【2769】ヴィレッジヴァンガード/物価高によるイオンモール等SCの集客減が痛い、水面下が続く。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

image

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(東証STD)  NT

現在値 1,060円/100株 P/E --.-  P/B 1.23  5月配当 11月優待

書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。

配当基準日は5月末ですが、無配に転落しており、配当予想も未定となっています。

 

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、優待利回りは約9.43%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で12,000円に増額されますが、こちらの買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質“最有効使用で半額割引券”なので要注意です。
 

業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。

■2021年5月期 売上高 282億円、営業利益 0.3億円、EPS▲18.2円 

■2022年5月期 売上高 267億円、営業利益 3.5億円、EPS▲0.5円 

■2023年5月期 売上高 252億円、営業利益 1.3億円、EPS▲11.7円 

■2024年5月期 売上高 251億円、営業利益▲5.1億円、EPS▲94.7円 ce修正
□2023年11月2Q 売上高 110億円、営業利益▲7.4億円、EPS▲113.6円(1/12)

2023年11月中間期の売上高はYoY▲5.3%の110億円、営業利益はYoY▲5.7億円の▲7.4億円となり、対前・対予算で減収減益となりました。物価高による生活防衛意識増加や異業種競合の激化もあり、既存店売上高(SSS)は8月・9月を除いて前年割れの96.3%に留まりました。実店舗とオンラインが苦戦した一方、“たべっ子どうぶつ”等の人気IPが牽引したPOP-UP事業は比較的健闘しました。利益面については、売上減による悪化だけでなく人件費増も重しとなりました。

 

なお2024年5月期の通期見通しは3Qで減額しており、売上高はYoY▲0.6%の251億円(期予:279億円)、営業利益YoY▲6.4億円の▲5.1億円(期予:3.6億円)に修正しています。3QまでのSSSは98.0%に若干回復しているものの、仕入価格高騰に起因する売価転嫁で客離れがみられるほか、前期純減11店と進行期純減3店がマイナス寄与します。足許でも人気IPに依存したPOP-UP事業が比較的マシな以外は、従来型実店舗を中心に厳しい状況が続いています。

 

近年の当社は不採算店の閉鎖を加速させており、直営店舗数は300店を割り込む公算です(3Q末時点で302店体制)。その代りに新型肺炎禍で急増したSC内のテナント募集区画をPOP-UPスペースとして低廉な家賃で借り上げ、低リスク&好採算で凌いできた経緯があります。然しながら、SCに支払う賃料も正常化が進んでいるほか、物価高による生活防衛意識の高まりを背景としたイオンモールをはじめとする館全体の集客力低下が影を落としています。

 

自社ECについては、実店舗及び催事イベントと融合させるOMO施策を推進しており、ステージを有する渋谷本店等でアイドルやyoutuberとのコラボ企画を実施しているものの、youtuber商材は特有の商流の違い等もあり、想定ほど伸ばせていない状況です。会社側アではEC強化のため、社員のインフルエンサー化や花王・株式会社TOKIOとのコラボ商材といった販促施策を繰り出しているものの、パンチに欠ける印象です。

 

財務面については、チチカカ売却時の借入金が全く減っておらず、長短合わせて110億円超の有利子負債を抱えています。自己資本比率こそ28.5%を維持しているものの、2017年のDBJ割当のA種優先株式15億円の存在が下支えとなっています。但し、この優先株の配当負担は年率8.0%で年1.2億円もの利払い負担があることから、翌期以降黒字化したとしても復配困難な状況が継続しています。

 

*参考記事① 2023-04-13 1,052円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/ 好条件の催事出店は減少しているとみられる。

 

*参考記事②  2022-11-07  1,077円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/催事構成比増で採算性は改善、復配まだ先か。
 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

にほんブログ村 株ブログ 株主優待へ にほんブログ村 株ブログ IPO・新規公開株へ にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ