【4168】ヤプリ/累計DLは1億件突破。S&M比率は高水準も、ARR年3割の高成長続く。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4168】ヤプリ(東証グロース) BY

現在値 1,103円/100株 P/E --.-  P/B 7.42  12月配当(無配) 株主優待なし

アプリ開発・運用・分析できるクラウド型ソフト「ヤプリ」を提供。ノーコード強み。

配当基準日は12月末ですが、配当実績はなく今期も無配予想となっています。


業績を確認します。当社は2020年のIPO企業です。

■2018年12月期 売上高 10.2億円、営業利益▲1.6億円 EPS▲27.5円 

■2019年12月期 売上高 17.2億円、営業利益▲7.9億円 EPS▲105.7円 

■2020年12月期 売上高 23.9億円、営業利益▲5.9億円 EPS▲69.8円 

■2021年12月期 売上高 32.6億円、営業利益▲9.3億円 EPS▲76.7円

■2022年12月期 売上高 43.2億円、営業利益▲8.2億円 EPS▲65.6円 ce

□2022年3月1Q 売上高 9.8億円、営業利益▲3.9億円 EPS▲31.6円(5/13)

□2022年6月2Q 売上高 20.0億円、営業利益▲5.0億円 EPS▲40.0円 四e

2021年12月期の売上高はYoY+36.5%の32.6億円、営業利益はYoY▲3.4億円の▲9.3億円で着地し、予想レンジ上限ながらも計画線で着地しました。新型肺炎禍ではあるものの、逆風のアパレル業種や雑貨、飲食業の新規開拓が進み、契約数アプリ数はYoY+24.9%の728に上伸し、結果としてARRはYoY+33.6%の31.3億円と3割成長を継続しました。他方、利益については積極的なTVCM出稿で広告費を4億円増の11億円に積み増した結果、営業赤字が拡大しています。尚、churn0.68%と尻下がりに推移しました。

 

進行期である2022年9月期の予算については、売上高YoY+32.5%の43.2億円、営業利益YoY+1.1億円の▲8.2億円を見込んでいます。積極採用により人件費が年率+15~20%となるほか、年3回の大規模TVCM投下で広告費が14~15億円に増加し、赤字が継続するものの、認知拡大によりトップラインの3割増を見込みます。5月13日に開示済の1Qは、TVCMによる下押しで営業利益▲3.9億円と急悪化しているものの、足許のビジネスユーザ向けのアプリの好伸もあり、ARR+33.6%と伸びが再加速していることから、概ね会社計画線の進捗と考えられます。

 

当社は中期計画等を開示していないものの、向こう3~5年間は年率3割超の成長が目されます。当社の推定TAM①については、アプリ開発市場が850億円と目されるため、現状の当社ARR30億円に照らせば3%程度のシェアと計算されます。なお、現主要顧客のアパレル・小売・飲食その他サービスの大規模事業者を推計したTAM②を1,500億円、当社アプリで代替可能なサービス・ツールで全産業分を織り込んだ推計TAM③を3.8兆円と試算しています。競合ではノーコードのECサイト開設・決済を手掛けるBASE等が存在するものの、グローバルでアプリのノーコード開発に特化したのは当社くらいとみられます。

 

課金モデルは初期導入費用で250万円+の一過性のフィー受領があり、月額のリカーリングが40万円+と、10万円+のオプション分がARRを構成します。現状ではアパレル、雑貨、飲食といったB2C業種の、マーケティング目的利用が多いものの、目下は社内インナー情報の共有や取引先情報配信といったB2Bでのビジネス課題解決型目的利用を増やしており、製造業種顧客を増加させています。特に本邦におけるDX潮流とIT人材不足(と過度なSIer依存)が顕著なため、ノーコード需要の中長期的な拡大蓋然性は高いものと考えられます。

 

また、この4月には主要顧客であるエンタープライズ向けではなく、中小企業向けのライトプランを投入しており、月額40万円の費用を10分の1まで抑えたサービスをローンチしています。稲垣吾郎氏を起用した膨大なTVCMの投入で引き合いが増加していたものの、重い費用負担を嫌気し、導入を断念する顧客が多かったことから、テンプレート等活用により機能を制限したサービスを投入することで、改めて幅広い顧客獲得を図る方針です。

 

当社は2020年12月に東証マザーズ市場に上場しており、22億円(@3,160円)を調達しており、資金使途についてはシステム開発費用、人件費、マーケティング費用としています。現状、僅かな借金はあるものの、自己資本比率は75.9%となっています。然しながら、創業来赤字が継続しているほか、累損もあるため、黒字化したとしても最低でも向こう5年程は無配を継続するものと考えられます。

 

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