【3452】ビーロット/ユナイテッド・アーバン投資法人と期またぎで大型“交換”。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3452】ビーロット(東証一部)  OP

現在値 687円/100株 PER3.8 PBR1.46 12月配当 株主優待あり


不動産投資業。オフィスビル・マンション等を価値向上させて売却。
配当基準日は12月末であり、現時点では配当予想額は未定となっておりますが、実績ベースでは30円のため、推定配当利回りは約4.36%となります。

 

ビーロットは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元株主に1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、直近期の配当実績額の30円との合算して試算した場合における配当優待利回りは約5.82%となります。

業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 117億円、経常利益 8.7億円 EPS 37.6円 
■2017年12月期 売上高 130億円、経常利益 19.9億円 EPS 81.4円 

■2018年12月期 売上高 202億円、経常利益 28.3億円 EPS 125.8円

■2019年12月期 売上高 251億円、経常利益 35.2億円 EPS 153.0円 

■2020年12月期 売上高 300億円、経常利益 41.8億円 EPS 178.2円 ce

□2020年3月1Q 売上高 18.1億円、経常利益▲1.1億円 EPS▲8.4円
□2020年6月2Q 売上高 100億円、経常利益 13.0億円 EPS 56.4円 四e

 

2019年12月期の売上高は前期比24.0%増の251億円、経常利益は同24.4%増の35.2億円となり、売上高は期初予算をやや下回ったものの、利益は計画水準を確保して着地しました。主力の不動産投資事業における売却件数は前期の26件から24件へと減少したものの、芙蓉総合リース(FGL)に対し総額80億円で「枚方長尾物流センター/25億円」、「ネストホテル京都烏丸/20億円」、「白鷺住宅/14億円」、「品川住宅/13億円」の4棟を一括バルクの大型売却をしたほか、2018年に自社開発した超好採算物件である「ホテル・トリフィーノ小樽運河」を売却するなどしたため、高水準の利幅を確保しました。また、コンサル事業についても、子会社のライフステージを中心とした販売代理の件数が増加したほか、不動産M&A仲介の成約もあり増収となりました。


進行期である2020年12月期の売上高は19.4%増の300億円、経常利益は18.7%増となる41.8億円と売上高・利益ともに年率2割に迫る高い成長を見込んでいます。不動産投資事業における棚卸資産の期初残高は、1年前より55億円ほど多い200億円弱を確保しているほか、3月にはユナイテッド・アーバン投資法人(UUR)から「パシフィックマークス江坂」を100億円超、NOI利回り5.2%で取得しています。実は実績期でFGLに売却した4物件・80億円は全て今年の3月にUURが取得しており、ウェアハウジングを絡めた交換取引のような格好となっています。去る5月15日には1Qを開示しており、売上高は前年同期比7割減・経常利益は実に15億円もの減益で赤転していますがこれは既述の小樽ホテル売却剥落によるものであり、会社側は現時点では新型肺炎影響を軽微としており、期初予想を据え置いています。


当社はこれまでREITと同様に2期予想を開示しておりましたが、2018年度に一度取りやめ、2019年度に復活させ、進行期である2020年12月期の予算については事前の2期予想のとおりの数字を出してきましたが、翌2021年12月期の予想についてはまた非開示に戻ってしましました。当社は業績信頼度が非常に高く、年率2割超の成長モメンタムを維持しつつガイダンスを上振れる数字を確保していましたが、さすがに新型肺炎の情勢下では翌期の予想まで開示するのは難しかったとみられます。

 

基本的には販売用不動産の順調な積み上がりによる転売益・賃料収入確保と、好採算の開発型案件による成長がドライバーとなりますが、ホテル系アセット(ホテル・ホステル・カプセルホテル等)の割合が大きいため、此方で数字を作ることは難しくなると考えられます。そのため会社側は投資用不動産の販売先を国内富裕層だけでなく、香港やシンガポール、中国などの海外投資家に広げているほか、新たな出口確保の取組としてSBI証券と業務提携し、クラウドファンディング(出資型・融資型)を開始することとしています。また今5月には、グロームHD(旧ロジコム)傘下のメディカルアセット投資法人及びその運用会社の全株式を2億円で取得する予定であり、これを私募ファンドないしREITで運用していく計画のため、そちらも新たな出口として活用する方針です。


当社のアキレス腱は財務面であり、恒常的にハイレバレッジ経営を続けているため、2018年5月にMSワラントで最大30億円弱の調達を目論んだものの、株価低迷で行使が進まずにほぼ全量買戻しとなったほか、本年3月にも公募・売出しで約27億円を調達する予定だったものの、新型肺炎による株式市場の混乱によりあえなく失敗に終わっています。そのため、20%水準まで一気に引き上げた配当性向を現状の20%程でストップさせる可能性が高く、利益成長分の増配はあると思われるものの、今期は5円増配の年35円配当が限界とみられます(期中にエクイティ調達出来ない場合は30円配の据置も)。

 

*参考記事① 2019-05-09 842円*分割修正済 OP

今期・翌期は高成長が続く公算も、資金調達は課題・ビーロット(3452)。

 

*参考記事② 2018-03-31 1,161円*分割修正済 OP

今期予想は保守的だが、そろそろ増資警戒圏か・ビーロット(3452)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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