【3082】きちりホールディングス/都心の女性向け居酒屋から、SC内レストラン出店にシフト。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3082】きちりホールディングス(東証プライム) NT

現在値 857円/100株 P/E 173.4  P/B 13.4  6月無配 12月株主優待

女性向け居酒屋『きちり』等を直営展開。関西から関東に軸足移行。
配当は6月末に年5円を予想しているため、配当利回りは約0.58%となります。

きちりホールディングスは株主優待制度を実施しており、6月末・12月末現在の100株以上の株主に対して1,500円分の食事券を年2回進呈しているため、配当優待利回りは約4.08%となります。

業績を確認していきます。

■2020年6月期 売上高 80.4億円、営業利益▲3.6億円 EPS▲59.6円 

■2021年6月期 売上高 56.1億円、営業利益▲13.7億円 EPS▲53.3円

■2022年6月期 売上高 69.2億円、営業利益▲11.2億円 EPS 14.9円

■2023年6月期 売上高 98.0億円、営業利益 1.6億円 EPS 4.5円 ce
□2022年12月2Q 売上高 50.6億円、営業利益▲1.4億円 EPS▲15.8円

□2023年3月1Q 売上高 78.7億円、営業利益▲1.2億円 EPS▲27.9円(5/12)

2022年12月中間期の売上高はYoY+58.6%の50.6億円、営業利益はYoY+4.7億円の▲1.4億円となり、大幅な増収増益となりました。飲食事業については、新型肺炎禍の一巡により、月次の既存店売上高は大きく前年超過となり、入客数だけでなく客単価も110%超と値上げが進みました。新店については、mozoワンダーシティにフードコート様式の「いしがまや」1号店を出店したほか、ららぽーと堺やアリオ柏に韓国料理専門の「VEGEGO」に出店し、上期で計6店を出店しました(上期末116店)。

2023年6月期の通期見通しは期初予想を据え置いており、売上高はYoY+41.6%の98.0億円、営業利益はYoY+12.8億円の1.6億円と黒字転換を見込んでいます。下期既存店も回復基調が継続しており、(主に入客面で)前年ハードルが特に低い月もあるものの、客単価の顕著な上昇が確認されます。下期の新店として2月にイオンモール浦和美園に「VEGEGO」を出店しています。5月12日に既開示の3Qの売上高は78.7億円&営業益は▲1.2億円で進捗しており、食材・エネルギー等の原価増が重く依然赤字ではあるものの、4Qでの巻き返しが目されます。

 

当社は中長期的な経営計画を開示していないものの、当面の取組事項として①既存店強化、②フードテック企業への進化、の2軸を挙げています。①については、従来型のディナー店ではなく、郊外SC等の商業施設内店舗への出店に軸足を移す方針です。施設内店舗は集客が安定しているほか、酒類販売依存度が低いため、高感度立地の多い都心の「KICHIRI」との補完性が高いだけでなく、空床に頭を抱えるSC大家側の内装負担増で出店ハードルが下がっています。2018年には小売大手のイズミと提携し、中国エリアにおけるゆめタウン、ゆめマート、LECT等で当社のハンバーグ店やオムライス店をFCで展開しており、ロイヤリティ収入の拡大を目指しています。

 

②のフードテックについては、子会社のApply Now社が録画型Web面談システムや電子雇用契約をSaaS形式で提供しており、同社は総合人材サービス大手のマイナビとみずほキャピタルを相手先に第三者割当増資を実施するなど、順調に拡大しています。これはマイナビバイトとの連携を目指した資本業務提携であり、マイナビのプレゼンスを鑑みれば、中長期的な成長が期待されます。

 

なお足許の財務状況については、自己資本比率は9.3%にまで低迷していますが、資本性の劣後ローン7億円を考慮すると、実質ベースでは19%程と試算されます。終わった期には21億円程の受取助成金もあったことから、財務的にはひと息ついた格好となり、やや時期尚早の印象はあるものの、年5円の復配に踏み切っています。

 

*参考記事①  2021-05-12  576円 UP

【3082】きちりホールディングス/郊外SCハンバーグ店は底堅い、デリバリー強化で薄明りも。

 

*参考記事②  2020-04-23  553円 UP

【3082】きちりホールディングス/新型肺炎影響は未織込、減額予算なお過大で無配か。

 

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