【3064】MonotaRo/プロロジス猪瀬川DCへの移転費用が重く、利益は想定外の横ばい圏。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3064】MonotaRO(東証一部)  OP

現在値 2,398円/100株   P/E 69.8  P/B 20.1  12月配当優待 6月配当

工場・工事用の間接資材のネット通販。同分野の米国大手が親会社。
配当金は12月・6月の年2回、合計13.5円のため、配当利回りは0.56%となります。

MonotaRoは株主優待制度を実施しており、半年以上継続保有する12月時点の単元株主に対して、3,000円の自社PB商品を進呈しており、配当優待利回りは約1.81%となります。なお、3年以上継続で5,000円、5年以上継続で7,000円に拡充されますので、その場合の同利回りは、約2.64%、約3.48%となります。

業績を確認していきます。

■2018年12月期 売上高 1,095億円、営業利益 137億円、EPS 19.2円 

■2019年12月期 売上高 1,314億円、営業利益 158億円、EPS 22.1円 

■2020年12月期 売上高 1,573億円、営業利益 196億円、EPS 27.7円

■2021年12月期 売上高 1,897億円、営業利益 241億円、EPS 35.3円 

■2022年12月期 売上高 2,260億円、営業利益 243億円、EPS 34.3円 ce

□2022年6月2Q 売上高 1,089億円、営業利益 117億円、EPS 16.5円 ce 

 

2021年12月の売上高はYoY+20.6%の1,897億円、営業利益はYoY+23.1%の241億円となり、2割の増収増益も対予算未達となりました。新型肺炎禍の一巡により下期にかけて特に製造業向けの単価・頻度・顧客数が増加したほか、大企業向けの購買管理システムも順調に伸長(YoY+42.9%)しました。他方、マスクや消毒液等の売上が好調だった個人向けが反動減となったほか、好採算商品の減少によるミックス悪化で利益も伸び悩みました。なおKPIの登録口座数についてはYoY+1,278千口座の6,779千口座となり、此方も計画に届きませんでした。


進行期である2022年12月の予算は、売上高がYoY+19.2%の2,260億円、営業利益はYoY+1.0%の243億円を見込んでいます。SEOやリスティングによる広告強化やリコメンド機能や検索性能の向上により買い上げの高速化や数量増・単価増に取り組むほか、経済活動正常化も追い風となり、大企業向けシステムはYoY+36.0%と高成長継続が見込まれることから、売上高は2割弱の成長を見込みます。他方、利益については、尼崎DCから猪名川DCへの移転により、割増人件費や稼働率の低下、尼崎DCの原状回復など一過性の費用増が重しとなるほか、減価償却費も想定超となり横ばい計画となります。なお、KPIの登録口座数については、YoY+1,313千口座増の8,092千口座を見込んでいます。

 

当社は中長期の経営計画を開示していないものの、予想を含む直近5年間の売上高、営業利益CAGRは2割超の水準を維持しています(※進行期で利益成長は一服)。今後は成長率の鈍化が予想されるものの、国内の間接資材のTAMは5兆円~10兆円と推計される一方、当社シェアは依然として2%程に過ぎないことから、向こう5年程度において年率2割弱のトップライン成長は可能と考えられます。参考までに当社親会社である米グレンジャー社は、米国市場で14%の市場シェアを握っていることから、少なくともその半分程のシェア7%程まではさほど無理なく成長出来る公算が高そうです。

 

今後の成長ドライバーは①エンタープライズの強化、②物流機能、検索性能やUI/UX強化等のサイト機能性向上、③海外強化が挙げられます。①はトラスコ中山やアスクルらよりも後発になるものの、短期導入出来る購買管理システムを武器に導入社数を急速に伸ばしています。②の物流機能は、昨年3月に先進的DCである茨城中央SCを稼働させたほか、本年4月には兵庫・猪名川にプロロジスのDCの新規稼働を予定しています。特に最新のDCでは自動化・省人化がかなり進んでいるため、中長期的には採算性改善が期待されます。他方、年率2割のトップライン成長に合わせてDC開設が早期化・大規模化していることから、減価償却費の増加も早くなっており、利益改善が可視化されにくいのがネックとなっています。

 

財務の状況については、自己資本比率が61.9%水準、ネット無借金と盤石な状態となっています。ECのため大きな資金需要はないものの、先述のとおりDC開設サイクルが急ピッチとなっており、賃借としても一過性費用が少なくないので、ある程度温存している模様です。なお、配当については配当性向39.3%基準で2円増配の年13.5円が予想されていますが、グレンジャーの持分比率維持(自社株買いを実施すると同社の持分が増加してしまう)のため、株主還元は原則配当で行われるものと推察されます。

 

*参考記事① 2021-10-20  2,604円 OP

【3064】MonotaRO/推定TAM8兆円で、向こう3年程は年率2割弱の成長が可能か。

 

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