【3064】MonotaRO/推定TAM8兆円で、向こう3年程は年率2割弱の成長が可能か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3064】MonotaRO(東証一部)  OP

現在値 2,604円/100株   P/E 74.6  P/B 24.4 12月配当優待 6月配当

工場・工事用の間接資材のネット通販。同分野の米国大手が親会社。
配当金は12月・6月の年2回、合計11.5円のため、配当利回りは0.44%となります。

MonotaRoは株主優待制度を実施しており、半年以上継続保有する12月時点の単元株主に対して、3,000円の自社PB商品を進呈しており、配当優待利回りは約1.59%となります。なお、3年以上継続で5,000円、5年以上継続で7,000円に拡充されますので、その場合の同利回りは、約2.36%、約3.12%となります。

業績を確認していきます。

■2018年12月期 売上高 1,095億円、営業利益 137億円、EPS 19.2円 

■2019年12月期 売上高 1,314億円、営業利益 158億円、EPS 22.1円 

■2020年12月期 売上高 1,573億円、営業利益 196億円、EPS 27.7円

■2021年12月期 売上高 1,942億円、営業利益 246億円、EPS 34.7円 ce

□2021年6月2Q 売上高 918億円、営業利益 118億円、EPS 16.8円(7/30) 

 

2021年6月中間の売上高は前年同期比22.0%増の916億円、営業利益は同27.7%増の118億円となり、2割超の増収増益となったものの予算割れとなりました。新型肺炎禍の一巡により事業者向けネット通販の単価・頻度・顧客数が伸長したほか、大企業向けの購買管理システムも順調に推移した一方、数字が強かった昨年下期の数字を前提に予算組みしていた点や、マスクや消毒液等の売上が好調だった個人向けが反動減となったことが未達の要因です。


2021年12月通期の見通しは期初予想を据え置いており、売上高は前期比23.4%増の1,942億円、営業利益は同25.9%増の246億円を見込んでいます。企業活動が不規則となっているものの、製造業の在庫サイクルを鑑みればペントアップ需要自体は存していることから、下期である程度取り返すことが想定されます。既開示の7‐9月月次売上高については、【112%→119%→121%】と堅調な推移が確認されます。また、登録口座数も上期末時点で前期末比+653千増の6,153千口座と順調に推移しており、期末計画の6,921千口座への積み上げが見込まれます。

 

当社は中長期の経営計画を開示していないものの、予想を含む直近5年間の売上高、営業利益CAGRは2割超の水準をキープしています。スケール化により今後は成長率の鈍化が予想されるものの、国内の間接資材のTAMは5兆円~10兆円(会社側は8兆円の認識)ともされており、当社シェアは依然2%程度に過ぎないことから、向こう3年程度は年率2割弱の売上・利益成長は可能と考えています。なお、当社親会社のグレンジャーは米国の同市場で14%のシェアを握っていることから、少なくともその半分程度までは「なりゆき」で成長することが目されます。

 

今後の成長ドライバーは①エンタープライズの強化、②物流機能、検索性能やUI/UX強化等のサイト機能性向上、③海外強化が挙げられます。①は大企業向けであり、トラスコ中山やアスクルらよりも後発になるものの、短期導入出来る購買管理システムを武器に導入社数を急速に伸ばしています。②の物流機能は、本年3月に先進的DCである茨城中央SCを稼働させたほか、翌年4月には兵庫・猪名川にプロロジスのDCの新規稼働を予定しており、大幅に強化される見通しです。サイト機能性向上についても、従来型のSEO対策のみならず、Google BigQueryとプレイドのkarteツール活用により、データベースマーケティングとCXでコンバージョン強化を図っています。

 

他方、財務状況については自己資本比率6割、ネット現金120億円程と盤石な状況であるほか、そもそもEC業のため設備投資が少ないほか、物流拠点も基本的には賃借が多いため資金需要が限定的であり、自己資本が積み上がりやすい構造となっています。配当については性向30%基準で2.5円増配の年11.5円が予想されていますが、グレンジャーの持分比率維持(自社株買いを実施すると同社の持分が増加してしまう)のため株主還元は原則配当で実施される公算が高そうです。

 

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