【2501】サッポロHD/カフェ・ド・クリエを珈琲館に売却、原価高の価格転嫁どこまで。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image0.jpeg

【2501】サッポロホールディングス(東証1部)  NT

現在値 2,686円/100株  P/E 41.8  P/B 1.31 12月配当 株主優待あり

ビール類国内シェア4位。海外は北米が柱、不動産事業が強い。外食・飲料も展開。
配当金は12月一括の年42円の配当のため、配当利回りは約1.56%となります。

サッポロホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元保有の株主に対して、1,000円相当のビールまたは食品・飲料詰め合わせを進呈しておりますので、配当金と合計した配当優待利回りは約1.93%となります。なお、3年以上長期保有した場合は優待品が1.5倍となりますので、その場合の同利回りは約2.12%となります。

業績を確認していきます。2018→2019年度は非継続事業分を減じて遡及修正(*)。

■2018年12月期 売上高 4,939億円、営業利益 115億円 EPS 109.4円*

■2019年12月期 売上高 4,918億円、営業利益 122億円 EPS 55.9円* 

■2020年12月期 売上高 4,347億円、営業利益▲159億円 EPS▲206.3円

■2021年12月期 売上高 4,371億円、営業利益 220億円 EPS 158.3円  

■2022年12月期 売上高 4,787億円、営業利益 73億円 EPS 64.1円 ce 
□2022年3月1Q 売上高  932億円、営業利益▲45億円 EPS▲51.2円(5/12)

□2022年6月2Q 売上高 2,005億円、営業利益 35億円 EPS 28.9円 四e

2021年12月期の売上高はYoY+0.6%の4,371億円、営業利益はYoY+379億円の220億円と増収増益、対予算では減収増益となりました。国内酒類事業については、家庭用レモンサワー等のRTD(缶)が“巣ごもり”継続でYoY146%に大きく伸長したほか、ビール(缶)も黒ラベルが同110%、高単価品のエビスも同102%と堅調に推移しました。一方、前年ハードルの低い業務用のビール(瓶・樽)が同78%、直営外食は同68%となりました。他方、利益面は、不動産事業で恵比寿ガーデンプレイス(YGP)の稼働率が92%に留まったものの、恵比寿ファーストスクエア売却益230億円の計上により、外食の赤字を飲み込んで黒字を確保しています。


進行期の2022年12月期の通期予算は、売上高YoY+9.5%の4,787億円、営業利益YoY▲66.9%の73億円を見込みます。ビール類の販売前提をYoY110%とし、新型肺炎禍の沈静化で飲食業務用(瓶・樽)の急回復、黒ラベル缶・エビス缶の需要増を織り込みます。赤字を垂れ流していた直営外食事業については、YoY203%への戻りを見込み、収支は均衡圏近くまで持ち直す想定です。他方、不動産事業でYGPの稼働率低下(想定86%)や商業棟開業費が重しとなり、減益想定となります。全社利益については、大型物件売却の反動と、昨今の原材料価格高騰を▲30億円分織り込み、トップライン回復前提でも大減益の予算組みとなりますが、1Q時点では原価高騰見込みを▲48億円に修正しており、期中に価格転嫁できない場合は未達の可能性があります。

 

今期は5年中計の3年度目の位置付けであり、最終年度の2024年12月期に事業利益ベースで計画前比で約2倍の300億円を目指します。基本戦略としては、①ビール集中、②海外再編によるブランド一貫化、③植物性素材の活用等となります。現状、黒ラベル・エビスこそ高い競争力を有するものの、ポッカサッポロの食品・飲料は商品力が貧弱で自動販売機の負担が重く、苦戦を強いられる直営外食事業だけでなく、“稼ぎ頭”である不動産事業のYGPの稼働率まで低下している状況です。そのため、本中計期間は構造改革的要素が強めの内容となっています。

 

具体的には①GOLD STARのリニューアルを予定しているほか、“ビール集中”としながらも、仙台工場に36億円を投じてビールからRTDラインに切り替え、「濃いめのレモンサワー」や「男梅サワー」の生産能力を2倍に引き上げるほか、RTD内製化により採算性向上を方針です。②の海外は、傘下の米アンカーの新製品投入にくわえ、好調な加スリーマンが昨年ハードセルツァー「SoCIAL LITE」でシェア5位の加アウェアビバレッジを買収したことから、同社の販路に乗せて拡販を狙います。

 

リストラについては、ここ数年で実施済の350人規模の人員削減で年20~30億円程のコストを改善させたほか、不動産売却による含み益顕在化と有価証券売却(2022年までに50~100億円)により、PLの改善とBSのスリム化を図ります。また、足許ではポッカサッポロ傘下の自販機会社パブリック・ベンディング・サービスを解散させたほか(収益改善効果6~7億円)、この6月には同じく同社傘下で約200店のカフェを展開する「カフェ・ド・クリエ」を「珈琲館」「ベローチェ」を展開する同業のC-Unitedに売却します。

 

株主還元に関しては、これまで配当性向30%水準をメドとしていたものの、新中計より安定配当方針に切り替えており、今期も42円配当の継続を予定しています。会社側はD/Eレシオを重視しており、含み益の顕在化と借入返済を駆使して現状1.1倍(自己資本比率は27.0%)まで良化させているため、当面は年42円配当を維持していく方針と解されます。

 

*参考記事① 2021-11-17  2,343円 OP

【2501】サッポロHD/ビールだけ好調も、食品・外食・不動産が軟調。低アルが活路?

 

*参考記事② 2021-05-01  2,155円 OP

【2501】サッポロホールディングス/業務用樽・直営外食で厳しさ増す、不動産等売却で止血中。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ