【6789】ローランド.ディー.ジー./持ち直し急で、1Qから通期見通しを増額修正。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6789】ローランド.ディー.ジー.(東証一部) NT


現在値 2,101円/100株 P/E 13.0  P/B1.05  6月優待 12月配当優待

広告・看板用インクジェットプリンタで世界首位級。筆頭株主がローランドから親会社ファンドに。
配当金は年2回・合計40円配当のため、配当利回りは1.90%となります。

 

ローランド.ディー.ジー.は株主優待制度を実施しており、12月末時点の1年以上継続保有の単元株主に対し、3,000円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.33%となります。

業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 435億円、営業利益 38.5億円 EPS 153円 
■2018年12月期 売上高 427億円、営業利益 42.5億円 EPS 229円 

■2019年12月期 売上高 407億円、営業利益 27.9億円 EPS 155円 

■2020年12月期 売上高 347億円、営業利益 5.0億円 EPS 20円 

■2021年12月期 売上高 424億円、営業利益 40.0億円 EPS 160円ce修正

□2021年3月1Q 売上高 102億円、営業利益 10.3億円 EPS▲17円(5/12)
□2021年6月2Q 売上高 206億円、営業利益 21.0億円 EPS 48円ce修正 (5/12)

2021年12月期の売上高は前期比14.7%減の347億円、営業利益は同82.1%減少の5.0億円となり、3Q開示の減額修正予算は上回ったものの、大幅な減収減益となりました。主力のプリンターについては、新型肺炎禍において各種イベントが中止・延期となり、屋内外の出力需要が大幅に減少しました。一方、“感染防止”を知らせるフロアサインの需要が急伸したほか、在宅増加に伴う卓上型低価格モデルが増加したため、それらが多少の穴埋めになった模様です。エリア別では展開各国でマイナスとなったものの、とりわけ感染の拡大した北欧やアジアでの減少幅が大きく、日本は相対的に底堅く推移したものの、当社は欧州構成比が大きいことから影響を受けました。


進行期である2021年12月期の通期見通しについては、1Qの時点で修正しており、売上高が21.9%増の424億円(期予:415億円)、営業利益は9.7%増の40.0億円(期予:29.0億円)にそれぞれ増額しています。新型肺炎禍がある程度落ち着くことを見込み、主力のプリンター・サプライを中心に取扱全品目で良化する前提を置いており、実際に5月12日に開示された1Qでは前年同期比の売上高が13%増、営業利益は3.1倍と順調な滑り出しが確認されます。販売が反転増で底堅い一方で、旅費交通費等の販管費が抑制出来ているほか、人員削減が想定超の申込となった結果、固定費の削減幅が一層増加しています。そのため、ボトムラインでリストラ費用を見込むものの、通期見通しを早くも増額しており、期末まで堅調な展開が予想されます。

 

当社はこの度2023年12月期を最終年度とする3年間の新中計を開示しており、売上高347億円→480億円、営業利益5億円→60.0億円を業績目標に定めています。2020年12月期を最終年度とする前回中計(5年間)が大幅な未達どころか、売上も利益も中計直前の実績よりも数字を落とす結果となりましたが、これは大型プリンター市場の成熟化に伴う需要後退や競合激化というマクロ構造要因が大きく、連れて好採算のインク等のサプライ品まで減少したことによります。

 

そのため、向こう3年の新中計における取組事項については、①リストラ等の固定費削減、②事業ポートフォリオ転換、③新領域開拓、の3点を柱に掲げています。①の人員削減については募集150名に対して190名の削減が決定しており、年間の人件費削減効果は7.5億円→10億円に増加する見通しであるほか、量産機能のタイ工場への移管等により更に10億円のコスト削減を想定しています。②では環境負荷が高いため顧客離れが起きている低溶剤インクのエコ型への置き換えを図るほか、③については立体物加飾プリンター市場の開拓や、他社協業、市場の成長が著しい歯科領域において、入歯やインプラント土台制作のためのCAD/CAMマシンの深耕を図る方針です。

 

財務の状況については、目下の自己資本比率は65%と高水準をキープしており、僅かな借金をネットしてなお100億円超の現預金を保有しています。現行中計下での株主還元については、配当性向30%&DOE2%を基準に「安定・継続的な還元」を志向することとしており、実績期は新型肺炎禍ということもあり30円もの減配となる年10円となったものの、これを復元させて年40円を予想しています。新たにDOE基準が設定されたことから、当面は年40円がフロアとして機能しそうです。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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