【9861】吉野家ホールディングス/京都の宝産業を買収、ラーメン事業の垂直的拡大が期待されよう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9861】吉野家ホールディングス(東証プライム)  NT


現在値  2,728円/100株  P/E 43.3  P/B 2.89  2月配当優待 8月優待

牛丼屋の老舗、国内2位。収益源の『吉野家』を直営軸に全国展開。
配当基準日は2月・8月の年2回であり、年20円配当のため配当利回りは0.73%となります。

吉野家ホールディングスは株主優待として、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対して2,000円分の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出した場合、約2.19%となります。

業績を確認していきます。    

■2022年2月期 売上高 1,536億円、経常利益 156.0億円、EPS 125.5円

■2023年2月期 売上高 1,680億円、経常利益 87.4億円、EPS 111.8円  

■2024年2月期 売上高 1,874億円、経常利益 86.0億円、EPS 86.6円 

■2025年2月期 売上高 2,030億円、経常利益 74.0億円、EPS 63.3円 ce

□2024年5月1Q 売上高 475億円、経常利益 12.3億円、EPS 10.5円(7/10)  
□2024年8月2Q 売上高 1,000億円、経常利益 37.0億円、EPS 30.9円 ce  

2024年2月期の売上高はYoY+11.5%の1,874億円、経常利益はYoY▲1.5%の86.0億円で着地し、中間時点の修正見通し比で上振れました。国内吉野家は鉄板牛カルビ、牛すき鍋膳、からあげ祭りによる集客奏功で、SSSは計画102.8%に対して実績110.1%となったほか、はなまるも季節商材の投入や定期券施策による集客で、SSSは計画116.4%に対して実績120.5%と何れも上振れました。利益面については、食材原価高騰影響も、水光費高騰一服(助成金補助)のほか、その他経費コントロールも奏功し、大幅増益を確保しました。

 

進行期である2025年2月期通期予算については、売上高がYoY+8.3%の2,030億円、経常利益はYoY▲14.0%の74.0億円を見込んでいます。予算前提の国内吉野家SSSは104.9%(同はなまる106.3%)とする一方、4ヶ月累計の国内吉野家SSSは104.6%と計画線で推移しています。利益面については、国内吉野家の改装等積極投資や、牛肉・コメ・人件費の高騰を織り込んで反落を見込みます。出退店は出店304店&退店94店を計画し、純増200店以上と積極出店に舵を切ります。

 

当社は2025年2月期を終期とする10年長計に於いて、約3年スパンで「準備期」「拡大期」「収穫期」の3フェーズに期分けして推進しています。進行期は2ndステージ「拡大期」の最終年度にあたり、3年間の計数目標として売上高を1,536億円→1,800億円に、営業利益を23億円→70億円まで引き上げる計画としていましたが、終わった期に1年前倒しで早期達成しています。

 

今次中計の取組事項は①既存事業の業態進化、②成長事業強化、③MA追及の3軸を挙げており、①は3年間で500店の既存吉野家のU字カウンター店を、C&C店(セルフ+テーブル方式)に改装し、女性客やファミリー層の獲得を狙うほか、個人スペース型の雁行式のジグソーカウンター導入で既存店の居心地改善を図っています。成長事業から再生事業に再定義したはなまるは、だしや天ぷらの改良(天ぷら粉変更)といった基礎商材の見直しから、出店もビルインやモール内から郊外型にシフトし、持ち帰りを強化します。

 

②の成長事業は、注力先の中国でFC出店を進めるほか、インドネシア・マレーシアといったASEAN圏の出店成長を目指します。③のMAについては、ウィズリンクHD(国内外86店)の完全子会社化に続いて、本年5月には京都のラーメン製造業の宝産業を買収しています。同社はラーメンの麺・スープ・タレを製造しているほか、インドネシア・タイ・米国にも生産拠点を持ち、延べ1,600店に卸しています。既存のせたが屋等とのシナジーも見込めるため、中長期的なラーメン事業の成長を描く上で大きな一手と解されます。

 

財務状況については、自己資本比率は53.6%台まで改善しています。配当予想はYoY+2円の年20円配当を予想しており、中計で目標としていた復元配当を達成する見通しです。

*参考記事①  2024-01-06  3,262円 NT

【9861】吉野家HD/既存店回復が想定超のペース、上期業績反映のみで通期はなお増額余地。

 

*参考記事②   2023-07-03  2,553円 NT

【9861】吉野家ホールディングス/改装店の売上増顕著で原価増こなす、ラーメン事業も再始動。

 

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