【2501】サッポロHD/ビールだけ好調も、食品・外食・不動産が軟調。低アルが活路? | なちゅの市川綜合研究所

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【2501】サッポロホールディングス(東証1部)  NT

現在値 2,343円/100株  P/E 15.2  P/B 1.09 12月配当 株主優待あり

ビール類国内シェア4位。海外は北米が柱、不動産事業が強い。外食・飲料も展開。
配当金は12月一括の年42円の配当のため、配当利回りは1.79%となります。

サッポロホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元保有の株主に対して、1,000円相当のビールまたは食品・飲料詰め合わせを進呈しておりますので、配当金と合計した配当優待利回りは約2.22%となります。なお、3年以上長期保有した場合は優待品が倍額となりますので、その場合の同利回りは約2.64%となります。

業績を確認していきます。2018→2019年度は非継続事業分を減じて遡及修正しています(*)。

■2018年12月期 売上高 4,939億円、営業利益 115億円 EPS 109.4円*

■2019年12月期 売上高 4,918億円、営業利益 122億円 EPS 55.9円* 

■2020年12月期 売上高 4,347億円、営業利益▲159億円 EPS▲206.3円

■2021年12月期 売上高 4,472億円、営業利益 180億円 EPS 154.0円 ce 
□2021年6月2Q 売上高 1,997億円、営業利益 191億円 EPS 158.4円

□2021年9月3Q 売上高 3,090億円、営業利益 239億円 EPS 201.9円(11/5)

2021年6月中間期の売上高は前年同期比0.1%減の1,997億円、営業利益は同黒転の191億円となり、期初予算との比較は無いものの大幅に黒字化しました。国内酒類事業については、家庭用のRTD(缶)が“巣ごもり”需要の継続により前年比148%の水準に大きく伸長したほか、ビール(缶)も黒ラベルが同113%、高単価品のエビスも同105%と堅調に推移しました。一方、業務用のビール(瓶・樽)が前年ハードルが低いにも拘わらず、同69%となったほか、直営外食事業は同56%となりました。他方、利益については、不動産事業で恵比寿ファーストスクエアの売却益230億円の計上により、全社の赤字を軽く飲み込んで黒字を確保しています。


2021年12月期の通期見通しについては、中間時点で微修正しており、売上高が前期比2.9%増の4,472億円(期予:4,682億円)、営業利益は同黒転の180億円(期予:UNCH)を予想しています。ビール類の販売前提を当初105%で計画しており、家庭向け好調の一方、業務用(瓶・樽)が想定以下のため96%に修正しています。また、苦戦の続く直営外食事業も減額するほか、不動産事業も既述の売却益あれど恵比寿ガーデンプレイス(YGP)の三越退去による改装期間入りにくわえ、オフィス稼働率が計画95%に対し、実際は90%強にまで沈んでいるため下方修正します。それでも利益については家庭用増・リストラ効果・バッファ等の入り繰りで、期初計画の水準を維持します。

 

今期は5年中計の2年度目の位置付けであり、最終年度の2024年12月期において事業利益ベースで計画前の約2倍の300億円を計画しています。基本戦略としては、①ビール集中、②海外再編によるブランド一貫化、③植物性素材の活用等となります。現状、黒ラベル・エビスのみ高い競争力を有するものの、ポッカサッポロをはじめとする食品・飲料は商品力が貧弱で自動販売機の負担が重く、外食事業だけでなく、収益柱の不動産事業のオフィス稼働率まで低迷しているような状況です。そのため、上記のような内向きの構造改革的な話が多くなっています。

 

具体的には①の新ジャンル(麦とホップ/GOLD STAR)とビールの高級化、②加スリーマンの拡販・米アンカーのテコ入れ、③は現状目立った取組はない状況です。足許で②についてはスリーマンがアルコール入り炭酸飲料であるハードセルツァーでシェア5位の加アウェアビバレッジを買収しています。当社単体でもAlc.3%のWATER SOURという商品を他社に先駆けて販売していますが、昨今は健康志向の高まりなどから微アル・低アル系飲料に流行に兆しがあり、世界でもハードセルツァーは年率12%程度成長の成長が期待されているため、当社は内・外において先駆的に市場開拓する方針です。

 

リストラの進捗については、2020年から実施している350人規模の人員削減で年20~30億円程のコストが改善見込みであるほか、不動産売却による含み益顕在化と有価証券売却(2022年までに50~100億円)により、PLの改善とBSのスリム化を計画しています。なお、現状のYGPを中心とする不動産含み益は1,800億円程と推計され、現状の株価で法人税率を仮に3割とした場合の、税引後実質的なP/Bは0.6倍台半ばと試算されます。

 

株主還元に関しては、これまで配当性向30%水準をメドとしていたものの、新中計より安定配当方針に切り替えており、今期も42円配当の継続を予定しています。会社側はD/Eレシオを重視しており、含み益の顕在化と借入返済を駆使して現状1.2倍(自己資本比率は27.7%)まで良化させているため、年42円配当を維持していく方針と解されます。

 

*参考記事① 2021-05-01   2,155円 OP

【2501】サッポロホールディングス/業務用樽・直営外食で厳しさ増す、不動産等売却で止血中。

 

*参考記事② 2020-11-10  1,904円 OP

【2501】サッポロホールディングス/外食向け多く雌伏続く、恵比寿三越の閉店も痛手。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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