【3082】きちりHD/業績好調だが増配公表後の公募増資は想定外、資本政策の再考が望まれよう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3082】きちりホールディングス(東証プライム) NT

現在値 928円/100株  P/E  27.1  P/B 6.56  6月配当優待 12月株主優待

女性向け居酒屋『きちり』等を直営展開。関西から関東に軸足移行。
配当は6月末に年7円50銭を予想しているため、配当利回りは約0.81%となります。

きちりホールディングスは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末現在の100株以上の株主に対して1,500円分の食事券を年2回進呈しているため、配当優待利回りは約4.04%となります。

業績を確認していきます。

■2021年6月期 売上高 56.1億円、営業利益▲13.7億円 EPS▲53.3円

■2022年6月期 売上高 69.2億円、営業利益▲11.2億円 EPS 14.9円

■2023年6月期 売上高 109.4億円、営業利益▲0.8億円 EPS▲25.0円 

■2024年6月期 売上高 138.0億円、営業利益 7.8億円 EPS 34.5円 ce修正

□2023年12月2Q 売上高 68.1億円、営業利益 4.5億円 EPS 17.2円

□2024年3月3Q 売上高 103.2億円、営業利益 6.6億円 EPS 20.6円(5/13)

2023年12月期の売上高はYoY+34.5%の68.1億円、営業利益はYoY+6.0億円の4.5億円となり、対前・対計画で上振れとなりました。主力の飲食事業は正常化の進展でSSSは110%を大きく超える水準で推移し、21ヵ月連続の前年超過となりました。利益面についても、メニュー改定効果やDX化等による効率化の推進により、ほぼ増収分の増益幅を確保しました。出店については、イオンモール岡崎とセレオ国分寺に「いしがまや」を、イオンモール日の出に韓国料理「VEGEGO」を出店し、上期末の店舗数は125店となりました。


なお2024年6月期の通期見通しは2Q時点で増額しており、売上高がYoY+26.1%の138.0億円(期予:150.0億円)、営業利益はYoY+8.6億円の7.8億円(期予:5.8億円)に修正しています。ディナー系業態の好調や訪日客回復、値上げ効果の通期化等も寄与し、11ヶ月分が開示済の飲食事業SSSは平均110%を超える高水準で推移しています。これに出店増(純増10店以上)の上乗せがあるほか、5月13日に開示済の3Qの売上高は103.2億円&営業益6.6億円と修正見通し比で強含みで推移しています。

 

当社は中期計画を公表していないものの、当面の取組事項として①商業施設出店の積極化、②フードテック企業への進化、③地方創生事業の3点を挙げています。①は坪効率の高い「いしがまや(坪効59.2万円)」「VEGEGO(坪効47.0万円)」の2業態に絞って居抜き狙いで出店を推進する計画であり、会社側では商業施設への出店余地を130店(対象施設:館売上高200億円、シネコン&カラオケ導入、駐車場2千台等)と試算しています。

 

②のフードテックは子会社のApply Now社が録画型Web面談システムや電子雇用契約をSaaS形式で提供しているものの、ほぼ伸びていないとみられます。③の地方創生は、レストラン運営代行を通じて実施してきた地方支援を拡大し、ふるさと納税の返礼品開発や発送・顧客対応を代行しており、2023年に初受託した敦賀市では全国で10指に入る納税額(87億円)を実現しており、中長期的な受注拡大が期待されます。

 

財務状況については、調達可能額や高い引受手数料(発行@913円→手取り@860円)を鑑みれば意外感のある公募増資で10億円超を調達したことから、自己資本比率は21.0%にまで回復しています。なお、資本性の劣後ローン7億円の存在を考慮すると、実効ベースでは同30%弱と試算されます。他方で株主還元については、2円50銭の増配となる年7円50銭を予定しており、平川氏への資金還流ニーズがあるとみられるものの、この辺の資本政策には不整合さも垣間見れます。

 

*参考記事①  2023-12-04 1,050円 NT

【3082】きちりHD/高坪効率のVEGEGOを居抜きで高速出店、居酒屋依存から脱却しつつある。

 

*参考記事②  2023-05-15  857円 NT

【3082】きちりホールディングス/都心の女性向け居酒屋から、SC内レストラン出店にシフト。

 

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