【9861】吉野家ホールディングス(東証プライム) NT
現在値 3,262円/100株 P/E 57.0 P/B 3.62 2月配当優待 8月優待
牛丼屋の老舗、国内2位。収益源の『吉野家』を直営軸に全国展開。
配当基準日は2月・8月の年2回であり、年16円配当のため配当利回りは0.49%となります。
吉野家ホールディングスは株主優待として、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対して2,000円分の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出した場合、約1.71%となります。
業績を確認していきます。
■2021年2月期 売上高 1,703億円、経常利益▲19.6億円、EPS▲116.0円
■2022年2月期 売上高 1,536億円、経常利益 156.0億円、EPS 125.5円
■2023年2月期 売上高 1,680億円、経常利益 87.4億円、EPS 111.8円
■2024年2月期 売上高 1,810億円、経常利益 71.0億円、EPS 57.2円 ce修正(10/11)
□2023年8月2Q 売上高 916億円、経常利益 43.4億円、EPS 44.5円(10/11)
2023年8月中間期の売上高はYoY+12.0%の916億円、経常利益はYoY▲8.7%の43.4億円で着地し、予算比で上振れました。国内吉野家SSS(平時比)は計画102.8%に対して実績110.8%、はなまるは計画116.4%に対して実績122.2%と何れも上振れ、「牛ポ!」のよる販促や親子丼・サラダうどんの刷新、からあげの拡販等が奏功しました。他方で利益面については、水光費高騰が重しとなったものの、トップライン上伸で飲み込み、助成金剥落(▲34億円)考慮で実質大幅増益となっています。
2024年2月期通期の見通しは中間時点で上期上振れ分のみ増額しており、売上高がYoY+7.7%の1,810億円(期予:1,760億円)、経常利益はYoY▲18.8%の71.0億円(期予:47.0億円)に修正しています。10ヶ月累計・国内吉野家SSS(平時比)110.2%で推移しているほか、客数も100%を超過しており、数字以上に力強い内容となっています。原価については、各種原材料価格が高止まりしているものの、水光費は政府補助金の寄与で想定以下となり、利益は一段増となります。出退店については、出店181店&退店88店を計画しており、やや退店ペースが速いものの、計画線とみられます。
当社は2025年2月期を終期とする10年長計に於いて、約3年スパンで「準備期」「拡大期」「収穫期」の3フェーズに期分けして推進しています。新型肺炎禍で途中で内容の見直しを強いられたものの、2ndステージにあたるこの「拡大期」では、最終年度の2025年2月期までに売上高を1,536億円→1,800億円に、営業利益を23億円→70億円まで引き上げる計画ですが、今次増額修正で1年前倒しの達成が視野に入っています。
今次中計の取組事項は①既存事業の業態進化、②成長事業強化、③MA追及の3軸を挙げており、①は3年間で500店の既存吉野家のU字カウンター店を、C&C店(セルフ+テーブル方式)に改装し、これまで手薄だった女性客やファミリー層の獲得を狙うほか、個人スペースを意識した雁行式のジグソーカウンターの導入により既存店の居心地改善を図っています。また、他社比で牛丼依存度が高いことから、からあげを牛丼に次ぐ第2の商材にすべく育成しており、売上構成比15%とする目標を掲げています。
②の成長事業は、インドネシアで出店を再開したほか、上海吉野家の業態和風化(リモデル)や、米国では次世代型店舗を試験導入するなどしています。③のMAについては、ウィズリンクHD(国内外86店)のを買い増しして完全子会社化しており、今後はラーメン事業を牛丼・うどんに次ぐ第3の柱に育てる計画です。他方で、MAに頼らない業態開発として焼肉丼業態の“かるびのとりこ”を開発しており、春日部に2号店を出店しています。
財務状況については、受取助成金が大きく膨らんだため、自己資本比率は51.4%台まで飛躍的に改善しています。また、足許の業績見通しも好調に推移していることから、配当予想も6円の増額となる年16円配当に修正しています。今次中計では年20円水準までの復元配を目指しているものの、早ければ進行期にも達成する可能性がありそうです。
*参考記事① 2023-07-03 2,553円 NT
【9861】吉野家ホールディングス/改装店の売上増顕著で原価増こなす、ラーメン事業も再始動。
*参考記事② 2022-07-04 2,494円 NT
【9861】吉野家ホールディングス/助成金剥落も財務状況は高位安定、ラーメン事業拡大へ。
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