【4180】Appier Group(東証プライム) BY
現在値 1,310円/100株 P/E 70.3 P/B 4.28 12月配当(未定) 株主優待なし
販促分野で人工知能活用したサービスを開発・提供。台湾発企業。顧客は日本企業多い。
配当基準日は12月末であり、有配予想ながら現時点では未定となっています。
業績を確認します。
■2021年12月期 売上収益 126.6億円、営業利益▲11.1億円 EPS▲12.0円
■2022年12月期 売上収益 194.2億円、営業利益 0.5億円 EPS 0.2円
■2023年12月期 売上収益 264.1億円、営業利益 8.0億円 EPS 9.8円
■2024年12月期 売上収益 344.5億円、営業利益 20.0億円 EPS 18.6円 ce
□2024年3月1Q 売上収益 73.7億円、営業利益 0.6億円 EPS 0.5円(5/14)
□2024年6月2Q 売上収益 153.0億円、営業利益 1.3億円 EPS 0.8円 四e
2023年12月期の売上収益はYoY+36.0%の264.1億円、営業利益はYoY+7.5億円の8.0億円、EBITDAはYoY*2.1倍の28.3億円となり、対前・対計画で大幅増収増益となりました。戦略的な受注強化により、米国・EMEA市場で大企業顧客の獲得が進んだほか、北東アジアや中国周辺域ではデジタルコンテンツ関連が伸長し、ARRは同+36%の286億円と上伸したほか、NRR(為替中立)は136.2%、収益churnは0.306%と更に良化しました。また、技術革新によるターゲティング強化により、粗利率も51.5%→51.9%に改善しました。
進行期である2024年12月期の予算については、売上収益YoY+30.6%の344.9億円、営業利益YoY*2.6倍の20.9億円、EBITDA/YoY+72.8%の48.9億円を予想しています。地域別では引き続き北米・EMEA域の好伸が見込まれるほか、業種ではECとデジタルコンテンツが牽引します。利益面については、昨年4Q採用の営業人員やAI追加投資でコスト増となるものの、CrossXの学習効果によるアルゴ改善や、オペレーティング・レバレッジで粗利率は53%台まで改善を見込みます。なお5月14日開示の1Qは、売上収益73.7億円&営業益0.6億円で進捗しています。
当社は中期的な目標値を掲げていないものの、少なくとも向こう3~5年間は年率3割超の高成長が目されるほか、既に前倒しでの黒字化を遂げています。取組方針は①AI技術強化とソリューション開発、②顧客基盤(地域・業種)の拡大、③アップセル・クロスセル、④TAMの拡大、⑤M&A強化の5本を掲げ、2025年度の営業利益率は15~20%を目標としており、仮にトップライン成長率30%&営業利益率17%程度で想定すれば、営業利益は70億円半ばの水準が試算されます。
TAMについては、アジア(日本・広域中華圏・ASEANほか)の売上100億円超のゲーム・EC企業が想定顧客層となり、これら企業の広告費等の販売費合計が6~7兆円程度は存在するものと試算されます。既存顧客は韓国の有力ゲーム事業者であるネクソンや、台湾のファッションSaaSであるPerfect Corp.のほか、韓国No.1のECサイトであるクーパンが主要顧客となっています。デジタルコンテンツ市場自体の成長(※クーパンは依然年率2割成長)とサービス提供エリアの拡大により、成長余地が鴻大に残されているような状況です。
世界的な個人情報保護の観点から、AppleのATT導入だけでなく、Google Chromeは本年末にも“3rd party data”の利活用をブロックすることから、“1st party data”の最大活用と自社で確保出来ない顧客データの補完ニーズで、当面は当社サービスの需要増大と高成長持続が見込まれます。他方で、リスク要因としては、Googleが個人情報保護型の新たな広告方式を開発していることから、その如何によってはニーズが減少する可能性があります。
当社は2021年3月に144A方式の海外公募増資で、146億円(@1,600円)を調達しています。基本的には人材採用とMA以外は資金需要がないため、ネット無借金&自己資本比率は78.8%となっています。そのため、現状未定ながら進行期からの初配が見込まれるほか、投資会社のセコイアが依然として9.7%の持分を握っていることから、売出を自社株買いで受け止めるシナリオ等も想定されます。
*参考記事① 2023-06-06 1,497円 BY
【4180】Appier Group/前Q比の減収減益が嫌気されたが、実態は飛躍的な成長が持続。
*参考記事② 2022-05-03 860円 BY
【4180】Appier Group/1st party dataへの追い風、米国市場も急成長。
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