務状況については、2018年12月に600億円のユーロCBを発行しており、行使価格が@2,180円のため全部負債で認識されるものの、足許の自己資本比率はIFRS16号採用による見えがかりの悪化分を反映してなお33%と十分な水準を確保しています。配当予想は据置となる年24円が公表されており、進行中の中計3年間は下限として据え置かれる見込みです。


*参考記事①  2020-12-30 846円 NT

【8233】髙島屋/3Qまで想定超も上方見送り、冬ボーナス満額近く財務も余裕残しか。

 

*参考記事② 2020-06-16 971円 NT

【8233】髙島屋/当面はリストラで凌ぎ、再浮上はインバウンド次第か。

 

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