今期・翌期は高成長が続く公算も、資金調達は課題・ビーロット(3452)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3452】ビーロット(東証一部) ---

現在値 1,684円/100株 PER5.6 PBR2.23 12月配当 株主優待あり


不動産投資業。オフィスビル・マンション等を価値向上させて売却。
配当基準日は12月末であり、現時点では配当予想額は未定となっておりますが、実績

ベースでは50円のため、推定配当利回りは2.96%となります。
 

ビーロットは株主優待制度を導入しており、12月末現在の単元株主に1,000円分のクオ

カードを進呈しておりますので、直近期の配当実績額の50円との合算して試算した場合

における配当優待利回りは約3.56%となります。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 69.5億円、経常利益 6.5億円 EPS 56.3円
■2016年12月期 売上高 117億円、経常利益 8.7億円 EPS 75.3円 
■2017年12月期 売上高 130億円、経常利益 19.9億円 EPS 162.8円 

■2018年12月期 売上高 202億円、経常利益 28.3億円 EPS 251.6円(2/14)

■2019年12月期 売上高 263億円、経常利益 33.6億円 EPS 298.6円 ce
□2019年6月中間 売上高 65.0億円、経常利益 6.5億円 EPS 57.0円 四e

2018年12月期の売上高は前期比54.7%増の202億円、経常利益は同41.7%増の28.3億

円となり、売上高は期初予算通りとなったものの、利益は大きく上振れして着地しました。

主力の不動産投資事業における売却件数は前期の21件から26件へと増加し、当社が

開発から沖縄で手掛けたホテル1号案件である「TISSAGE HOTEL by NEST NAHA」を、

福岡REIT(8968)へ28億円で売却したことが大きく利益寄与しました。このほかにも、

西新橋一棟ビルや福岡市一棟レジなど、転売ではなく開発型の販売が多かったため、

好市況も相俟って、想定超の利幅を確保しました。一方、子会社であるライフステージ

が手掛けるコンサル事業(マンション販売代理)については期ズレにより、セグメントで

は減収減益となったものの、事業構成比が低いため、殆ど影響はありませんでした。


進行期である2019年12月期の売上高は29.8%増の263億円、経常利益は18.6%増となる

33.6億円と売上高・利益ともに2~3割の高い成長を見込んでいます。不動産投資事業

における棚卸資産の期初残高は、1年前より30億円ほど多い145億円を確保している

ほか、実際足元2月には昨年竣工済の開発型案件「ホテル・トリフィート小樽運河」の

売却を公表しており、この一棟だけで売上高26億円・経常利益10億円(いずれも推定)

ほどの業績インパクトが予想されることから、今期も期初から順調な業績進捗が期待

されます。また、コンサル事業についても期ズレ分の回収寄与が見込まれます。


当社はこれまでREITと同様に2期予想を開示しておりましたが、2018年度に一度取り

やめ、そしてまた今期は2年中計という形で2期予想を復活させました。注目の2020年

12月期の業績予想については、売上高300億円(CAGR22%/2y)、経常利益41.2億円

(CAGR21%/2y)を予想しており、今期・来期共にに年率2割の水準で売上高と利益の

成長を見込んでいます。当社は上場以降必ずこれらガイダンスで示した利益予算を

確実に守って毎期の決算を着地させているため、蓋然性の高い予算とみられます。

 

基本的には販売用不動産の順調な積み上がりと、開発型案件割合の増加による採

算性の良化が高成長のドライバーとなるとみられ、2018年売却の沖縄・2019年売却

の小樽運河以外にも、銀座(120床)、京都清水(113床)といった開発型のホステル

が未売却となっているほか、不動産MAにより取得してリノベした五反田のカプセル

ホテル2棟も未売却なので、最悪これらホテルの売却で数字を作ることが可能です。

 

また、今後の不透明な国内不動産市況を想定した上で、投資用不動産の販売先を

国内富裕層だけでなく、香港やシンガポール、北京などの海外投資家に広げており、

他の多くの同業不動産転売業者と異なり海外販路を保持しているため、仕入・販売

ともに手当てがなされている状況と判断されます。そのため、不動産市況の急変が

あった場合においても、(少なくとも)本中計期間は十分耐え得るものと考えます。


一方、この前のめりな中計を裏で支えるのが、相変わらずのハイレバレッジ経営であ

り、自己資本比率は足元でやや良化したものの、24.6%に留まっています。実は昨年

5月にMSワラントで最大30億円弱の調達を目論んだものの、その後の株価の低迷に

より殆ど予約権の行使が進まず、本年4月にほぼ全量が買戻しとなり、資金調達に

失敗しています。そのため、一気に引き上げた配当性向は、現状の20%程でストップ

する可能性は高く、利益成長分の増配はあると思われるものの、今期は10円増配と

なる年60円配当がせいぜいかとみられます。

 

*参考記事① 2018-03-31 2,322円 ---

今期予想は保守的だが、そろそろ増資警戒圏か・ビーロット(3452)。

*参考記事② 2017-04-25  1,020円*分割修正済 ---

相次ぐMAで今期3割成長も、財務も急悪化・ビーロット(3452)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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