【9384】内外トランスライン(東証一部) OP
現在値 1,565円/100株 P/E 12.9 P/B 1.65 6月配当12月配当優待
独立系の国際海上輸出混載首位。豊富な仕向け地と運航頻度が強み。
配当は6月末・12月末の年2回合計36円のため、配当利回りは約2.30%となります。
内外トランスラインは株主優待を実施しており、12月末現在の100株保有株主に対して、1,500円相当のカタログを進呈しているため、配当優待利回りは約3.25%となります。
業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 217億円、経常利益 15.8億円 EPS 122円
■2018年12月期 売上高 232億円、経常利益 16.5億円 EPS 118円
■2019年12月期 売上高 228億円、経常利益 15.9億円 EPS 112円
■2020年12月期 売上高 222億円、経常利益 14.8億円 EPS 87円
■2021年12月期 売上高 240億円、経常利益 16.8億円 EPS 121円 ce
□2021年6月2Q 売上高 115億円、経常利益 8.0億円 EPS 57.5円 ce
2020年12月期の売上高は前期比2.7%減の222億円、経常利益は同6.9%減の14.8億円となり、増収増益を見込んでいた期初予算から一転して、減収減益となりました。主力の輸出混載(LCL)と輸出フルコンテナ(FCL)において、新型肺炎禍による取扱数量減が響き、3Q期間まで取扱数量が低調に推移しました。一方、ウエイトの低い輸入分野に関しては、“巣ごもり消費”による消費者の食料品備蓄ニーズの増加等を背景に、新EPA発効済の欧州産食品や、医療費品・日用雑貨が伸長しました。なお国際航空輸送や複合一貫輸送を手掛けるフォワーダー子会社については、各社とも増収増益を確保しています。
進行期である2021年12月期の予算については、売上高は8.1%増の240億円、経常利益は13.2%増の16.8億円を予想しています。主力のLCLについては新型肺炎禍の一巡により、自動車や機械関連等の中国向け需要の復元が期待されるほか、世界的な輸送需要回復にともなうコンテナ不足に端を発した海上運賃の高騰、及び航空機減便による航空運賃の高止まり傾向から、顧客への一層の価格転嫁が進む見通しです。同様にフォワーダー子会社や、傘下の韓国の港湾倉庫会社と三国間貿易についても、市況回復による堅調推移が見込まれます。
今年度は3年後の2022年12月期に売上高300億円(CAGR9.5%)、営業利益21億円(CAGR7.0%)を目標とする第4次中期経営計画の中間年度に位置付けられています。今次中計自体が従前の3次中計を3年後ろ倒しした下方ローリング性の強いものでしたが、それでも初年度から新型肺炎禍で大きくビハインドしており、掲げられている業績目標値自体はもう一段の海運市況の高騰でもない限りは達成が難しい状況となっています。然しながら、足許の海上運賃は会社側の想定を遥かに超える水準で推移しているため、高騰期間の長期化により達成の目が残ります。
成長施策としては、通関業者を取得したことによるフォワーディング事業の強化や海外拠点の拡大等を志向しており、具体的には好採算の北米向けFCLを強化すべく、2018年より北米専門チームを組成しています。実際に昨年はお茶・日本食等の日本食輸出量が4割増となっているほか、本邦(国)の目標として2025年迄に2兆円、2030年迄に5兆円の食品輸出を掲げていることから、今後は国策的側面での取扱数量拡大が期待されます。
財務面については、無借金状態を継続しており、企業規模に見合わないネットキャッシュ約68億円を丸抱えしている状況です。手金で相当規模のMAを出来る機動性を維持しているものの、ここ最近は特にMA案件もないため、株主還元の強化が期待されます。予想配当も年36円と概ね配当性向30%水準に収まっており、この還元水準が維持された場合、中計で掲げるROE14%(予想12.8%)には届かないことから、増配ないし自社株買いによるROE改善が強く望まれます。
*参考記事① 2020-05-02 1,087円 OP
【9384】内外トランスライン/中計達成時期を3年後ろ倒しへ、過剰なキャッシュの活用が論点。
*参考記事② 2019-10-29 1,389円 OP
MAと資金需要なく、自社株買いが期待される局面・内外トランスライン(9384)。
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