【4168】ヤプリ/人件費・広告宣伝費の一巡で大幅な損益改善、通期黒字転換は確実な情勢。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4168】ヤプリ(東証グロース) BY

現在値 1,138円/100株 P/E 956.3  P/B 10.36  12月配当(無配) 株主優待なし

アプリ開発・運用・分析できるクラウド型ソフト「ヤプリ」を提供。ノーコード強み。

配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。


業績を確認します。当社は2020年のIPO企業です。

■2020年12月期 売上高 23.9億円、営業利益▲5.9億円 EPS▲69.8円 

■2021年12月期 売上高 32.6億円、営業利益▲9.3億円 EPS▲76.7円

■2022年12月期 売上高 41.4億円、営業利益▲8.2億円 EPS▲74.8円 

■2023年12月期 売上高 49.7億円、営業利益 0.2億円 EPS 1.2円 ce

□2023年3月1Q 売上高 11.9億円、営業利益 0.7億円 EPS 3.3円(5/12)

□2023年6月2Q 売上高 23.0億円、営業利益 ▲0.5億円 EPS▲4.0円 四e

2022年12月期の売上高はYoY+26.9%の41.4億円、営業利益はYoY+1.1億円の▲8.1億円となり、2割増収を確保したものの計画割れとなりました。1Qに大量の広告宣伝費を投じたこともあり、エンプラ系顧客を中心に堅調に推移したものの、期末にかけてSMB系の新規獲得が小甘くなりました。契約数アプリ数はYoY+12.3%の783、クロスセル増加によりARRはYoY+25.2%の36.6億円となり(churn0.88%)、利益面は積極的なTVCM出稿で広告費を2.5億円増の13.5億円に積み増したものの、赤字幅が縮小しました。

 

進行期である2024年12月期の予算については、売上高YoY+20.0%の49.7億円、営業利益YoY+8.4億円の0.2億円を見込んでいます。これまでの積極採用路線から一転して人員数横ばいを見込むほか、認知度拡大のための大規模TVCM投下を見送って広告費も年10億円程度に抑えるものの、トップライン2割増を見込みます。5月12日に開示済の1Q決算は、前年同期の広告大量出稿剥落もあり大幅に損益改善している一方、ARRは+20.9%と順調な成長が確認されます。

 

当社は中期計画等を開示していないものの、向こう3~5年間は年率2割程の成長が目されます。市場スケールは3段階で定義しており、最も狭域のアプリ開発市場の推定SOM①は850億円であり、ARR36億円の当社推計シェアは4%となります。より広域市場のCX/デジタルマーケの推定SAM②については6,500億円、当社アプリで代替可能なサービス・ツールで全産業分を織り込んだ推定TAM③を3.8兆円と試算しています。

 

当社の課金モデルは一過性の初期導入費用250万円超があり、リカーリング収入となる月額の定額費用(40万円超)、オプション利用分(10万円超)の2つがARRを構成しています。顧客はアパレル・雑貨・飲食といったB2C業種のマーケティング利用が多く、同じくノーコードでECサイト開設・決済を手掛ける競合のBASE(4477)とともに、新型肺炎禍でのEC向けDX投資を背景に高成長を遂げてきたものの、正常化の中で成長に減速傾向がみられます。

 

そのため、“太客”であるエンプラ向けではなく、SMB向けのライトプランとして月額40万円の定額費用を10分の1まで抑えたサービスを昨年4月にローンチしたほか、目下では“Yappli CRM”という拡張型商品の販売を進めています。従来のCRMはアプリに紐付に限られる限定的なものでしたが、同商品はマルチチャネル対応型CRMとなっており、開発・改良中の段階ではあるものの、第2の柱としての成長が期待されます。

 

なお当社は2020年に旧マザーズ上場時に22億円(@3,160円)を調達しており、足許の借入は増加しているものの、自己資本比率は47.2%と高い水準を維持しています。進行期で黒字転換を見込むものの、過去の累損が▲37億円存在するため配当はかなり先になる見通しです。

 

*参考記事① 2022-05-21 1,103円 BY

【4168】ヤプリ/累計DLは1億件突破。S&M比率は高水準も、ARR年3割の高成長続く。

 

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