【9384】内外トランスライン/海運市況高騰で中計を前倒で大幅過達、手元キャッシュ積み上がる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9384】内外トランスライン(東証プライム) OP

現在値 1,799円/100株  P/E 6.2  P/B 1.46 6月配当  12月配当優待

独立系の国際海上輸出混載首位。豊富な仕向け地と運航頻度が強み。
配当は6月末・12月末の年2回合計50円のため、配当利回りは約2.78%となります。

 

内外トランスラインは株主優待を実施しており、12月末現在の100株保有株主に対して、1,500円相当のカタログを進呈しているため、配当優待利回りは約3.61%となります。

業績を確認していきます。

■2018年12月期 売上高 232億円、経常利益 16.5億円 EPS 118円

■2019年12月期 売上高 228億円、経常利益 15.9億円 EPS 112円 

■2020年12月期 売上高 222億円、経常利益 14.8億円 EPS 87円 

■2021年12月期 売上高 352億円、経常利益 39.2億円 EPS 285円

■2022年12月期 売上高 362億円、経常利益 41.1億円 EPS 286円 ce
□2022年6月2Q 売上高 178億円、経常利益 20.4億円 EPS 142円 ce 


2021年12 月の売上高はYoY+58.8%の352億円、経常利益はYoY+2.6倍の39.2億円となり、3Qの再増額見通しを更に上回って着地しました。主力の輸出混載(LCL)と輸出フルコンテナ(FCL)において、新型肺炎禍の反動による自動車や機械関連等の中国向け需要の復元によりコンテナ取扱量が同29%増、好採算の混載貨物や他高単価地域への取扱増といったミックス良化で単価は同45%増となり、海上運賃高騰による原価増を打ち返して大増益となりました。同様にフォワーダー子会社や、傘下の韓国の港湾倉庫会社、三国間貿易といった海外セグについても、運賃高騰や日本からの混載貨物増により軒並み増となりました。

 

2022年12月期の見通しについては、売上高はYoY+2.6%の362億円、経常利益はYoY+4.8%増の41.1億円を予想しています。主力のLCL及びFCLについては、引き続きタイトなコンテナ船需給を背景に、海運市況のひっ迫と運賃の高止まりを予想しているものの、下期からは運賃下落を織り込むなど多少コンサバな予算前提となっています。また、海外セグについても、日本からの貨物取扱増に連れる形でフォワーディングや航空貨物が堅調に推移する見通しです。

 

進行期はこの2022年12月期を最終年度とする第4次中期経営計画(3ヵ年)の最終年度の位置付けであり、当初は売上高300億円(CAGR9.5%)、営業利益21億円(CAGR7.0%)を目標としていたものの、新型肺炎禍における空前の海運市況高騰の恩恵を存分に受ける格好で、終わった期で売上も利益も1年前倒す形で大幅過達を遂げています。そのため、現状ではこの中期計数目標の取扱いについては再度検討中というステータスとなっています。

 

今後の成長戦略としては、①通関業者取得によるフォワーディング事業の強化、②海外5拠点の拡大等を志向しています。具体的には好採算の北米向けFCLを強化すべく、2018年に北米専門チームを組成したほか、本邦(国)の目標として2025年迄に2兆円、2030年迄に5兆円の食品輸出を掲げており、お茶・日本食等の日本食輸出量が急増していることから、昨年3月の定款変更により当社が売買主体者として「物品の卸・販売」「食料品や酒類の卸・販売」を出来るように変更し、事業ドメインの拡大を図るなどしています。

 

海外事業については、経営効率化のためASEAN・中国・韓国・米国・インドの5エリアに分割し、ASEAN・中国・韓国といった東アジアはFY2019の各域売上高20~30億円を長期的に50億円まで引き上げるほか、同様に米国・インドも現状の10億円を50億円水準に引き上げ、最終的にはこの5エリアで250億円の売上高を目指します。具体的には日本現法を持たない海外フォワーダーを営業開拓し、日本での荷受や倉庫作業・国内配送の受注獲得を図る方針です。


財務については無借金を継続しており、企業規模に見合わないネットキャッシュ約85億円を丸抱えしています。手金で相当な規模のMAを繰り出せる機動性を維持しているほか、空前の海運市況を背景とした好業績で更にキャッシュが積み上がっています。株主還元については、終わった期に14円増配して年50円としたものの、連続増配せずに配当予想を横引きしています。中計でROE14%を掲げているものの、P/L数値が劇的に急伸しているので、自社株買いや増配をもせずとも超過達成(予想ROE23.9%)してしまうものの、さすがに過剰財務なのため、追加的な還元を期待したいところではあります。

 

*参考記事① 2021-11-13 1.972円 OP

【9384】内外トランスライン/海運市況はピークアウトの気配も、中計は1年前倒し達成が濃厚。

 

*参考記事② 2021-04-24 1,565円 OP

【9384】内外トランスライン/修正中計また未達圏も、海運・空運市況高騰の恩恵は大きい。

 

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