【3082】きちりホールディングス/郊外SCハンバーグ店は底堅い、デリバリー強化で薄明りも。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3082】きちりホールディングス(東証1部) UP

現在値 576円/100株 P/E --.-  P/B 5.7 6月無配 12月株主優待

女性向け居酒屋『きちり』等を直営展開。関西から関東に軸足移行。
配当基準日は6月(12月)ですが、既に無配に転落しており、配当予想も未定となっています。

きちりホールディングスは株主優待制度を実施しており、12末現在の100株以上の株主に対して3,000円分の食事券を進呈しておりますので、配当優待利回りを算出すると約5.20%となります。

業績を確認していきます。
■2017年6月期 売上高 88.4億円、経常利益 3.1億円 EPS 16.9円  

■2018年6月期 売上高 92.4億円、経常利益 3.5億円 EPS 14.5円 

■2019年6月期 売上高 99.1億円、経常利益 3.7億円 EPS 15.8円 連移行

■2020年6月期 売上高 80.4億円、経常利益▲3.6億円 EPS▲59.6円 

■2021年6月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円
□2020年12月2Q 売上高 36.0億円、経常利益▲5.1億円 EPS▲25.9円

□2021年03月3Q 売上高 46.7億円、経常利益▲6.0億円 EPS▲42.3円(5/10)

2020年12月中間期の売上高は前年同期比30.8%減の36.0億円、経常利益は同赤転の▲5.1億円となり、大幅な減収減益となりました。go toによる政策的な後押しや、映画「鬼滅の刃」の大ヒットで入居するSCの来館客数が増加し、「いしがまやハンバーグ」の既存店が前年並み水準まで持ち直すような局面があったものの、年末の感染再拡大の過程で主力の「KICHIRI」を中心に忘年会需要を取り逃がすなど大打撃を受けました。なお、新店については、ハレザ池袋にトッピングハンバーグの「グリルデミ玉」の1号店を開業したほか、ららぽーと湘南平塚に韓国料理専門店「VEGEGO」を出店しています。

なお2021年6月期の通期見通しについては未定となっていますが、5月10日に既に開示されている3Q時点の売上高は前年同期比36.9%減の46.7億円、経常利益は同赤転の▲6.0億円で進捗しており、極めて厳しい状況となっています。今期の出退店計画は出店2店(上期出店済)、退店2店の純増ゼロを予定しており、表記の数字は既存店の凹み分がストレートに反映された格好となります。それでも都心既存店のゴーストレストラン(シェアキッチン)化によるデリバリー強化により、既に店舗売上の2割を超える穴埋めが出来ているほか、郊外SCのハンバーグ店については底堅いなど部分的には明るい兆しもみられます。

 

具体的なデリバリー強化策のについては、高感度立地の多い都心の「KICHIRI」店舗を調理拠点に、本来業態メニューを活かした「おうちでKICHIRI」にくわえ、フライカレー専門店「チョイスカレー」、天ぷら「香ぐら」、カルビ丼「高麗苑」、鰻「うな照」、唐揚げ専門店「伊勢ゐ」など総合ファミレスばりの最大10業態を同居させ、主にランチタイム帯での売上獲得を目指します。また、D2C事業では、ティーラテ専門店の「CHAVATY」の紅茶・スコーン・ジャム等の直販を開始しており、既に5万人の会員を確保するなど、リアル店舗外の構成比が拡大しつつあります。

 

周辺領域の深耕も進めており、子会社のオープンクラウド社が録画型Web面談システム、電子雇用契約をSaaS形式で提供しており、同社は昨年5月に総合人材サービス大手のマイナビとみずほキャピタルを相手先に第三者割当増資を実施しています。これはマイナビバイトと録画型Web面談システムの連携を目指した資本業務提携となっており、(当面は飲食業界の求人が少ないため時間がかかるとみられるものの)、マイナビ自体はアルバイト業界ではプレゼンスが高い企業のため、中長期的には成長余地があるものとみられます。また、2018年5月には小売大手イズミの飲食子会社と提携し、中国エリアにおける同社商業施設(ゆめタウン、ゆめマート、LECT)内で、当社のハンバーグ店やオムライス店をFC展開を始めており、当社屋号店舗へのリプレイスが進めば労せずしてロイヤリティ収入による底上げが期待されます。

 

なお足許の財務状況については、自己資本比率は10.4%にまで低迷していますが、一方で大豆を主原料とする代替肉「ミラクルミート」の開発・製造を行うDAIZに0.3億円出資するなど、ややちぐはぐな動きとなっていますが、直近の長期借入金35億円により現金持ち高自体は50億円程あるため、当座の資金繰りについては問題がなさそうに見えます。

 

*参考記事① 2020-04-23 553円 UP

【3082】きちりホールディングス/新型肺炎影響は未織込、減額予算なお過大で無配か。

 

*参考記事② 2019-04-03 761円 NT

業績底堅く、新業態続々きちりホールディングス(3082)。

 

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