【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/催事構成比増で採算性は改善、復配まだ先か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(東証STD)  NT

現在値 1,077円/100株 P/E 54.1 P/B 1.11 5月配当 11月優待

書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。

配当基準日は5月末ですが、無配に転落しており、配当予想も未定となっています。

 

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、優待利回りは約9.28%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で12,000円に増額されますが、こちらの買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質“最有効使用で半額割引券”なので要注意です。
 

業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。
■2020年5月期 売上高 292億円、営業利益▲2.8億円、EPS▲94.1円

■2021年5月期 売上高 282億円、営業利益 0.3億円、EPS▲18.2円 

■2022年5月期 売上高 267億円、営業利益 3.5億円、EPS▲0.5円 

■2023年5月期 売上高 282億円、営業利益 4.2億円、EPS 19.8円 ce

□2022年8月1Q 売上高 60.3億円、営業利益 0.1億円、EPS▲3.3円(10/14)
□2022年11月2Q 売上高 130億円、営業利益 1.9億円、EPS 8.9円 四e

2022年5月期の売上高はYoY▲5.4%の267億円、営業利益はYoY12倍の3.5億円となり、予算比はないものの大幅増益となりました。売上高は新収益基準への移行影響(▲15億円)と前の期の店舗純減9店による減収影響を受けたものの、前年ハードルの低い店舗事業の既存店売上高(SSS)は101.1%水準を確保したほか、オンライン事業・POP-UP事業は大幅増となりました。営業利益については、仕入戦略やアウトレット店での在庫消化による在庫コントロール施策が奏功し、大幅な収益改善を実現しています。

 

進行期である2023年5月期の予算については、売上高がYoY+7.7%の288億円、営業利益YoY+21.2%の4.2億円を見込んでいます。トップラインは終わった期の店舗純減16店がマイナス寄与するほか、進行期も純減10店計画で店舗網は更に縮小するものの、オンラインとPOP-UPで穴埋めする計画です。既開示の期初4ヵ月分のSSSは103%程で推移し、10月14日開示の1Qは売上高が60.3億円&営業利益0.1億円で進捗していることから、現状では計画比ややビハインドとみられます。

 

当社は近年ハイピッチで不採算店の閉鎖を進めており、足許でも更に閉鎖していることから、直営店舗数は300店を割り込む公算です。依然イオンモールを中心とした全国の商業施設に空き区画が大量発生していることから、常設店舗ではなく、POP-UPスペースや通常賃貸区画の“つなぎ的な催事売場”としてスポット出店を進め、出来高方式の歩合賃料契約により機動的な出店と在庫処分を図っています。かような取組により、重い固定賃料負担から解放され、採算性が良化しているものとみられます。

 

また、POP-UPとともに自社ECの拡充も進めており、実店舗及び催事イベントと融合させる所謂OMO施策を推進しています。簡易ステージを有する渋谷本店でアイドルやyoutuberとのコラボ企画を実施するほか、有力旗艦店である植田本店、下北沢、mozo、コクーンシティ、レイクタウン等でも店舗独自の企画商品を少ロットで販売し、引き合い次第でECで販売する在庫コントロールが採られています。実際、棚卸資産残高はYoY▲12億円の145億円となっており、店舗純減分より多い在庫の削減が進んでいます。

 

財務面については、チチカカ売却時の借入金が全く減っていないものの、2017年のDBJ割当のA種優先株式15億円の寄与が大きく、自己資本比率は足許でも31%程の水準を維持しています。但し、この優先株の配当負担が年率8.0%と重く、年1.2億円の利払いがあることから、従来水準である年14円の普通配当の復元には相応の時間を要するものとみられます。

 

*参考記事① 2021-10-18 1,090円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/催事出店による在庫処分で、損益均衡圏を漂流。

 

*参考記事② 2021-03-24  975円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/A種優先株配当の支払重く、復配かなり先か。 

 

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