【6789】ローランド.ディー.ジー.(東証一部) OP
現在値 3,330円/100株 P/E 7.8 P/B 1.44 6月優待 12月配当優待
広告・看板用インクジェットプリンタで世界首位級。筆頭株主がローランドから親会社ファンドに。
配当金は年2回・合計130円配当のため、配当利回りは3.90%となります。
ローランド.ディー.ジー.は株主優待制度を実施しており、12月末時点の1年以上継続保有の単元株主に対し、3,000円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.80%となります。
業績を確認していきます。
■2018年12月期 売上高 427億円、営業利益 42.5億円 EPS 229円
■2019年12月期 売上高 407億円、営業利益 27.9億円 EPS 155円
■2020年12月期 売上高 347億円、営業利益 5.0億円 EPS 20円
■2021年12月期 売上高 450億円、営業利益 60.5億円 EPS 299円
■2022年12月期 売上高 494億円、営業利益 73.0億円 EPS 425円 ce
□2022年6月2Q 売上高 239億円、営業利益 30.0億円 EPS 168円 ce
2021年12月期の売上高はYoY+29.7%の494億円、営業利益はYoY12倍の60.5億円となり、期中複数回の増額見通しを更に上回って着地しました。主力のプリンターは新型肺炎禍の一巡と豊富な受注残を抱えていたことから増勢となり、“感染防止”を知らせるフロアサインが好調に推移したほか、イベント再開準備による先行受注の獲得が進みました。エリア別では展開全域で売上が反転増となり、特に構成比の大きい欧州でサイン・プリンターの出力需要の回復がみられたほか、北米は旺盛な投資需要に支えられデンタル加工機が好調に推移し、しかも円安効果により営業益が10億円有利方向に振れました。
2022年12月期の通期見通しについては、売上高がYoY+9.5%の494億円、営業利益はYoY+20.5%の73.0億円と続伸を予想しています。主力のプリンターについては、低価格品の供給不足により当社製品への流入が進むとみられるほか、新型肺炎禍からの回復により広告看板等の出力需要の増加が予想されます。また、中小企業・個人向けのプリンター小型品や、デンタル加工機も新興国向け新製品投入を予定しており、全セグメントで増収を見込みます。他方、半導体を中心とする電子部品の調達難が継続しているため、上期迄はその影響を織り込むほか、期初の為替前提が113円のためバッファは十分とみられ、強含み推移が予想されます。
進行期は2023年12月期を最終年度とする中計の2年度目ですが、足許の大変好調な業績推移を受けて本年2月に増額ローリングしています。修正後計数では計画3年間で売上高を347億円→540億円(当初:480億円)に、営業利益を5億円→80億円(当初:60億円)にそれぞれ引き上げる計画としています。前中計期間で大型プリンター市場の成熟化に伴う需要後退や競合激化というマクロ構造変化の影響を受け、好採算のインク等のサプライ品まで減少したことから、その再興を目指す計画でしたが、新型肺炎禍の影響・再開とペントアップで受注が積み上がっており、市場環境が劇的に好転している状況です。
当初中計で掲げていた固定費削減については、初年度で想定超の190名をリストラしたことや、量産機能のあるタイ工場へ生産移管したことにより、早くも年13億円程の削減効果を挙げています。タイ工場については、この2月に倉庫増床を済ませ保管機能を拡充したほか、主力のプリンター事業についても、環境負荷が高く敬遠されがちな低溶剤インクのシェアを確保しつつも、エコ型のUV・水系への置き換えを図る方針です。また、メタルフリー潮流など世界的に審美需要が高まっている歯科領域において、入歯やインプラント土台制作のためのCAD/CAMマシンの深耕を図る方針です。
財務の状況については、自己資本比率は67%と高水準をキープしており、140億円超のネットキャッシュを保有しています。現行中計下での株主還元については、配当性向30%&DOE2%を基準に「安定・継続的な還元」というポリシーとしており、30円増配の年130円配を見込んでいるものの、業績動向によらず財務に余裕があるため、期末にかけて更なる追加還元が期待されます。
*参考記事① 2021-11-18 2,778円 OP
【6789】ローランド.ディー.ジー./欧米急回復、為替効果も追い風で再増額。再増配も濃厚。
*参考記事② 2021-05-21 2,101円 NT
【6789】ローランド.ディー.ジー./持ち直し急で、1Qから通期見通しを増額修正。
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