【3003】 ヒューリック/東急ハンズ池袋など売却重なり1Q高進捗も、概ね計画線の推移か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3003】 ヒューリック(東証プライム) BY

現在値 1,036円/100株  P/E 10.5  P/B 1.24 6月配当 12月配当株主優待あり

旧富士銀行の銀行店舗ビル管理から出発。好物件所有、物件多角化。
配当金は6月末・12月末の合計40円配当のため、配当利回りは約3.86%となります。

ヒューリックは株主優待制度を導入しており、12月末に3単元超を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメカタログを進呈していますので、配当と合計した配当優待利回りは、約4.82%となります。また、3年以上の長期保有により優待進呈額が倍となりますので、その場合の利回りは約5.79%となります(※いずれも3単元保有時)。

業績を確認していきます。

■2018年12月期 売上高 2,875億円、経常利益 725億円 EPS 75.1円

■2019年12月期 売上高 3,572億円、経常利益 846億円 EPS 88.9円 

■2020年12月期 売上高 3,396億円、経常利益 956億円 EPS 95.2円 

■2021年12月期 売上高 4,407億円、経常利益 1,095億円 EPS 101.0円 

■2022年12月期 売上高(未定)億円、経常利益 1,150億円 EPS 98.4円 ce

□2022年3月1Q 売上高 1,069億円、経常利益 284億円 EPS 24.0円(4/27)

□2022年6月2Q 売上高 2,375億円、経常利益 600億円 EPS 50.3円 四e

 

2021年12月期の売上高はYoY+31.6%の4,407億円、経常利益はYoY+14.5%の1,095億円となり、2桁増益を継続したほか、対見通しでも上振れました。不動産事業は、シンガポールREITのメープルツリーに日本HP本社ビルを388億円で売却したほか、傘下REITに対して6棟合計408億円分(上野、麹町、吉祥寺、神戸、調布、経堂)を、都市ファンドに赤坂スターゲート424億円を、オリックスREITに大手町北ビルをそれぞれ下ろしています。新規取得は、商業施設「&New」宇田川町、新宿を開発・取得したほか、Gビル銀座01・新宿01、リクルート銀座8丁目ビル、都内ユニゾ物件を3棟取得するなどしています。

 

進行期である2022年12月期の予算については、売上高は例年通りの未定も、経常利益はYoY+5.02%の1,095億円を予想しています。不動産事業については、傘下公募REITに対して学芸大シニア、私募REITには小舟町・五反田ビル(各90%)を下したほか、池袋東急ハンズや表参道ブルーサンクポイントを1Qで既に売却しており、通期では利益横ばいを見込んでいます。賃貸事業についても、目黒不動前・青山シニア、札幌ビルの竣工寄与ながら概ね横ばい想定も、ホテル・旅館については大幅反発を見込んでいます。1Q高進捗も、物件売却の月ズレが主要因とみられ、進捗自体は会社計画線と解されます。

 

当社は中計の相次ぐ前倒し達成により都度ローリングを実施しており、長計目標の2023年12月期の目標額(経常利益850億円)も既に達成していることから、2020年2月に新長計・新中計を公表しています。3年経過後の2022年12月期に同1,100億円、10年経過後の2029年12月期に同1,800億円を目指すこととしており、会社側は年100億円ずつ経常利益を積み増すイメージを持っていますが、高水準の売却益計上が続いているため、結局また1年前倒しで進捗しているような状況です。

 

また、ストック型の賃貸事業を軸とすべく、賃貸事業と開発/売却利益の比率を7:3にシフトさせる計画ですが、手前の3年間はポートフォリオ入替のため50%程は売却益依存となります。当初3年における投資純額は累計9,700億円と高水準で計画しており、銀座・新宿東口・渋谷・青山・浅草といったプライムエリアでの積極取得を企図し、ティファニー銀座、リクルート銀座8丁目ビルにくわえ、電通本社の取得を完了しています。なお、電通本社は3,000億円級と大きいことから、当社が当該SPCの40~50%を握って持分法とし、芙蓉系(FGL?)が20~30%、残りは外部投資家にシェアアウトした模様です。

 

他方、財務面については、2018年に半エクイティの劣後債と劣後ローンのハイブリッドで1,500億円調達したほか、2020年にも同様に2,000億円を調達しています。本中計・長計期間においては、ネットD/Eレシオを3.0倍まで許容しますが、昨年10月にグローバルPOで約1,000億円弱を調達しており、①建替・開発資金に621億円、②再生可能エネルギーに14億円、③残額を借入等返済に充てる方針としています。

 

本件POにより、ネットD/Eは期末時点で1.3倍程まで更に良化しており、投資余力が再度膨らんだことから、不動産マーケットが横ばいであることを前提に、現行3年中計の達成蓋然性はかなり高くなったものとみます。他方、株主還元については、本中計期間から配当性向40%基準を設定しており、期初時点においては1円増配となる40.0円(配当性向40.6%)を予想しています。

 

*参考記事① 2021-10-29 1,110円 BY 

【3003】 ヒューリック/GPOで1,000億円弱を調達、新中計も達成蓋然性は高い。

 

*参考記事② 2021-04-19 1,296円 OP

【3003】 ヒューリック/中計達成圏だが、電通本社ビル取得ならファイナンスリスクに留意。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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