【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/A種優先株配当の支払重く、復配かなり先か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(JQS)  NT

現在値 975円/100株 PER--.- PBR1.06 5月配当(無配) 11月株主優待

書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。
配当基準日は5月末ですが、実績ベースでは無配に転落しています。

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、優待利回りは約10.2%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で12,000円に増額されますが、こちらの買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質“最有効使用で半額割引券”なので要注意です。

業績を確認していきます。

■2018年5月期 売上高 341億円、営業利益 3.7億円、EPS 22.4 円  
■2019年5月期 売上高 338億円、営業利益 4.4億円、EPS 8.7円
■2020年5月期 売上高 292億円、営業利益▲2.8億円、EPS▲94.1円

■2021年5月期 売上高 (未定)億円、営業利益(未定)億円、EPS(未定)円 ce

◆2021年5月期 売上高 293億円、営業利益▲7.3億円、EPS▲98.0円 四e
□2021年11月2Q 売上高 133億円、営業利益▲4.6億円、EPS▲78.8円(1/14)

2020年11月中間期の売上高は前年同期比12.3%減の133億円、営業利益は同3.1億円の損益悪化となる▲4.6億円となり、予算との比較は無いものの赤字幅が拡大しました。期初3ヶ月(6-8月)の既存店売上高は82.7%と低調であり、これは新型肺炎による夏場の帰省自粛により地方イオンモール等の商業施設の集客自体が不調だったことが主な要因とみられます。一方、2Qの3ヵ月については感染状況が一服したほか、「gotoトラベル」等に政策による追い風もあり、10月・11月には同売上は90%台後半にまで一時的な回復がみられました。原価については、人件費や家賃の一部減免があったものの、トップラインの大きな減少に伴い原価率は上昇しています。

 

2021年5月期通期の見通しについては、新型肺炎の影響の見極めが難しいことから引き続き“未定”としていますが、外部予想では売上高が横ばいの293億円、営業利益は▲4.5億円の損益悪化となる▲7.3億円が予想されています。既に開示されている3Q(12月-2月)期間の既存店売上高については、概ね80%台半ばで推移しており、足許の2月については88.1%であるものの、閏年の前年ハードルが高いことを踏まえれば、期末にかけて再度売上回復を試す局面に入ったとみられます。一方、商業施設の固定賃料減免(歩合賃料については元より発生ハードルに届いていない店が大宗とみられる)期間が終了するほか、前期のシステム投資による償却増、例年にも増して不良在庫の掃き出しが発生するとみられることから、通期で赤字幅が拡大する公算です。

 

不採算店の閉鎖が一巡したことから、会社側では改めて出店に舵を切る方針とみられましたが、現時点での2021年5月期の出退店計画は純増▲9店を想定しており、純減基調が拡大する厳しい状況となっています(年度毎店舗純増数推移▲8店→▲12店→▲7店→▲9店/予)。一方で、当面は新型肺炎禍で全国の商業施設に相当量のテナント募集区画が顕在化しているため、常設型店舗ではなく、pop-upスペースや通常賃貸区画の“つなぎ的な催事売場”としてスポット出店を進め、比較的低廉な家賃で、積もりに積もった在庫商品を捌いていくことになりそうです。

 

また、上述のように常設型店舗が減っていることから、改めて自社ECに注力する方針であり、個店で企画した商品を少ロットで販売し、引き合い次第でECで販売して店舗の在庫リスクを減らすといった取り組みも進めています。実際に棚卸資産残高は1年前との比較で20億円も減少(175億円→153億円)しているものの、これについては店舗数の減少が主要因と解されるため、“ヘルシー”な形での在庫削減が望まれる状況です。

 

財務面については、チチカカ切り離しにともなう際に起こした長期借入金が依然としてのしかかっているものの、2017年12月に日本政策投資銀行を割当先とするA種優先株式15億円を発行していることもあり、自己資本比率は足許でも25%程の水準を維持出来ています。然しながらこのA種優先株の利払い(配当)負担は大変重く、年1.2億円もキャッシュアウトしてしまうことから、前期より普通株は年14円から無配に変更しています。かような状況から、この優先株買入・消却のメドが付かない限りは復配しないとみられ、足許の営業状況を鑑みるに復配は少なくとも3~5年後になるものと考えています。

 

*参考記事① 2020-10-24 1,072円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/回復緩慢で通期赤字圏だが、まさかの出店増も。

 

*参考記事② 2019-10-23  1,080円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/店舗漸減も、エステール出店分は“助け舟”。

 

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