【9384】内外トランスライン(東証一部) OP
現在値 1,972円/100株 P/E 8.7 P/B 1.76 6月配当 12月配当優待
独立系の国際海上輸出混載首位。豊富な仕向け地と運航頻度が強み。
配当は6月末・12月末の年2回合計50円のため、配当利回りは約2.54%となります。
内外トランスラインは株主優待を実施しており、12月末現在の100株保有株主に対して、1,500円相当のカタログを進呈しているため、配当優待利回りは約3.29%となります。
業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 217億円、経常利益 15.8億円 EPS 122円
■2018年12月期 売上高 232億円、経常利益 16.5億円 EPS 118円
■2019年12月期 売上高 228億円、経常利益 15.9億円 EPS 112円
■2020年12月期 売上高 222億円、経常利益 14.8億円 EPS 87円
■2021年12月期 売上高 320億円、経常利益 32.7億円 EPS 226円 ce修正
□2021年6月2Q 売上高 153億円、経常利益 17.3億円 EPS 119円
□2021年9月3Q 売上高 245億円、経常利益 27.3億円 EPS 193円(10/29)
2021年6月中間期の売上高は前年同期比42.9%増の153億円、経常利益は同2.7倍の17.3億円となり、対前期・対予算とも大幅増益となりました。主力の輸出混載(LCL)と輸出フルコンテナ(FCL)において、新型肺炎禍の反動によりコンテナの取扱量が増加したほか、好採算の混載貨物や他高単価地域への取扱増といったミックス良化により海上運賃高騰による原価増を打ち返し、売上・利益ともに大幅増となりました。一方、ウエイトの低い輸入分野に関しては、コンテナスペースの確保が進まず、輸入と比べて限定的な伸びとなりました。国際航空輸送や複合一貫輸送を手掛けるフォワーダー子会社については、“巣ごもり需要”や航空シフトを受け、各社とも増収増益を確保しています。
進行期である2021年12月期の通期見通しについては、3Q前に再増額しており、売上高は前期比44.1%増の320億円(期予:240億円)、経常利益は同120.3%増の32.7億円(期予:16.8億円)に修正しています。主力のLCLについては自動車や機械関連等の中国向け需要の復元が期待されるほか、世界的な輸送需要回復にともなうコンテナ不足に端を発した海上運賃の高騰、及び航空機減便による航空運賃の高止まり傾向から、顧客への一層の価格転嫁が進む見通しです。同様にフォワーダー子会社や、傘下の韓国の港湾倉庫会社と三国間貿易についても、市況回復による堅調な推移が見込まれます。足許の海運市況は一時の高騰から、やや軟化の兆しがみられるものの、既開示の3Qの進捗率は高く、修正予算水準の確保は容易とみています。
今年度は2022年12月期に売上高300億円(CAGR9.5%)、営業利益21億円(CAGR7.0%)を目標とする第4次中期経営計画(3ヵ年)の中間年度の位置付けです。今次中計は従前の3次中計を3年後ろ倒しした下方ローリング感の強いものであり、中計初年度の前期も減益通過でさえない進捗だったものの、新型肺炎禍における空前の海運市況高騰の恩恵を存分に受ける格好で、売上も利益も1年で前倒し達成するような勢いで急速に持ち直しています。
成長施策としては、通関業者取得によるフォワーディング事業の強化や海外拠点拡大等を志向しており、具体的には好採算の北米向けFCLを強化すべく、2018年より北米専門チームを組成しています。実際に昨年はお茶・日本食等の日本食輸出量が4割増となっているほか、本邦(国)の目標として2025年迄に2兆円、2030年迄に5兆円の食品輸出を掲げていることから、今後は国策的側面での取扱数量拡大が期待されます。また、WEBマーケティング導入による受注営業面の強化や、海上混載と陸上のトラック輸送をセットにした「NAIGAI CARGO」という業界初のサービスを開始し、海運市況一服後に備えています。
財務面については、無借金状態を継続しており、企業規模に見合わないネットキャッシュ約80億円を丸抱えしている状況です。手金で相当規模のMAを出来る機動性を維持しているほか、空前の海運市況を背景に業績が飛躍的に伸長していることから、株主還元については前期比14円の増配となる年50円を予定しています。これでも中計で掲げるROE14%(予想9.5%)には大きく届かないことから、再増配ないし自社株買いによるROE改善が強く望まれます。
*参考記事① 2021-04-24 1,565円 OP
【9384】内外トランスライン/修正中計また未達圏も、海運・空運市況高騰の恩恵は大きい。
*参考記事② 2020-05-02 1,087円 OP
【9384】内外トランスライン/中計達成時期を3年後ろ倒しへ、過剰なキャッシュの活用が論点。
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