【5301】東海カーボン(東証1部) ---
現在値 1,279円/100株 PER4.1 PBR1.45 12月・6月配当 株主優待あり
炭素製品大手。カーボンブラック国内首位。電炉用電極、半導体・太陽光向け素材も。
配当金は年2回・合計48円配当のため、配当利回りは3.75%となります。
東海カーボンは株主優待制度を導入しており、100株を1年以上継続保有する12月末の
株主に対して、2,000円分相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回
りは約5.31%となります。また3年超の長期保有により進呈額が3,000円相当となるため、
その場合の配当優待利回りは約6.09%となります。
業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 1,048億円、営業利益 40億円 EPS 11円
■2016年12月期 売上高 885億円、営業利益 11億円 EPS ▲37円
■2017年12月期 売上高 1,062億円、営業利益 114億円 EPS 55円
■2018年12月期 売上高 2,313億円、営業利益 752億円 EPS 347円
■2019年12月期 売上高 3,227億円、営業利益 987億円 EPS 310円 ce
□2019年6月中間 売上高 1,558億円、営業利益 485億円 EPS 153円 ce
2018年12月期の売上高は前期比2.1倍の2,313億円、営業利益は同6.7倍の752億円と
なり、期中に4度もの上方修正を経て、等比級数的な業績伸長を果たしました。主力の
黒鉛電極事業において、中国製鋼業における高炉から電炉への急速なシフトといった
経営環境の劇的な好転にくわえ、リチウムイオン電池の原料にもなるニードルコークス
の需給ひっ迫により、黒鉛電極への価格転嫁が一層推進されたことで業績が飛躍的に
押し上げられました。カーボンブラック事業についても、得意先であるタイヤメーカーの
品質重視方針により、中国同業他社よりも当社製品の選好傾向が強まりました。
進行期である2019年12月期の予算については、売上高が39.5%増の3,227億円、営業
利益は31.1%増の987億円と続伸を予想しています。主力の黒鉛電極事業については、
引き続き中国における極めて良好な事業環境を追い風に販売数量・販売単価の増加
が期待できる状況にあるため、全社業績を大きく押し上げる見通しです。また、昨年に
韓国法人を持分法から子会社に引き上げたことや、米国SRC社の買収(これらは後述)
効果もあり、のれんの償却負担額が大きいものの、ネットではプラス寄与となります。
今期は新3年中計の初年度となっており、最終年度の2021年12月期に売上高3,800億
円(CAGR18%)、営業利益1,130億円(CAGR14%)を目標としています。実績期で旧3年中
計が期間満了となりましたが、売上高目標は倍以上、営業利益目標に至っては6倍超と
いう破格の水準での超過達成となりました。そのため、新中計期間の業績モメンタムは
さすがに鈍化するものの、2017年に同業である昭和電工がドイツのSGLを買収する際
に米国の独禁法に引っ掛かり、当社はその機に乗じてSGLの米国部門であるSGL・GE
社に129億円を投じて完全子会社化し、黒鉛電力の生産能力を一気に1.5倍水準にまで
引き上げるとともに、昭和電工・米国グラフテックに次いでグローバルでは第3位級の
黒鉛電極メーカーに躍り出ています(なお、これら上位2社とはかなりの差があります)。
また、上述のとおり2018年には78億円を投じて韓国法人の株式を追加取得(+9%)した
ほか、同年9月には341億円を投じて、米国のカーボンブラックメーカーであるSRC社を
矢次早に買収しており、カーボンブラックメーカーとしても、グローバルで第4位級まで
業界順位を上げてきています。現状のところ、コアである黒鉛電極とカーボンブラックの
業界環境があまりに良すぎるため、そちらをMAで拡大する動きが目立っていますが、
新中計期間ではファインカーボンや摩擦材・負極材の設備投資に注力する方針です。
大型買収が相次いでいるため、気掛かりとなるのは財務状況ですが、足許の業績の
急拡大による自己資本の積み上がりがあまりに急ピッチであるほか、実績期は特殊要
因でボトムラインが膨らんだこともあるものの、配当性向を僅か6.9%水準に留めたため、
自己資本比率は余裕で60%レベルをキープしているような状況です。そのため、会社側
でも当面はエクイティファイナンスを実施しない旨アナウンスしているほか、株主還元も
中計期間中に配当性向を30%水準(今期予想は15.5%)まで引き上げる方針を明らかに
しています。また、これとは別に自社株買いについても匂わせており、現在の株価水準
については社長も「株価は安すぎるので、3,000円が妥当」とコメントしていることから
いつどのタイミングで自社株買いが飛んできてもおかしくないと判断できます。
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*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。