【4168】ヤプリ/一過性の信託SO費用消え名実ともに最終黒字化だが、成長モメンタムは鈍化。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4168】ヤプリ(東証グロース) OP

現在値 826円/100株 P/E 25.3  P/B 7.8  12月配当(無配) 株主優待なし

アプリ開発・運用・分析できるクラウド型ソフト「ヤプリ」を提供。ノーコード強み。

配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。


業績を確認します。

■2021年12月期 売上高 32.6億円、営業利益▲9.3億円 EPS▲76.7円

■2022年12月期 売上高 41.4億円、営業利益▲8.2億円 EPS▲74.8円 

■2023年12月期 売上高 48.6億円、営業利益 2.6億円 EPS▲5.8円

■2024年12月期 売上高 56.0億円、営業利益 5.0億円 EPS 32.6円 ce中央値

□2024年6月2Q 売上高 27.0億円、営業利益 1.5億円 EPS 7.7円 四e

2023年12月期の売上高はYoY+17.4%の48.6億円、営業利益はYoY+10.7億円の2.6億円となり、売上高はレンジ下限ながら、利益は想定超で黒字化しました。契約数アプリ数はYoY+7.7%の843と低調だったものの、クロスセル増加でARRはYoY+16.7%の42.7億円となり、解約率も0.81%に良化しました。利益面は認知度拡大のための大規模TVCM投下を大きく削って広告費を削減したほか、積極採用を抑制して人員増を抑制(純増6名)した効果で黒転しています。

 

進行期である2024年12月期の予算については、売上高YoY+15.2%の56.0億円、営業利益YoY+88.8%の5.0億円を見込んでいます。新商材である社内向けアプリの“Yappli UNITE”にくわえ、広告商材の“Yappli Premium Ads”の本格展開を開始する計画です。人件費はこれら新商材営業向けに採用を再強化する一方、広告費については稲垣吾郎氏を起用したマス広告の抑制化やタクシー後部座席広告等の厳選活用で総額では減少させ、黒字幅を拡大させる計画です。

 

当社は中期計画等を開示しておらず、市場成長率も鈍化していることから、所謂“Rule of 40(売上成長率+営業利益率)”を目指すこととし、利益性重視に切り替えています(注:黒字化したばかりのため利益成長率を出すのは容易)。会社側は市場スケールは3段階で定義しており、最も狭域のアプリ開発市場の推定SOMは1,000億円程度、依然として市場成長率は年率2桁程度存在するとみられるものの、ARR42.7億円の当社推計シェアは4%程となります。
 

当社の課金モデルは一過性の初期導入費用300万円程があり、リカーリング収入となる月額の定額費用(20~70万円)、オプション利用分(10万円~)の2つがARRを構成しています。顧客はアパレル・雑貨・飲食といったB2C業種のマーケティング利用が多く、競合にはノーコードでECサイト開設・決済を手掛ける競合のBASE(4477、広告に香取慎吾氏を起用)が存在します。

 

昨今は低額課金プランの導入で、SMB(中小・個人)向けの開拓を進めていましたが、市場成長の鈍化にともない、“Yappli CRM”という顧客管理用の拡張型商品の販売を進めるほか、組織内エンゲージメントの“Yappli UNITE”や広告商材の“Yappli Premium Ads”の投入により、顧客数拡大よりも既存エンプラ系顧客を中心としたアップセル方向に舵を切ったものと解されます。

 

なお当社は2020年に旧マザーズ上場時に22億円(@3,160円)を調達しており、自己資本比率は48.2%と高い水準を維持しています。終わった期で発生した一過性の信託SO費用▲5.3億円が消え、進行期で名実ともに黒字化するものの、過去の累損が▲38億円存在するため配当はかなり先になる見通しです。

 

*参考記事① 2023-06-03  1,138円 BY

【4168】ヤプリ/人件費・広告宣伝費の一巡で大幅な損益改善、通期黒字転換は確実な情勢。

 

*参考記事➁ 2022-05-21 1,103円 BY

【4168】ヤプリ/累計DLは1億件突破。S&M比率は高水準も、ARR年3割の高成長続く。

 

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