【3222】U.S.M.H/巣ごもり特需一巡ではや反落、DX等の積極投資で償却負担重い。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3222】 ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東証1部)  NT

現在値 1,038円/100株  P/E 25.5  P/B 0.89  2月配当優待 8月配当優待

イオン系。首都圏で展開する食品スーパー大手。傘下にマルエツ、カスミ、マックスバリュ。
配当金は2月末・8月末の合計16円配当のため、配当利回りは1.54%となります。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは株主優待制度を実施しており、2月末・8月末時点で単元株を保有する株主に対して3千円相当の買い物割引券等を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.32%となります。

業績をチェックしていきます。
■2018年2月期 売上高 6,922億円、営業利益 140億円、EPS 57.3円 

■2019年2月期 売上高 6,943億円、営業利益 118億円、EPS 41.4円  

■2020年2月期 売上高 6,916億円、営業利益 93.5億円、EPS 12.8円  

■2021年2月期 売上高 7,338億円、営業利益 191億円、EPS 69.0円 

■2022年2月期 売上高 7,270億円、営業利益 130億円、EPS 35.0円 ce
□2021年8月中 売上高 3,605億円、営業利益 52.6億円、EPS 22.5円 

2021年8月中間期の売上高は前年同期比3.6%減の3,605億円、営業利益は同53.4%減の52.6億円となり、予算比は無いものの減収減益となりました。“巣ごもり”需要の一服や肉・野菜の急騰により、全店の上期既存店売上高(SSS)が96.7%(マルエツ96.0%、カスミ98.1%、MV関東94.1%)と反落となり、郊外中心のカスミが比較的健闘した一方、都心店や都心型小型店が多いマルエツがやや低調に推移しました。
出退店については、MP本駒込・FM三郷・FS友部の3店を出店した一方、3店閉店で純増ゼロとなり、総店舗数は518店のままとなっています。


なお2022年2月期の通期見通しは予想を据え置いており、売上高が3.6%減の3,605億円、営業利益が同53.4%減の52.6億円を見込んでいます。通期SSS前提は全店98.9%(マルエツ98.9%、カスミ99.3%、MV関東96.9%)のため尚ビハインド状態ですが、下期からは100%を挟むところまで回復しており、やや上向きの兆しがあります。利益については、MDミックスや各種DX施策による採算性の向上はあるものの、積極投資による償却負担増加とそもそものトップライン減により、減益幅が大きくなる公算です。なお出退店については、通期で11店の出店を見込んでいるほか、営業CF相当額を改装等の投資に突っ込んでおり、特需一巡後を睨んだ動きを積極化させています。

 

進行期は3年中計の中間年度であり、最終年度である2023年2月期までに売上高を6,916億円→7,390億円、営業利益93.5億円→130億円(営業利益率1.8%)まで引き上げる計画としていましたが、今般足許実勢を鑑みて売上高7,450億円&営業利益150億円に増額しています。また、長計で置いている2025年2月期の業績目標についても増額しており、売上高を8,300億円から8,430億円に、営業利益を200億円から295億円まで大きく引き上げていることから、新型肺炎禍による追い風要素は強いものの、数値感からは順調な進捗が確認されます。

 

本中計での基本戦略については、既存事業では大きな成長が見込めないという前提の下で、①コスト改革、②フォーマット改革、③ワークスタイル改革、④デジタル改革、の4軸で体制の再構築による収益力の改善を図る方針です。中でも柱と目される①は本部から個店への業務移管で直間比率を引き下げる一方、各事業会社からは本部機能を巻き取って持株に寄せるといったコスト削減により、3年で▲28億円のコスト削減を図ります。②は店舗改装の積極化(店舗数の1割目途)、④は「Scan&GO」や「Self POS」に代表されるセルフチェック等であり、形を変えた①のコスト削減となります。

 

財務状況については、自己資本比率は52.3%かつネット無借金状態で高位安定状態が継続しています。他方、株主還元については、2円減配の年16円(配当性向45%)を見込んでいます。当社は比較的業績に波があり、巣ごもり特需に沸いた2021年2月期こそ特配を出したものの、基本的には年16円の安定配当志向とみられます。

 

なお、他の投資論点として、イオンによる完全子会社化が想定されますが、当社は筆頭株主がイオンの中間持株会社である「イオンマーケットインベストメント」であり、同社の持分の28.2%を丸紅が握っていることから話は単純ではなく、丸紅持分の引き取りや中間持株会社のままでの2社共同買収等の様々なオプションが想定されるため、資本関係の整理がなされるのは時間がかかるとみています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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