【4180】Appier Group/1st party dataへの追い風、米国市場も急成長。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4180】Appier Group(東証グロース) BY

現在値 860円/100株 P/E --.- P/B 3.81  12月配当(無配) 株主優待なし

販促分野で人工知能活用したサービスを開発・提供。台湾発企業。顧客は日本企業多い。

配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。


業績を確認します。当社は2021年のIPO企業です。

■2018年12月期 売上収益 62.9億円、営業利益▲19.1億円 EPS▲21.5円 

■2019年12月期 売上収益 72.1億円、営業利益▲23.6億円 EPS▲25.9円 

■2020年12月期 売上収益 89.7億円、営業利益▲15.7億円 EPS▲16.0円 

■2021年12月期 売上収益 126.6億円、営業利益▲11.1億円 EPS▲12.0円

■2022年12月期 売上収益 174.7億円、営業利益▲5.1億円 EPS▲6.3円 ce

□2022年6月中 売上収益 70.0億円、営業利益▲3.0億円 EPS▲3.5円 四e

2021年12月期の売上収益はYoY+41.4%の126.6億円、営業利益はYoY+4.6億円の▲11.1億円、EBITDAはYoY+11.4億円の0.4億円となり、期中2度の増額見通しを上回って着地しました。AppleのiOS14更新によりATTが導入され、ユーザーの個人情報・端末情報(端末識別子、IDFA)へのアクセス許可が必要となったこともあり、所謂“1st party data”で顧客特定の出来る当社プロダクトへの引き合いが増加しました。EC、小売、ネットサービス、デジタルコンテンツといった顧客の新規開拓が進み、ARRは同+46%の138億円と上伸したほか、NRR123.8%、churn0.49%と良好に推移しました。

 

進行期である2022年9月期の予算については、売上収益YoY+38.0%の174.7億円、営業利益YoY+6.0億円の▲5.1億円、EBITDA/YoY+5.3億円の5.7億円を予想しています。飛躍的な成長が続く米国市場の寄与や、“1st party data”への追い風が継続することから、顧客獲得・NRRともに年率2割を超える成長が見込まれます。また、主力製品のCrossXの学習効果蓄積によるアルゴリズム改良、及び、顧客広告費の実質的な立替が減少することから、EBITDAマージンが良化します。なお、人件費とR&Dについては引き続き年+20~25%水準を維持するため、営業利益については依然赤字が継続する見通しです。

 

当社は中期的な目標値を掲げていないものの、少なくとも向こう3~5年間は年率3割超の成長が目されます。当社設定のTAMについては、アジア(日本・広域中華圏・ASEANほか)の売上100億円超のゲーム・EC企業が想定顧客層となり、これら企業の広告費等の販売費合計が少なくとも6~7兆円程度存すると試算されるため、既に12か国・17拠点で展開し、1,100社程の顧客を抱えている当社の開拓余地は鴻大に残されているような状況です。現状ではゲームやEC系の顧客が多いものの、今後の異業種の開拓や、目下高成長で売上構成比が1%→4%に急伸している米国市場の深堀り次第では、業績モメンタムの再加速も期待されます。

 

また、各国政府による個人情報規制強化の流れは強く、上述したAppleのATT導入だけでなく、Googleその他大手プラットフォーマーでも所謂“3rd party data”の利活用を制限していることから、“1st party data”の最大限活用と自社で確保出来ない顧客データの補完のために、AIや機械学習によるデータドリブンが不可欠になるため、当社には中長期的に追い風が吹き続けるような状況となります。

 

製品別の競合の状況については、ユーザ獲得の「CrossX」はA/Bテストによる従来型デジタル広告企業、ユーザ維持・関係構築の「AIQUA」はAdobe、Saleseforce、プレイド、取引誘因の「AiDeal」はユーザローカル、予測分析の「AIXON」はIBM Watsonらが一応の競合として認識されるものの、マーケティング領域をファネル展開している企業は存在していないため、市場拡大なりに当面は飛躍的な成長が続くものと考えられます。

 

当社は昨年3月に144A方式のグローバルオファリングで、146億円(@1,600円)を調達しています。基本的には人材採用とMA以外は資金需要がないため、ネット無借金&自己資本比率は73.2%となっています。然しながら、創業来赤字が継続しているほか、累損もあるため、最低でも向こう5年は無配が継続するとみられます。なお、昨年10月には大株主のセコイアチャイナほかがイグジットのために約160億円(約11%、@1,469円)を放出して需給が難化した一方、当社CEOの游直翰氏はこの3月に自腹で1億円自社株買いしており、経営陣は相応の手応えがあるものと認識しています。

 

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