【3252】地主/私募REITの“潮目”が変化しつつあるが、低LTVを活かした成長が期待される。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3252】地主(東証プライム) OP

現在値 2,344円/100株  P/E 7.7  P/B 1.16  12月配当株主優待 6月株主優待

スーパーなどテナントの商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。私募REITも。
配当金は12月末一括の85円で、配当利回りは約3.63%となります。

 

地主は株主優待制度を導入していましたが、2023年末進呈分を以って廃止しています。
 

業績を確認していきます。

■2021年12月期 売上高 561億円、経常利益 50.0億円 EPS 170.9円 

■2022年12月期 売上高 498億円、経常利益 59.4億円 EPS 199.1円  

■2023年12月期 売上高 315億円、経常利益 57.1億円 EPS 267.7円 

■2024年12月期 売上高 550億円、経常利益 73.0億円 EPS 304.1円 ce 

□2024年3月1Q 売上高 297億円、経常利益 42.9億円 EPS 167.7円(5/10)

□2024年6月2Q 売上高 220億円、経常利益 27.5億円 EPS 115.6円 四e

2023年12月期の売上高はYoY▲36.7%の315億円、経常利益はYoY▲3.8%の57.1億円となり、中間時点の修正見通し並みで着地しました。1月6日に傘下REIT向けに4物件・63億円(公益社平野会館、スギ薬局愛知東郷、セキ薬局立川、ライフ川越塚越)を売却したほか、ブリッジ案件としてビバホーム多摩美大前、ダイレックスおゆみ野、スーパーマルハチ東加古川、コーナンPRO春日井をリース会社に売却したものの、期中で利益予算確保の目途が立って翌期送りを進めたため、大幅減収となりました。


進行期である2024年12月期の予算については、売上高がYoY+74.1%の550億円、経常利益はYoY+27.7%の73.0億円(期予:UNCH)を予想しています。1月10日に傘下REIT向けに10物件・136億円(アイスコ横浜青葉、アビタシオン福岡中央、アルプス神奈川愛川など)を拠出しており、通期の過半の数字が既に出来上がっている状況です。期初時点の販売用不動産残高もYoY*2.1倍の600億円と高水準を確保しており、5月10日に公表済の1Qは売上高252億円&経常益59.8億円に急伸しています。

 

進行期は5年中計の3年度目であり、最終年度の2026年12月期までに売上高を561億円→1,000億円、当期純利益を31億円→70億円に其々引き上げるとともに、ROE13%(実績11.9%)、自己資本比率30%以上(実績42.8%)を維持する目標です。中核は私募の「地主プライベートリート」拡大であり、AUMを1,515億円→3,000億円に倍増させる計画です。本年1月には8th_POの実施により、WH既拠出分含め合計400億円程の組入れにより、AUMを2,216億円まで膨らませています。

 

底地市場のTAMは昨年の5兆円から、2027年には10兆円に達すると目されることから、REITの中長期的なAUM水準として「5,000億円~1兆円」規模を志向しています。本年1月実施済の8th_POでの物件取得額は400億円超の規模となり、年金・生損保らの投資需要は依然として旺盛とみられるものの、一部機関投資家の外債含み損の抱き合わせ売りによる需給悪化や、金利の先高感でスプレッド低下が見込まれることから、業界全体が好調だった私募REIT業界も“潮目”の変化による不透明感が漂い始めた状況です。

 

会社側では出口戦略拡大の一環として、個人投資家向けに「地主倶楽部」という不特法の小口販売(1口10万円、利回り3%+)をローンチしており、1号案件となる大倉山の電材代理店倉庫の優先出資者募集分1.9億円は既に募集完了しています。なお重要指標である棚卸資産については、ホスピスやシニア、葬儀場といった新型アセットの組入れを増やしており、足許で514億円水準まで膨らんでいます。そのため、低水準のLTVを活用して分配金をビルドアップし、年初の期初POが継続出来ることを前提とすれば、中計達成の蓋然性があるものとみます。

 

財務状況については、定期的なREIT拠出によるキャピタルリサイクリングが効いていることもあり、足許の自己資本比率は34.3%と安定的な水準を維持しています。株主還元については、株主優待廃止との見合いで、一気に30円の増配に踏み切っており、年85円配当(配当性向28.0%)を見込んでいます。

 

*参考記事① 2023-12-12  2,250円 BY

【3252】地主/3QにREIT向けブリッジ完了で利益予算過達、来年度も成長軌道が維持されよう。


 *参考記事②  2023-05-20  1,955円 BY

【3252】地主/投資家ニーズ、案件仕入とも順調で、中長期的な安定成長が続こう。

 

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