【4180】Appier Group(東証プライム) BY
現在値 1,497円/100株 P/E 211.7 P/B 35.77 12月配当(無配) 株主優待なし
販促分野で人工知能活用したサービスを開発・提供。台湾発企業。顧客は日本企業多い。
配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。
業績を確認します。当社は2021年のIPO企業です。
■2020年12月期 売上収益 89.7億円、営業利益▲15.7億円 EPS▲16.0円
■2021年12月期 売上収益 126.6億円、営業利益▲11.1億円 EPS▲12.0円
■2022年12月期 売上収益 194.2億円、営業利益 0.5億円 EPS 0.2円
■2023年12月期 売上収益 254.5億円、営業利益 5.3億円 EPS 7.0円 ce
□2023年3月1Q 売上収益 55.5億円、営業利益▲0.3億円 EPS▲0.3円(5/15)
□2023年6月2Q 売上収益 120.0億円、営業利益 2.5億円 EPS 3.3円 四e
2022年12月期の売上収益はYoY+53.4%の194.2億円、営業利益はYoY+11.6億円の0.5億円、EBITDAはYoY+13.2億円の13.6億円となり、対前・対計画で大幅増収増益となりました。個人情報保護から“1st party data”への高水準の引合いが継続し、既存顧客へのアップ・クロスセルが順調に増加したほか、米国・EMEA市場への面的拡大により新規顧客の開拓が進み、ARRは同+53%の211億円と上伸したほか、NRRは122%、収益churnは0.31%と更に良化しました。またオペレーティングレバレッジ効果により、粗利成長率も51%→60%に伸長し、粗利は一段増となりました。
進行期である2023年12月期の予算については、売上収益YoY+31.0%の254.5億円、営業利益YoY*10.6倍の5.3億円、EBITDA/YoY+71.9%の23.4億円を予想しています。世界的な生成AIへの注目度上昇により、デジタルコンテンツやEC顧客向けを中心に高いモメンタムの成長が続く見通しであり、期初時点で韓国の世界的デジタルコンテンツ企業から受注を獲得しています。利益面については、人件費とR&Dは高水準となるものの、CrossXの学習蓄積によるアルゴリズム効果やオペレーティング・レバレッジで黒字幅が拡大します。なお5月15日開示の1Qは、前4Q比で減収減益となったものの、主に季節性・一過性要因のため、実態としては計画超の推移と判断されます。
当社は中期的な目標値を掲げていないものの、少なくとも向こう3~5年間は年率3割超の高成長が目されるほか、予定していた黒字化についてを1年前倒しで実現しています。取組方針は①AI技術強化とソリューション開発、②顧客基盤(地域・業種)の拡大、③アップセル・クロスセル、④TAMの拡大、⑤M&A強化の5本を掲げ、2025年度の営業利益率は15~20%を目標としており、仮にトップライン成長率30%&営業利益率17%程度で想定すれば、営業利益は70億円水準が試算されます。
TAMについては、アジア(日本・広域中華圏・ASEANほか)の売上100億円超のゲーム・EC企業が想定顧客層となり、これら企業の広告費等の販売費合計が6~7兆円程度は存在するものと試算されるいるほか、特にデジタルコンテンツの市場そのものの急拡大とサービス提供エリアの拡大により、成長余地が鴻大に残されているような状況です。
世界的な個人情報保護の観点から、AppleのATT導入だけでなく、Googleその他大手PFでも“3rd party data”の利活用を制限していることから、“1st party data”の最大活用と自社で確保出来ない顧客データの補完のために、AIや機械学習によるデータドリブンが不可欠となります。また、顧客側でも認知度向上を主眼とした従来型ネット広告からROIを重視する潮流が強まっており、活用頻度増がもたらす学習効果とアルゴリズム精度改善で当社の採算性の良化も見込まれます。
当社は2021年3月に144A方式の海外公募増資で、146億円(@1,600円)を調達しています。基本的には人材採用とMA以外は資金需要がないため、ネット無借金&自己資本比率は74.3%となっています。同年10月には大株主のセコイアチャイナ他が約160億円(約11%)を放出して需給が難化した一方、当社CEOの游直翰氏はこの昨年3月に自腹で1億円を購入しており、マネジメント側の確信は深いものと解されます。
*参考記事① 2022-05-03 860円 BY
【4180】Appier Group/1st party dataへの追い風、米国市場も急成長。
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