【2501】サッポロホールディングス/業務用樽・直営外食で厳しさ増す、不動産等売却で止血中。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2501】サッポロホールディングス(東証1部)  NT

現在値 2,155円/100株  P/E 13.9  P/B 1.12 12月配当 株主優待あり

ビール類国内シェア4位。海外は北米が柱、不動産事業が強い。外食・飲料も展開。
配当金は12月一括の年42円の配当のため、配当利回りは1.95%となります。

サッポロホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元保有の株主に対して、1,000円相当のビールまたは食品・飲料詰め合わせを進呈しておりますので、配当金と合計した配当優待利回りは約2.41%となります。なお、3年以上長期保有した場合は優待品が倍額となりますので、その場合の同利回りは約2.87%となります。

業績を確認していきます。2018→2019年度は非継続事業分を減じて遡及修正しています(*)。

■2018年12月期 売上高 4,939億円、営業利益 115億円 EPS 109.4円*

■2019年12月期 売上高 4,918億円、営業利益 122億円 EPS 55.9円* 

■2020年12月期 売上高 4,347億円、営業利益▲159億円 EPS▲206.3円

■2021年12月期 売上高 4,682億円、営業利益 180億円 EPS 154.0円 ce(2/10) 

★2021年12月期 売上高 4,418億円、営業利益 46.5億円 EPS 28.2円 CONS.(2/10) 
□2021年6月2Q 売上高 2,050億円、営業利益 ▲5億円 EPS▲12.8円 四e


2020年12月期の売上高は前期比11.6%減の4,347億円、営業利益は同281億円の損益悪化となる▲159億円となり、中間時点の減額修正予算を更に下回る水準で着地しました。国内酒類事業については、GOLD STARや麦とホップを中心とする新ジャンル類(缶)が“巣ごもり”需要により前年比119%の水準に伸長したほか、ビール(缶)についても黒ラベルが同109%、高単価品のエビスも酒税改正による追い風もあり同102%と底堅く推移しました。一方、業務用のビール(瓶・樽)が同59%と壊滅的な水準になったほか、直営外食事業は同41%、カフェ事業も同73%となりました。また利益面についても、新型肺炎禍による特損▲35億円、リストラ費用▲49億円、子会社の減損▲110億円の計上があり、IFRSのため営業利益段階から大赤字となりました。


2021年12月期の通期見通しについては、売上高が7.7%増の4,682億円、営業利益は同黒転となる180億円を予想しています。ビール類の販売前提については、缶が2020年比101%と横ばいを想定する一方、業務用需要の回復により瓶は115%、樽は121%でセットしており、カテゴリー合計では105%を見込んでいます。直営外食事業も回復を想定しているものの、実績期に30店を閉鎖したことから、2019年比の売上は4割減に留まります。不動産事業については、恵比寿ガーデンプレイス(YGP)の三越退去による改装期間に入るため実力ベースでは減益となるものの、物件売却による利益が営業利益段階で寄与するため、全社で90億円程度の利益を押し上げる見込みです。

 

当社は昨年2月に5年中計を公表しており、最終年度の2024年12月期において事業利益ベースで計画前の約2倍の水準となる300億円を計画しています。基本戦略としては、①ビールへの集中、②海外再編によるブランド一貫化戦略、③植物性素材の活用等となります。①・②・③ともに即効性のある施策ではなく、足許では新型肺炎禍による打撃を全セグメントで大きく受けていることから、目標の300億円は既に画餅的になっています。進行期は中計2年度目となりますが、会社側では向かうべき方向性自体は変わっていないとして、業績目標の達成蓋然性はさておき、取組内容は変更しない旨アナウンスしています。

 

具体的には①は麦とホップ/GOLD STARの2本柱戦略とビールの高級化、②加スリーマンの拡販・米アンカーのテコ入れ、が取組の中心となり、③は現状目立った取組はない状況です。ただ新型肺炎禍でのトップライン成長は不透明なことから、現実的な収益改善施策としては、コスト削減と固定資産売却が中心となります。実際に2020年から実施している350人規模の人員削減により年間20~30億円程度のコストが改善見込みであるほか、保有不動産の売却による含み益の顕在化と保有有価証券の売却(2022年までに50~100億円)により、利益確保ともにBSの効率化が進むとみられます。

 

なお現状のYGPを中心とする不動産含み益は1,200~1,300億円程と推計され、実質的なP/Bは0.6倍程度と試算されるため、(本業の如何はさておき)現状のバリュエーションは正当化され得る水準にあると考えています。株主還元に関しては、これまで配当性向30%水準をメドとしていたものの、新中計より安定配当方針に切り替えており、今期も42円配当の継続を予定しています。会社側はD/Eレシオを重視しており、現状1.5倍(自己資本比率は24.3%)と従来より高いものの、含み益の顕在化と借入返済を駆使して、何とか42円配当を維持していく考えと思われます。

 

*参考記事① 2020-11-10  1,904円 OP

【2501】サッポロホールディングス/外食向け多く雌伏続く、恵比寿三越の閉店も痛手。

 

*参考記事② 2020-04-21 1,957円 OP

【2501】サッポロホールディングス/外食向け比率高く今期は大苦戦、無制限のリストラも。

 

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