【3064】MonotaRO/12年振りに社長交代、国内市場の売上成長率の回復が投資論点。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3064】MonotaRO(東証プライム)  OP

現在値 1,672円/100株   P/E 33.1  P/B 9.37  12月配当優待 6月配当

工場・工事用の間接資材のネット通販。同分野の米国大手が親会社。
配当金は12月・6月の年2回、合計19.0円のため、配当利回りは1.14%となります。

MonotaRoは株主優待制度を実施しており、半年以上継続保有する12月時点の単元株主に対して、3,000円の自社PB商品を進呈しており、配当優待利回りは約2.93%となります。なお、3年以上継続で5,000円、5年以上継続で7,000円に拡充されますので、その場合の同利回りは、約4.12%、約5.32%となります。

業績を確認していきます。

■2021年12月期 売上高 1,897億円、営業利益 241億円、EPS 35.3円 

■2022年12月期 売上高 2,259億円、営業利益 262億円、EPS 37.5円 

■2023年12月期 売上高 2,542億円、営業利益 313億円、EPS 43.9円

■2024年12月期 売上高 2,865億円、営業利益 358億円、EPS 50.5円 ce

□2024年3月1Q 売上高 691億円、営業利益 89億円、EPS 12.5円 (4/25)

□2024年6月2Q 売上高 1,390億円、営業利益 170億円、EPS 23.9円 ce 

 

2023年12月期の売上高はYoY+19.1%の2,259億円、営業利益はYoY+8.6%の262億円となり、計画をやや下回って着地しました。国内は注文回数増・単価増が寄与したほか、大企業購買システム事業がYoY+34.6%と高成長が持続した一方、米国の物流混乱に伴う一過性需要剥落でGraingerロイヤリティが減少しました。利益面についても、仕入原価増の転嫁により粗利率が改善したものの、ロイヤリティ減が響きました。なおKPIの登録口座数は+1,100千口座の9,106千口座となり、計画をやや下回りました。


進行期である2024年12月の通期予想については、売上高がYoY+12.7%の2,865億円、営業利益はYoY+14.4%の358億円を見込んでいます。継続的な新規口座積み増しと、新型肺炎禍の一過性需要の反動減からの回復を見込むほか、大企業購買システム事業もYoY+28.4%と高成長維持を見込みます。利益面についても、相対的に採算性の低い大企業連携割合増加や円安が影響があるものの、猪名川DCの生産性改善が寄与します。なお4月25日に開示済の1Q決算は、売上高691億円&営業利益89.0億円と高進捗が確認され、期末のKPIの登録口座数は、YoY+1,027千口座の10,134千口座を計画しています。

 

当社は中長期の経営計画を開示しておらず、数年来維持してきた年率20%以上の水準を維持してきた売上高成長率は、予想ベースで年10%台前半まで急低下しています。それでも国内の間接資材のTAMは5兆円~10兆円と非常に大きく、当社シェアは依然2~3%程に過ぎないことから拡大余地は膨大に残されている状況です。親会社の米Graingerは、米国MRO市場で最大のシェア(7%)を有しており、それでも売上高成長率は年10%台後半を維持しています。

 

当面の取組事項は、①大企業連携強化、②物流機能、検索性能・UI/UX強化等のサイト機能性向上、③海外強化が挙げられます。①はトラスコ中山、ミスミ(VONA)、アスクル(ソロエル)より後発のため、固定価格制といった事実上の割引で顧客獲得を進めて高成長してきたものの、これを採算性重視に切り替えており、結果として売上成長率が鈍化してきています。②は2022年に猪名川でプロロジスの新DC第Ⅰ期(出荷能力:約9万行)、昨年には第Ⅱ期(同9万行)が稼働を開始させたほか、2027年には水戸で新DC(投資額460億円、出荷能力:約30万行)を竣工させる予定です。

 

③の海外は、過去に中国事業を撤退させた経緯があるものの、韓国事業が順調に推移しているほか、2016年に尼でMONOTARO INDONESHIAを3億円で買収し、2020年には印でIB Monotaroに16億円を投じて52%持分を取得しています。また上述したGraingerからの受取ロイヤリティー額の成長も期待出来るものの、これら海外は何れも粒度が小さいことから、12年振りに交代した新社長の田村咲耶氏(41歳)が国内事業を再び成長軌道に戻せるどうかが投資論点となります。

 

財務状況については、自己資本比率が69.8%、ネット無借金と盤石な状態となっています。ECではあるものの、DC開設サイクルの早期化によりある程度は資金需要が存在します。配当については、配当性向37.6%基準で3銭の増配となる年19.0円配を見込んでいますが、Grainger持分比維持のため、還元強化はあくまで現金配当と考えられます。


*参考記事① 2023-05-12  1,973円 OP

【3064】MonotaRo/売上やや低調ながら値上げで採算性は急改善、当面は高成長が続こう。

 

*参考記事② 2022-11-17  2,488円 OP

【3064】MonotaRO/製造業回復で価格転嫁も進む、トップライン2割成長路線を堅持。 

 

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