【2501】サッポロHD/3Dインベストメントの“介入”で、不動産事業の見直しとビール集中へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2501】サッポロホールディングス(東証プライム)  NT

現在値 5,543円/100株  P/E 43.1  P/B 2.31 12月配当 株主優待あり

ビール類国内シェア4位。海外は北米が柱、不動産事業が強い。外食・飲料も展開。
配当金は12月一括の年52円の配当のため、配当利回りは約0.94%となります。

サッポロホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元保有の株主に対して、1,000円相当のビールまたは食品・飲料詰め合わせを進呈しておりますので、配当金と合計した配当優待利回りは約1.11%となります。なお、3年以上長期保有した場合は優待品が1.5倍となりますので、その場合の同利回りは約1.20%となります。

業績を確認していきます。

■2021年12月期 売上高 4,371億円、営業利益 220億円 EPS 158.3円  

■2022年12月期 売上高 4,784億円、営業利益 101億円 EPS 69.9円  

■2023年12月期 売上高 5,186億円、営業利益 118億円 EPS 111.9円 

■2024年12月期 売上高 5,235億円、営業利益 176億円 EPS 128.3円 ce 
□2024年3月1Q 売上高 1,127億円、営業利益▲19.3億円 EPS▲25.3円(5/14)

□2024年6月2Q 売上高 2,500億円、営業利益 70.0億円 EPS 56.5円 四e

2023年12月期の売上高はYoY+8.4%の5,186億円、営業利益はYoY+17.0%の118億円となり、計画比で下振れも増収増益となりました。国内酒類事業はレモンサワー等RTD缶がYoY+19%と好調だったほか、業務用が回復した好採算のビール類も同109%に伸長しました。直営外食事業も売上3割増で一気に黒字転換しました。他方で海外酒類事業はサッポロ拡販でYoY+20%も、Stone統合費用等で均衡圏から赤字に転落したほか、不動産事業もガーデンプレイスの空調更新工事等によるオフィス稼働率低下で減益となりました。


進行中の2024年12月期の通期予算については、売上高がYoY+0.9%の5,235億円、営業利益はYoY+48.9%の176億円を予想しています。国内酒類事業は回復が顕著なビール類の成長をYoY+8%で計画しており、全体構成比引き上げ(73%→80%)を図ることで、採算性の改善を見込みます。他方で、海外酒類はサッポロ続伸も軟調なStoneの“綱引き”でギリギリ黒転、直営外食事業は売上横引きも減価増で赤転を見込みます。不動産事業もガーデンプレイスの稼働率が低く、利益は横ばい圏となります。なお5月14日に開示済の1Qは売上高1,127億円&営業益▲19.3億円と低調ながら、季節要因で概ね計画線と解されます。

 

進行期は2026年12月期を最終年度とする4年中計で、事業利益を93億円→250億円(EBITDA299億円→500億円)まで拡大させる計画です。取組事項としては、①ビール&RTD強化、②海外事業再編&シナジー創出、③不動産事業強化&物件売却等、の3点を挙げています。尚、本年2月には中長期方針も開示しており、ビール類を中心とした酒類事業へのフォーカスとROE10%(現状5.0%)の達成を追加的に掲げています。

 

①は値上げで原料高転嫁を進めるほか、家庭用のRTDへの流出を食い止めるべく、26年の酒税一本化を睨んでビールに経営資源を集中投下し、ブランドを再構築します。主力の“黒ラベル”は2014年比で購入者数が1.8倍に成長しており、引き続き個性を生かした固定ファンに訴求したマーケティングに注力します。“エビス”は本年3月の工場・新ミュージアムを開業(ガーデンプレイス)に合わせて、8年振りの製品リニューアルを実施しています。

 

②の海外は2022年に米国・加州でIPAの醸造を行うStone brewingを220億円で買収しているほか、“サッポロプレミアム”が30年以上に渡って北米No.1アジアビールの地位を堅持していることから、Stoneとの生産・流通の一本化だけでなく、製造ラインのサッポロ転用を進めます。③の不動産事業は、ガーデンプレイスのリニューアルや空調更新工事により稼働率低下が見込まれ低調に推移するものの、私募REIT活用等による流動化には見切りをつけるとともに投資も抑制し、外部資本注入による有効活用に方針を変更します。

 

株主還元に関しては、これまで配当性向30%水準を維持しつつ、5円増配となる年45円配(配当性向41.1%)を見込みます。当社はアクティビストである3Dインベストメント(持分推定16%強)による働きかけもあり、不動産事業の見直しを迫られた経緯があるものの、現状では3Dの言いなりに近くなっていることから、現状では3Dは追加的な働きかけをしていないものとみられ、例えば株主還元水準が一段切り上がるといったことは期待薄と解されます。


*参考記事① 2023-06-12 3,777円 NT

【2501】サッポロHD/今次中計で300~400億円の不動産を流動化、含み益顕在化に期待。

 

*参考記事② 2022-05-27 2,686円 NT

【2501】サッポロHD/カフェ・ド・クリエを珈琲館に売却、原価高の価格転嫁どこまで。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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