【2914】日本たばこ産業(東証プライム) NT
現在値 2,403円/100株 P/E 11.9 P/B 1.47 6月配当 12月配当優待
たばこが事業の中核。M&Aで海外たばこ事業を拡大中。
配当は6月末・12月末の年2回・計150円のため、配当利回りは約6.24%となります。
JTは株主優待制度を導入しており、1年以上単元株を保有する単元株主に対して、2,500円分の自社製品を進呈しておりますますが、2022年12月度の進呈を以って制度終了となります。
業績を確認していきます。当社はIFRS採用企業となります。
■2018年12月期売上高 22,159億円 営業利益 5,649億円 EPS 215円
■2019年12月期売上高 21,756億円 営業利益 5,023億円 EPS 195円
■2020年12月期売上高 20,925億円 営業利益 4,690億円 EPS 174円
■2021年12月期売上高 23,248億円 営業利益 4,990億円 EPS 190円
■2022年12月期売上高 23,150億円 営業利益 5,340億円 EPS 200円
◆2022年12月期売上高 22,182億円 営業利益 4,923億円 EPS 186円 cos(4/26)
□2022年3月1Q 売上高 5,815億円 営業利益 1,784億円 EPS 69.9円(4/28)
□2022年6月2Q 売上高 11,300億円 営業利益 3,200億円 EPS 124円 四e
2021年12月期の売上高はYoY+11.1%の23,248億円、営業利益はYoY+6.4%の4,990億円となり、3Q時の再増額見通しを更に上回って着地しました。国内事業は紙巻たばこ(RMC/Ready-Made Cigarettes)は趨勢減と、相次ぐ値上げによる他社流出とダウントレードで、シェアは▲0.7pptの59.1%、数量は▲9.5%の622億本と減少も、値上げで取り返しました。注力中のRRP(RRP/Reduced-Risk Products)のシェアは+0.4pptの10.3%となり、国内事業は増益確保となりました。海外事業については、大幅増税のロシアも持ち直し、仏・伊・英・西などの欧州域で軒並み+1~2%のシェア増加となり、値上げ効果強く発現しました。為替一定ベースで3割弱の増益となったほか、予算上は為替不利想定も最終的に有利方向に振れたため、一段増となりました。また全社では前年の一過性利益(リストラ▲370億円、虎ノ門本社売却益▲413億円)の剥落を軽々飲み込んでいます。
進行期である2022年12月期通期予算については、売上高がYoY▲0.4%の23,150億円、営業利益はYoY+7.0%の5,340億円を見込んでいます。国内事業RMCは、需要趨勢減と値上げの影響継続で数量減も、RMCの値上げ効果と投入済の新型RRP「PloomX」シェアアップを見込みます。海外事業については、ダウントレーディング影響を受ける側の当社は展開各国でシェアが上昇していることから、為替影響を織り込んでなお好調持続が見込まれるものの、足許のロシア情勢による影響(※後述)があまりに暗い影を落としています。4月28日に開示済の1Q決算は売上高がYoY+6.2%、営業益YoY+11.4%と高進捗も、展開次第で下方修正含みの状況となっています。
当社はロシア市場で同国シェアの36.7%を握っており、当社の全社ベース営業利益の構成比の2割弱を占めるなど、事業エクスポージャーが大変大きいため、昨今の情勢急変により当社ならではのロシアリスクが顕在化しています。一時のルーブル暴落局面は一服し、為替も持ち直したものの(為替1割安=営業益感応▲150億円)、会社側より撤退も含めた検討を開始している旨のアナウンスがなされています。現状ではロシア4工場は稼働(ウクライナ1工場は停止)しており、原材料も2~3ヵ月分確保していることから、1Q時点では修正なし・必要があれば2Q時点で業績修正を行うこととしていますが、減損リスクが強く意識されます。
他方、国内で注力中のRRPについては、昨年にIoTを実装した新製品「PloomX」を投入しており、意匠性にも優れた同製品は市場にも受け入れられたものとみられ、RRPの当社シェアは推定12%程とやや良化してきています。本来であれば、「PloomX」を本年上期にもロシア市場で展開予定としていましたが、競合の英「glo(BAT)」が第三者に移管、米「iQOS(PM)」も撤退を計画している状況にあり、西側他社と平仄を取るのか、レピュテーションリスクを抱えて残存者利益獲得を図るのか、難しい舵取りを迫られています。
最後に当社最大の投資論点となる株主還元策ですが、還元ポリシーを「事業投資を最優先に、利益成長と株主還元のバランスを重視」に変更していることから、配当性向75%基準により年10円増配となる年150円を予想しています。足許1Q時点では配当に関するアナウンスはなかったものの、ロシア事業の撤退・減損による収益の押し下げによっては、年120~130円水準までの減配可能性が意識されるところではあります。
*参考記事① 2021-11-05 2,365円 OP
【2914】日本たばこ産業/海外の単価効果本格発現で再増額、たばこ事業はスイス本社へ。
*参考記事② 2021-05-14 2,156円 OP
【2914】日本たばこ産業/減配は案外だが自社株買いに言及、足許モメンタムは好調。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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