【9861】吉野家ホールディングス/改装店の売上増顕著で原価増こなす、ラーメン事業も再始動。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9861】吉野家ホールディングス(東証プライム)  NT


現在値  2,553円/100株  P/E 68.8  P/B 3.00  2月配当優待 8月優待

牛丼屋の老舗、国内2位。収益源の『吉野家』を直営軸に全国展開。
配当基準日は2月・8月の年2回であり、年10円配当のため配当利回りは0.39%となります。

吉野家ホールディングスは株主優待として、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対して2,000円分の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出した場合、約1.17%となります。

業績を確認していきます。    

■2021年2月期 売上高 1,703億円、経常利益▲19.6億円、EPS▲116.0円

■2022年2月期 売上高 1,536億円、経常利益 156.0億円、EPS 125.5円

■2023年2月期 売上高 1,680億円、経常利益 87.4億円、EPS 111.8円  

■2024年2月期 売上高 1,760億円、経常利益 47.0億円、EPS 37.1円 ce(4/12) 
□2023年8月2Q 売上高 870億円、経常利益 19.0億円、EPS 20.1円 ce  


2023年2月期の売上高はYoY+9.4%の1,680億円、経常利益はYoY▲44.1%の87.4億円で着地し、売上は計画線ながらも利益は上振れました。国内吉野家SSS(平時比)は計画97.8%に対して実績98.3%、はなまるは計画120.0%に対して実績120.9%を確保し、「牛ポ!」や「呪術廻戦」コラボ等により、時短営業終了からの回復基調で計画線を確保しました。他方で利益面については、助成金収入剥落(▲82億円)や牛肉価格・水光費高騰が重しとなったものの、トップラインの顕著な回復により経費率が低下し、計画超となりました。

 

進行期である2024年2月期の通期予算については、売上高がYoY+4.7%の1,760億円、経常利益はYoY▲46.0%の47.0億円を予想しています。全業態トータルのSSS(FY2022比)計画は105.0%、吉野家同102.8%、はなまる同116.4%を見込み、主力の吉野家についてはC&Cフォーマット型店舗への積極改装を図る一方、はなまるは不採算店の閉鎖を推進します。他方、利益面については、各種原材料価格(牛肉、鶏卵、食用油)や水光費増加を織り込み、価格転嫁で対応する方針であるものの、予算上は4割超の減益を見込みます。なお、出退店については、出店181店&退店88店を計画しており、期末の総展開店舗数はYoY+93店の2,819店を見込みます。

 

当社は2025年2月期を終期とする10年長計に於いて、約3年スパンで「準備期」「拡大期」「収穫期」の3フェーズに期分けして推進していたものの、途中の新型肺炎禍で足踏みを余儀なくされた経緯があります。そこで昨年、本来であれば「拡大期」に当たる2ndステージに相当する中計として、最終年度の2025年2月期までに売上高を1,536億円→1,800億円に、営業利益を23億円→70億円に引き上げる目標を改めて公表しています。

 

今次中計の取組事項として、①既存事業の業態進化、②成長事業強化、③MA追及の3軸を挙げており、①は3年間で500店の既存吉野家のU字カウンター店を、C&C店(セルフ+テーブル方式)に改装し、女性客やファミリー層の獲得を狙います。C&C店は直近1年で250店弱までに拡大しており、改装後は+7~10%の入客増となっているほか、女性客割合が顕著に増加しており、新たなマーケット開拓に寄与しています。また、非鍋型すき焼き商品(牛すき丼)や、はなまるの弁当型うどん商品の開発により、持ち帰り商材の拡充を進めています。

 

②の成長事業は、米国・中国を中心とする海外でも店舗改装を進めるほか、ラーメン事業の出店を再開します。③のMAについては、ウィズリンクHD(国内外86店)の持分を創業家より買い増して完全子会社に収めており、今後はラーメン事業を牛丼・うどんに次ぐ第3の柱に育てる計画です。他方で、MAに頼らない業態開発として“かるびのとりこ”という焼肉丼業態を開発し、幸手市に1号店を出店しています。

 

財務の状況については、新型肺炎禍の運転資金目的で借り入れていた資金の返済が進んだほか、受取助成金も大きく膨らんだため、自己資本比率は50.9%台まで飛躍的に改善しています。そのため、配当についても、実績・予想ともに年10円に復配しており、今次中計によれば年20円水準までの復元配を目指している模様です。


*参考記事①  2022-07-04 2,494円

【9861】吉野家ホールディングス/助成金剥落も財務状況は高位安定、ラーメン事業拡大へ。

 

*参考記事②  2022-01-14  2,256円 NT

【9861】吉野家ホールディングス/受取助成金想定超で、中間だけでなく期末復配も射程圏。

 

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