【9384】内外トランスライン/海上運賃高騰で都合3度目の上方修正、手許現金の積み上がり顕著。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9384】内外トランスライン(東証プライム) OP

現在値 2,076円/100株  P/E 4.2  P/B 1.28 6月配当  12月配当優待

独立系の国際海上輸出混載首位。豊富な仕向け地と運航頻度が強み。
配当は6月末・12月末の年2回合計85円のため、配当利回りは約4.09%となります。

 

内外トランスラインは株主優待を実施しており、12月末現在の100株保有株主に対して、1,500円相当のカタログを進呈しているため、配当優待利回りは約4.81%となります。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 222億円、経常利益 14.8億円 EPS 87円 

■2021年12月期 売上高 352億円、経常利益 39.2億円 EPS 285円

■2022年12月期 売上高 485億円、経常利益 70.1億円 EPS 492円ce修正
□2022年6月2Q 売上高 235億円、経常利益 33.4億円 EPS 233円  

□2022年9月3Q 売上高 361億円、経常利益 53.1億円 EPS 373円(10/28) 

 

2022年6月中間期の売上高はYoY+53.2%の235億円、経常利益はYoY+92.9%の33.4億円となり、1Qの増額予想を更に大幅に上回って着地しました。好採算の輸出入混載(LCL)にの数量は横這いだったものの、値上がりが顕著だった北米航路を中心に海上運賃が高騰し、特に現地通貨建てで賃料を収受する輸入混載の為替効果もあって大増益となりました。同様に海上コンテナスペースの逼迫により、航空貨物を取り扱うフォワーダー子会社も案件増となりました。

 

2022年12月期の通期見通しは3Q時点で3度目の上方修正をしており、売上高はYoY+37.5%の485億円(期予:362億円)、経常利益はYoY+4.8%増の70.0億円(期予:41.1億円)に其々増額しています。主力のLCL及びフルコンテナ(FCL)については、引き続きタイトなコンテナ船需給を背景に、海運市況のひっ迫と運賃の高止まりの恩恵を受けるものの、足許4Qでは海運市況が軟化していることから、期末にかけて強力な市況モメンタムは一旦沈静化する見通しです。また直近前提では為替も143円/$で置いているので、これ以上の上振れは期待薄とみられます。

 

進行期はこの2022年12月期を最終年度とする第4次中期経営計画(3ヵ年)の最終年度の位置付けであり、当初は売上高300億円(CAGR9.5%)、営業利益21億円(CAGR7.0%)を目標としていたものの、新型肺炎禍における空前の海運市況高騰の恩恵を存分に受ける格好で、1年前倒しの大幅過達を遂げています。そのため、目下では「2023‐2025」の期間で新中計を再策定中というステータスとなっています。

 

今後の成長戦略としては、①通関業者取得によるフォワーディング事業の強化、②海外5拠点の拡大等を志向しています。特に中長期的にドル箱事業である輸出LCLが日本企業の現地生産増加等により縮小傾向にあることから(※足許の円安で傾向変調する可能性あり)、第2の柱としてフォワーディングの強化が急務であり、2018年のAEO通関業者の認定を受けることで、“NVOCC”部分を超えた通関・配送・機械据付等を含む所謂“インテグレーター”的な一貫輸送サービスまで業容拡大を図ります。

 

②については、海外をASEAN・中国・韓国・米国・インドの5エリアに分割し、ASEAN・中国・韓国といった東アジアはFY2019の各域売上高20~30億円を長期的に50億円まで引き上げるほか、同様に米国・インドも現状の10億円を50億円水準に引き上げ、最終的にはこの5エリアで250億円の売上高を目指します。具体的には日本現法を持たない海外フォワーダーを営業開拓し、日本での荷受や倉庫作業・国内配送の受注獲得を図る方針です。


財務についてはかねてより無借金を継続しているほか、目下の空前の好業績も相俟って、企業規模に見合わないネットキャッシュ約127億円を丸抱えしています。会社側アナウンスによれば「足許で大口投資案件を具体的に検討している」ため相応の資金需要が存するとみられるものの、配当予想については中間時点の5円増配に続いて、3Qでは更に30円積み増して、年85円配当に修正しています(配当性向は17.2%)。


*参考記事① 2022-04-23  1,799円 OP

【9384】内外トランスライン/海運市況高騰で中計を前倒で大幅過達、手元キャッシュ積み上がる。

 

*参考記事② 2021-11-13 1.972円 OP

【9384】内外トランスライン/海運市況はピークアウトの気配も、中計は1年前倒し達成が濃厚。

 

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