【3064】MonotaRO/製造業回復で価格転嫁も進む、トップライン2割成長路線を堅持。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【3064】MonotaRO(東証プライム)  OP

現在値 2,488円/100株   P/E 72.8  P/B 18.5  12月配当優待 6月配当

工場・工事用の間接資材のネット通販。同分野の米国大手が親会社。
配当金は12月・6月の年2回、合計13.5円のため、配当利回りは0.54%となります。

MonotaRoは株主優待制度を実施しており、半年以上継続保有する12月時点の単元株主に対して、3,000円の自社PB商品を進呈しており、配当優待利回りは約1.74%となります。なお、3年以上継続で5,000円、5年以上継続で7,000円に拡充されますので、その場合の同利回りは、約2.55%、約3.30%となります。

業績を確認していきます。

■2019年12月期 売上高 1,314億円、営業利益 158億円、EPS 22.1円 

■2020年12月期 売上高 1,573億円、営業利益 196億円、EPS 27.7円

■2021年12月期 売上高 1,897億円、営業利益 241億円、EPS 35.3円 

■2022年12月期 売上高 2,260億円、営業利益 243億円、EPS 34.3円 ce

□2022年6月2Q 売上高 1,098億円、営業利益 131億円、EPS 18.7円

□2022年9月3Q 売上高 1,659億円、営業利益 193億円、EPS 26.4円(10/28) 

 

2022年6月中間期の売上高はYoY+19.9%の1,098億円、営業利益はYoY+10.4%の131億円となり、計画を大きく上回りました。新型肺炎禍の一巡で高採算のマスクに代表されるPB品が反落したものの、製造業向けが総じて回復したほか、円安等を起因とした原価高騰にともなう価格転嫁が進みました。また利益面についても、単価上昇による物流比割合の減少や販促費減が効き、利益率は一段と改善しています。大企業購買管理システム事業はYoY+38.1%を維持したほか、KPIの登録口座数も+636千口座の7,416千口座となり、計画線を確保した模様です。


2022年12月の通期見通しは据え置いており、売上高がYoY+19.2%の2,260億円、営業利益はYoY+1.0%の243億円を予想しています。経済活動正常化により製造業が堅調に推移しているほか、注力中の大企業購買システム事業もYoY+36.0%と高成長見込みのため、大企業割合増加による粗利低下が予期されるものの、実際は価格転嫁の進展と単価増による配送効率の向上効果の方が大きく、利益率が想定超に改善します。一過性の押し下げ要素として、尼崎DCから猪名川DCへの移転により割増人件費や稼働率低下、尼崎DCの原状回復費があるものの、上振れが見込まれます。なお、KPIの登録口座数については、YoY+1,313千口座増の8,092千口座を見込んでいます。

 

当社は中長期の経営計画を開示していないものの、予想を含む直近5年間の売上高、営業利益CAGRは2割超の水準を維持しています(※進行期で利益成長は一服)。国内・間接資材のTAMは5兆円~10兆円と推計される一方、当社シェアは依然として2%程に過ぎないことから、向こう5年程度において年率2割弱のトップライン成長は可能と考えられます。当社親会社である米グレンジャー社は、米国市場で14%の市場シェアを握っていることから、少なくともその半分程のシェア7%程(今の3.5倍)の水準までは可視性が高そうです。

 

今後の成長ドライバーとして、①エンタープライズ強化、②物流機能、検索性能・UI/UX強化等のサイト機能性向上、③海外強化が挙げられます。①はトラスコ中山やアスクルらよりも後発になるものの、短期導入出来る購買管理システムを武器に会員獲得が進み、年4割の成長モメンタムを実現しています。②については、本年4月に兵庫・猪名川にプロロジスから最新のDCを賃借しており、中長期では自動化・省人化進展による採算性の改善が期待されるものの、DCの早期・大規模化により減価償却費の膨張ペースが早く、利益改善が可視化されにくい状況となっています。

 

その他の注力事項として、SEOやリスティングによる広告強化やリコメンド機能や検索性能の向上により買い上げの高速化や数量増・単価増に取り組むほか、足許では原価増の価格転嫁が逆に物流コストの低減(物流費割合の相対的な低下、ボリューム割引)に繋がるなど、思わぬ利益改善も進んでいます。そのため、トップライン成長は徐々に年率2割ペースから鈍化が見込まれる一方、巡行の利益成長率については年2割を超過することが期待されます。

 

財務状況については、自己資本比率が63.0%、ネット無借金と盤石な状態となっています。ECのため大きな資金需要はないものの、DC開設サイクルの早期化に伴って、ある程度は財務を温存しているものとみられます。配当については配当性向39.3%基準で2円増配の年13.5円が予想されていますが、グレンジャーの持分比率維持のため、追加的な株主還元は配当でなされるものと考えています。

 

*参考記事① 2022-04-25  2,398円 OP

【3064】MonotaRo/プロロジス猪瀬川DCへの移転費用が重く、利益は想定外の横ばい圏。

 

*参考記事② 2021-10-20  2,604円 OP

【3064】MonotaRO/推定TAM8兆円で、向こう3年程は年率2割弱の成長が可能か。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ