【3452】ビーロット/中長期の成長ネタは多いが、早々に財務の増強が待たれる状況。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3452】ビーロット(東証一部)  OP

現在値 652円/100株  P/E 12.0  P/B 1.30 12月配当 株主優待あり


不動産投資業。オフィスビル・マンション等を価値向上させて売却。
配当基準日は12月末であり、現時点では配当予想額は未定となっておりますが、実績ベースでは15円のため、推定配当利回りは約2.30%となります。

 

ビーロットは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元株主に1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、直近期の配当実績額の15円との合算して試算した場合における配当優待利回りは約3.83%となります。

業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 130億円、経常利益 19.9億円 EPS 81.4円 

■2018年12月期 売上高 202億円、経常利益 28.3億円 EPS 125.8円

■2019年12月期 売上高 251億円、経常利益 35.2億円 EPS 153.0円 

■2020年12月期 売上高 264億円、経常利益 10.3億円 EPS 21.6円 

■2021年12月期 売上高 217億円、経常利益 13.2億円 EPS 54.1円 ce
□2021年6月2Q 売上高 60億円、経常利益 3.5億円 EPS 3.1円 四e

 

2020年12月期の売上高は前期比5.4%増の264億円、経常利益は同70.7%減の10.3億円となり、増収こそ確保したものの、2割近い増収増益を予想していた期初予算を大きく下回りました。主力の不動産投資事業における売却件数は前期の24件から25件に増加し、日本リート(3296)に対し「ユニゾ神田須田町ビル/13億円」、傘下の私募REITには「パシフィックマークス江坂」を130億円で売却しています。このほか「FLEG広尾FUSE」、「フロンティア南11条」、「荻窪SK」ビル等を売却しました。一方、予定していたホテル用地の取得を見送ったことによる違約金支払(▲5億円)や、所有ホテルの再評価による取得原価切下げ(▲9億円)といった一過性損失が響いたほか、全般的に販売物件の値幅が取れなかったことから、トップラインに比して減益幅が特に大きくなりました。


進行期である2021年12月期の予算については、売上高が18.1%減の218億円、経常利益は27.7%増となる13.2億円を見込んでいます。不動産投資事業における棚卸資産の期初残高は、実績期に収益物件に絞って30物件を取得したこともあり、1年前より70億円ほど多い269億円弱を確保しており、在庫自体は十分確保しており、既に1Q期間に渋谷区所在の複合ビル(地積70坪/延床225坪)の売却が公表されています。また、マネジメント事業についても、昨年より運用を開始した私募REITのAMフィー収入の増加といった上乗せ要素があるものの、「パシフィックマークス江坂」売却の剥落影響が大きく、全社では大幅減収・大幅増益見通しという歪な形となります。


当社はこれまでREITと同様に2期予想を開示していましたが、新型肺炎禍もあり一旦非開示となり、今次本決算では3ヵ年中期経営計画という形で予想期間が長くなりました。最終年度である2023年12月期の目標売上高は264億円→297億円、同経常利益は10億円→36億円をそれぞれ見込んでいます。“踊り場を作りながら”とアナウンスされているとおり、中計序盤は収益基盤の構造改革を図るべく賃料収入等のストック収入割合の増加を増やすことを企図しているものとみられ、数字の伸びが鈍い一方、終盤にかけて尻上がりに業績がビルドアップされるような絵ズラとなっています。

 

ただ当面は販売用不動産の積み上がりによる転売益の確保で数字をつくる一方、マンション販売子会社のライフステージ(旧大証HC上場、8991)との経営統合を予定しており、ノンアセットのフィー収入強化を図ります。また、物件の新たな出口確保の取組としてSBI証券と業務提携し、クラウドファンディングを開始しており、4月に第1弾物件となる新大阪の区分マンションを利回り3%でリリースしています。また昨年5月には、グロームHD(旧ロジコム)傘下のメディカルアセット投資法人及びその運用会社の全株式を取得して、ビーロットリート投資法人に改組し、2023年の公募成りを目指して第一弾物件として江坂(130億円)を取得しています。そのため、先々の業容拡大の種蒔きは出来ているものの、活況な不動産資本市場を通じて目先の業績が作れるかどうかが焦点であり、減損したホテルの販売が上手くいくかどうかが注目ポイントとなりそうです。


財務面については、恒常的にハイレバレッジ経営となっていることから、2018年5月にMSワラントで最大30億円弱の調達を目論んだものの失敗、2020年3月にも公募・売出しで約27億円を調達する予定だったものの、新型肺炎禍で再度失敗に終わっています。自己資本比率のターゲットは25%としているものの、現状は17%程度となっており、物件売却によるキャピタルリサイクリングと含み益顕在化で数字を作りながら現金回収し、その上でエクイティを調達する必要があろうかと思われます。

 

*参考記事① 2020-05-30 687円 OP

【3452】ビーロット/ユナイテッド・アーバン投資法人と期またぎで大型“交換”。

 

*参考記事② 2019-05-09 842円*分割修正済 OP

今期・翌期は高成長が続く公算も、資金調達は課題・ビーロット(3452)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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