【2914】日本たばこ産業/ロシア事業の継続意向強く、想定外の大幅増配で年188円配へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2914】日本たばこ産業(東証プライム)  NT

現在値 2,742円/100株 P/E 10.9  P/B 1.28  6月配当 12月配当優待

たばこが事業の中核。M&Aで海外たばこ事業を拡大中。
配当は6月末・12月末の年2回・計188円のため、配当利回りは約6.86%となります。

JTは株主優待制度を導入しており、1年以上単元株を保有する単元株主に対して、2,500円分の自社製品を進呈しておりますますが、2022年12月度の進呈を以って制度終了となります。


業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業となります。   

■2018年12月期売上高 22,159億円 営業利益 5,649億円 EPS 215円

■2019年12月期売上高 21,756億円 営業利益 5,023億円 EPS 195円 

■2020年12月期売上高 20,925億円 営業利益 4,690億円 EPS 174円 

■2021年12月期売上高 23,248億円 営業利益 4,990億円 EPS 190円 

■2022年12月期売上高 26,680億円 営業利益 6,490億円 EPS 250円ce修正 

□2022年6月2Q 売上高 12,668億円 営業利益 3,829億円 EPS 148円

□2022年9月3Q 売上高 20,085億円 営業利益 5,793億円 EPS 250円(10/31)

2022年6月中間期の売上高はYoY+10.7%の12,668億円、営業利益はYoY+18.9%の3,829億円となり、予算比は無いものの2桁の増収増益となりました。従来型の紙巻たばこ等(Combustibles)の趨勢減が続き、国内シェアがYoY▲2.8pptの42.1%に続落したほか、仏・比・露・英各域でも数量減となり、ワールドワイドでの総取扱数量はYoY▲0.4%の2,628億本となりました。他方で継続的な値上げによる単価効果が展開各域で力強く発現して数量減を打ち返しており、円安による為替の有利影響も相俟って大幅増となりました。注力中のHTS(heated tobacco sticks)のシェアは+3.6pptの7.6%となり、伸び率鈍化も着実増となりました。

 

2022年12月期通期見通しは3Q時点で修正しており、売上高がYoY+14.8%の26,680億円(期予:23,150億円)、営業利益はYoY+30.1%の6,490億円(期予:5,340億円)に増額しています。Combustiblesは国内・比などアジア圏で数量減となる一方、欧州・トルコなどを中心にワールドワイドでは数量増傾向にあり、加えて期を通じて値上効果・為替有利影響が寄与するほか、懸案のロシア事業も現状ではほぼ安定稼働しているような状況です。10月31日に開示済の3Q決算は売上高がYoY+13.7%&営業益YoY+20.5%と高進捗であり、なお上振れ余地を残しています。

 

当社はロシア市場でシェア36.4%を握っており、全社構成比は売上で11%、営業益で21%(為替感応度はルーブル1%に対して営業益20億円)と事業エクスポージャーが大きいため、依然として高リスク状況が続いています。会社側は当初撤退も含めた検討を実施していたものの、原材料も1~3ヵ月分を確保しつつ、ロシア4工場を稼働出来ているとみられ、直近の会社側のアナウンスによれば事業継続意向の方が強い印象を受けます。そのため、ロシア事業は高いサプライチェーンリスクを孕んだ状況が続く公算です。

 

他方、注力中のRRPについては、IoT実装の意匠性に優れた新製品「PloomX」を投入しており、積極販促策の甲斐もあって、HTS内の当社カテゴリーシェアはYoYで4.2%→7.9%に上伸しています。また、本年10月には「PloomX」の英国展開を開始したほか、米国ではAltria GroupとJV(持分25%、当社はHTSデバイスを現物出資)し、2025年上期を目途にFDA申請し、上市を目指すこととしています。米国たばこ市場は日本の3.6倍の規模がある一方で、HTSほぼゼロで開拓余地は湛然としているものの、Altriaと袂を分かったPMIの「IQOS」が競合として立ちはだかることとなります。

 

当社最大の投資論点となる株主還元策で還元については、増額修正後の配当性向75%基準適用により更に38円積み増して、年188円配当を予想しています。現状の配当ポリシーは「事業投資を最優先に、利益成長と株主還元のバランスを重視」としており、安定配当としていないほか、ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化で本来すべきであった投資が繰り延べられて収益改善しているといった事情もあることから、翌2023年12期も年188円水準が維持されるかどうかは不透明です。

 

*参考記事① 2022-06-15 2,403円 NT

【2914】日本たばこ産業/ロシア撤退シナリオなら影響甚大、減配リスクが燻り始めた。

 

*参考記事② 2021-11-05 2,365円 OP

【2914】日本たばこ産業/海外の単価効果本格発現で再増額、たばこ事業はスイス本社へ。

 

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