【6789】ローランド.ディー.ジー./欧米急回復、為替効果も追い風で再増額。再増配も濃厚。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6789】ローランド.ディー.ジー.(東証一部) OP


現在値 2,778円/100株 P/E 10.1  P/B 1.26  6月優待 12月配当優待

広告・看板用インクジェットプリンタで世界首位級。筆頭株主がローランドから親会社ファンドに。
配当金は年2回・合計60円配当のため、配当利回りは2.16%となります。

 

ローランド.ディー.ジー.は株主優待制度を実施しており、12月末時点の1年以上継続保有の単元株主に対し、3,000円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.29%となります。

業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 435億円、営業利益 38.5億円 EPS 153円 
■2018年12月期 売上高 427億円、営業利益 42.5億円 EPS 229円 

■2019年12月期 売上高 407億円、営業利益 27.9億円 EPS 155円 

■2020年12月期 売上高 347億円、営業利益 5.0億円 EPS 20円 

■2021年12月期 売上高 438億円、営業利益 54.0億円 EPS 273円ce修正
□2021年6月2Q 売上高 218億円、営業利益 29.5億円 EPS 127円

□2021年9月3Q 売上高 334億円、営業利益 48.3億円 EPS 225円 (11/10)

2021年6月中間期の売上高は前年同期比38.5%増の218億円、営業利益は同黒転の29.5億円となり、1Q開示の増額予算を更に上回って進捗しました。主力のプリンターについては、新型肺炎禍の一巡とペントアップ需要で豊富な受注残を抱えていたことから増勢となり、“感染防止”を知らせるフロアサインの需要も引き続き好調に推移しました。エリア別では展開全域で売上が反転増に転じ、構成比の大きい欧州でサイン・プリンターの出力需要の回復がみられたほか、特に北米は旺盛な投資需要に支えられデンタル加工機が好調に推移したほか、海外については軒並み円安による有利効果がありました。


2021年12月期の通期見通しについては、2Qの時点で更に増額しており、売上高が前期比25.9%増の438億円(期予:415億円)、営業利益は同10倍の54.0億円(期予:29.0億円)に修正しています。世界的なワクチン普及にともない、特にイベント関係の再開準備が進んでいることから先んじて需要を獲得しており、展開全域・全カテゴリーで増勢を維持しているほか、根強い“感染防止”サインの需要上乗せが期待出来ます。他方、半導体ほか電子部品の調達難の状況が継続しているものの、現時点では計画通りであるほか、生産調整によるマイナス影響も一定程度バッファとして織り込んでいる模様です。なお、11月10日に開示の3Qでは、売上高334億円&営業利益48.3億円ともう一段の上振れ含みで進捗しています。

 

進行期は2023年12月期を最終年度とする中計の初年度となっており、向こう3年で売上高347億円から480億円に、営業利益5億円を60億円にそれぞれ引き上げる計画です。前中計期間で大型プリンター市場の成熟化に伴う需要後退や競合激化というマクロ構造変化の影響を受け、好採算のインク等のサプライ品まで減少したことから、そこからの再興を目指すリバイバルプラン的な位置付けとなっています。

 

現中計における取組事項は、①リストラ等の固定費削減、②事業ポートフォリオ転換、③新領域開拓、の3点を柱に掲げています。①の人員削減は募集150名に対し実績190名となり、見込額より3.5億円多い年11億円程の営業益改善が見込まれるほか、量産機能のタイ工場への移管等により更に10億円のコスト削減を想定しています。また、環境負荷が高いため客離れしていた低溶剤インクをエコ型への置き換えを図るほか、③も立体物加飾プリンター市場の開拓や、他社協業、世界的に審美需要が高まっている歯科領域において、入歯やインプラント土台制作のためのCAD/CAMマシンの深耕を図る方針です。全体としては、タイ工場の建設遅れといった要素はあるものの、足許の市況反転や円安による為替の有利影響が大きいことから、本中計は初年度ながら十分に達成が視野に入るものと考えています。

 

財務の状況については、自己資本比率は66%と高水準をキープしており、僅かな借金をネットしてなお100億円超の現預金を保有しています。現行中計下での株主還元については、配当性向30%&DOE2%を基準に「安定・継続的な還元」というポリシーとなっており、当初DOE基準で年40円を予想していたものの、目下の好業績を受けて年60円に増配しています。然しながら、現在の予想EPSが273円であることを踏まえると、年80円までの増配はほぼ確実とみています。

 

*参考記事① 2021-05-21 2,101円 NT

【6789】ローランド.ディー.ジー./持ち直し急で、1Qから通期見通しを増額修正。

 

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