全社的に動き鈍く、守りの経営に突入か・ツカダ・グローバルホールディング(2148)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2418】ツカダ・グローバルホールディング(東証1部)  ---

現在値 602円/100株 PER9.2 PBR0.81 6月配当優待12月配当優待

欧米風邸宅での挙式・披露宴を行う婚礼が主力。ハワイ等でも展開。
配当金は6月末・12月末の年2回の5円ずつの配当で、配当利回りは1.66%となります。

ツカダ・グローバルホールディングは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末現在の

単元株主に対して、500円相当のクオカードを年2回進呈しておりますので、配当金と合計

した配当優待利回りは約3.31%となります。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 538億円、経常利益 54.3億円 EPS 79.5円
■2016年12月期 売上高 553億円、経常利益 35.9億円 EPS 40.3円 
■2017年12月期 売上高 572億円、経常利益 43.9億円 EPS 46.1円 

■2018年12月期 売上高 601億円、経常利益 52.5億円 EPS 50.8円 

■2019年12月期 売上高 630億円、経常利益 55.6億円 EPS 64.9円 ce
□2019年6月中 売上高 295億円、経常利益 12.0億円 EPS 13.6円 ce

2018年12月期の売上高は前期比5.1%増の601億円、経常利益は同19.5%増の52.5億円と

なり、概ね期初予算水準での着地となりました。主力の国内婚礼については、2017年10月

に開業したストリングス表参道の通期稼働効果や、昨年3月に開業した芦屋の寄与により

施行組数が増加しました。また、海外婚礼についても、ハワイの提携販売が好調に推移し、

施行組数が大幅増となりました。一方、ホテル事業については、竹芝インターコンチや品川

ストリングスが堅調に推移したものの、建築中のキンプトン新宿の借地地代の発生が開始

したほか、ホテル婚礼については低調だったため、同セグは2桁の減益となりました。


進行期である2019年12月期の通期予算については、売上高が4.7%増の630億円、経常利

益は5.8%増の55.6億円を予想しています。期初時点における婚礼受注残高は、1年前に比

べて2.9%増となる8,298件の確保となっており、これは昨年3月開業の芦屋の通期稼働効果

などによります。今期は婚礼事業・ホテル事業ともに名有りの新規案件がないため、既存

物件のオーガニックな内部成長が中心となる見通しであり、婚礼におけるマーケティング

の強化や、婚礼付帯サービスの内製化による利益取り込み策など、いわゆる“筋トレ系”

の取り組みが主となります。好調なハワイ事業については、旧「レストラン京や」の取得と

サロンへの改装にくわえて、邸宅を追加取得し、ゲストハウス挙式を強化する方針です。

 

当社は中長期的な目標値を公表しておらず、マテリアルの棒グラフのグラデーションで

しか今後の業績の伸びが推定出来ないものの、2年半後の2021年12月期に売上高で約

700億円(利益は棒グラフなし)を見込んでいるとみられますが、この棒グラフは毎年下方

にローリングしているため、あまり参考にはなりません。ただ、2020年12月期については

自社開発による西新宿のホテルが開業予定となっており、当初はANA/IHGのブランドで

あるストリングスが冠される予定でしたが、IHGのブティックブランドである「キンプトン」に

変更され、宿泊のオペレーションは当社が行わず、ANA/IHGに丸投げとなっています。

当社が担うのは、人材採用と戦略立案といった上流のマネジメント部分と、建物の所有

(土地は借地)だけであり、ホテル事業というよりもホテル大家業に近い案件といえます。

 

数字的な上乗せが見込まれるのはこの「キンプトン」と、W&R事業における、複合スパ

であり、こちらは昨年末の海浜幕張の開業にくわえ、本年5月に京都でも開業を予定して

いるため、順調な出店基調が確認出来るので、業績へのインパクトは限定的ではある

ものの、W&R事業のセグメント赤字については早晩解消に向かうものとみられます。

 

また、財務面については配当金を年10円に固定化させることで、極力内部留保に回して

いるため、自己資本比率は概ね40%水準をキープしています。実績期に固定資産であ

る神宮前の土地を売却して借金を一部返済しているほか、式場新設の予定もないので、

今後は一段と財務の良化が進むとみられます。会社側の考えとしては、2014年に買収

したRAJA(Queensway)のようなMA案件の出物を待ち構えているものとみられますが、

いかんせん全社的に手詰まり感は強く、創業者の塚田氏が役員となったご子息の今後

の“泳ぎ幅を確保する”ために、財務を温存して守りに入った可能性もありそうです。

 

*参考記事① 2018-11-17 640円 ---

今期は達成圏だが、今後の“名有り”案件が少ない。ツカダ・グローバルホールディング(2148)。

*参考記事② 2018-04-23  644円 ---

一段と財務良化で、MA等の“飛び道具”に期待。ツカダ・グローバルホールディング(2148)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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