【3064】MonotaRo/売上やや低調ながら値上げで採算性は急改善、当面は高成長が続こう。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3064】MonotaRO(東証プライム)  OP

現在値 1,973円/100株   P/E 43.0  P/B 13.1  12月配当優待 6月配当

工場・工事用の間接資材のネット通販。同分野の米国大手が親会社。
配当金は12月・6月の年2回、合計16.0円のため、配当利回りは0.81%となります。

MonotaRoは株主優待制度を実施しており、半年以上継続保有する12月時点の単元株主に対して、3,000円の自社PB商品を進呈しており、配当優待利回りは約2.33%となります。なお、3年以上継続で5,000円、5年以上継続で7,000円に拡充されますので、その場合の同利回りは、約3.34%、約4.35%となります。

業績を確認していきます。

■2020年12月期 売上高 1,573億円、営業利益 196億円、EPS 27.7円

■2021年12月期 売上高 1,897億円、営業利益 241億円、EPS 35.3円 

■2022年12月期 売上高 2,259億円、営業利益 262億円、EPS 37.5円 

■2023年12月期 売上高 2,651億円、営業利益 320億円、EPS 45.6円 ce

□2023年3月1Q 売上高 620億円、営業利益 80.3億円、EPS 11.4円 (4/27)

□2023年6月2Q 売上高 2,651億円、営業利益 148億円、EPS 20.9円 ce 

 

2022年12月期の売上高はYoY+19.1%の2,259億円、営業利益はYoY+8.6%の262億円となり、計画を若干上振れて着地しました。高採算商品のマスクに代表されるPB品が低調に推移したものの、製造業向けが回復したほか、大企業連携(購買)の成長基調が継続しました。利益面についても、単価上昇により物流費比/販促費比が減少し、原価掛け目が改善したほか、Graingerのロイヤリティ増も寄与しました。なお大企業購買管理システム事業はYoY+39.0%を維持したほか、KPIの登録口座数も+1,227千口座の8,006千口座となり、計画線を下回りました。


進行期である2023年12月の通期予想については、売上高がYoY+17.4%の2,695億円、営業利益はYoY+22.2%の320億円を見込んでいます。経済活動の回復と在庫積み増しの動きが見込まれるほか、大企業購買システム事業もYoY+38.4%と高成長継続を見込みます。利益面についても、尼崎DCから猪名川DCへの移転完了で一過性の稼働率低下や臨時人件費等が剥落するほか、仕入原価高騰の積極転嫁により採算性良化が見込まれます。なお4月27日に開示済の1Q決算は、売上高620億円&営業利益80.3億円と高進捗が確認され、期末のKPIの登録口座数は、YoY+1,182千口座の9,188千口座を計画しています。

 

当社は中長期の経営計画を開示していないものの、予想を含む直近5年間の売上高、営業利益CAGRは2割程の高水準を維持しています。国内nの間接資材のTAMは5兆円~10兆円と推計される一方、当社シェアは依然として2%程に過ぎないことから、引き続き向こう4~5年程度に渡って、年率2割程度のトップライン成長が可能と解されます。親会社の米Grainger社は、米国市場で14%の市場シェアを有していることから、その半分程のシェア7%程(今の3.5倍)の水準までは成長可視性が高いとみられます。

 

当面の取組事項は、①大企業向け強化、②物流機能、検索性能・UI/UX強化等のサイト機能性向上、③海外強化が挙げられます。①はトラスコ中山、ミスミ(VONA)、アスクル(ソロエルアリーナ)より後発となるものの、即時導入可能な購買管理システムを武器に、足許でも年4割程度の高成長を維持しています。②は昨年4月に猪名川でプロロジスの新DC第Ⅰ期(出荷能力:約9万行)を稼働開始させたほか、この2Qには第Ⅱ期(同9万行)が開始されるため、減価償却費負担が重いものの、当面の出荷能力を確保しています。

 

③の海外は、過去に中国事業を撤退させた経緯があるものの、韓国事業が順調に推移しているほか、2016年に尼でMONOTARO INDONESHIAを3億円で買収し、2020年には印でIB Monotaroに16億円を投じて52%持分を取得しています。かような取組のほか、Graingerからの受取ロイヤリティー額の成長も期待出来ることから、高成長の続く国内事業を土台に、アップサイド期待が根強い状況です。

 

財務状況については、自己資本比率が65.2%、ネット無借金と盤石な状態となっています。ECのため纏まった資金需要はないものの、DC開設サイクルの早期化に伴って、ある程度は財務を温存しているものとみられます。配当については、性向34.8%基準で2円50銭の増配となる年16.0円を見込んでいますが、Grainger持分比維持のため、還元強化はあくまで配当増額になるとみられます。

 

*参考記事① 2022-11-17  2,488円 OP

【3064】MonotaRO/製造業回復で価格転嫁も進む、トップライン2割成長路線を堅持。 

 

*参考記事② 2022-04-25  2,398円 OP

【3064】MonotaRo/プロロジス猪瀬川DCへの移転費用が重く、利益は想定外の横ばい圏。

 

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