【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(JQS) NT
現在値 1,072円/100株 PER--.- PBR1.11 5月配当(無配) 11月株主優待
書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。
配当基準日は5月末ですが、実績ベースでは無配に転落しています。
ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、優待利回りは約9.32%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で12,000円に増額されますが、こちらの買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質“最有効使用で半額割引券”なので要注意です。
業績を確認していきます。
■2017年5月期 売上高 356億円、営業利益 2.1億円、EPS▲80.3円
■2018年5月期 売上高 341億円、営業利益 3.7億円、EPS 22.4 円
■2019年5月期 売上高 338億円、営業利益 4.4億円、EPS 8.7円
■2020年5月期 売上高 292億円、営業利益▲2.8億円、EPS▲94.1円
■2021年5月期 売上高 (未定)億円、営業利益(未定)億円、EPS(未定)円ce
□2021年8月1Q 売上高 68.4億円、営業利益▲1.5億円、EPS▲26.9円(10/15)
□2021年11月2Q 売上高 130億円、営業利益▲3.0億円、EPS▲36.9円 四e
2020年5月期の売上高は前期比13.6%減の292億円、営業利益は同7億円の損益悪化となる▲2.8億円となり赤字転落となりました。通期の出退店については、出店11に対し閉店14でネット純減3店となり、純減7店を予定していた計画比では出店超過となりました。VV既存店については、昨年秋口の台風や消費増税の影響があったものの、イベントによる集客により2月頃までは概ね前年並みの水準を確保していたものの、3月からは新型肺炎本格化による入居商業施設の閉鎖等もあり、前年の半分からそれ以下の水準に沈んだため、通年均しでは87.9%の水準に留まりました。また、利益面では不良在庫の吐き出しや配送単価上昇、システム更新による原価上昇もあり、施設休業による賃料減額があったとみられるものの、大幅な赤字圏へと転落しています。
進行中の2021年5月期通期の予算については、新型肺炎の影響を見積もることが難しいことから期初段階から未定としています。去る10月15日に開示済の1Qについては、売上高が前年同期比16.9%減の68.4億円、営業利益は同赤転の1.5億円で進捗しています。6-8月の3ヶ月間の既存店売上高は82.7%と低調であり、これは新型肺炎による夏場の帰省自粛により地方イオンモール等の商業施設の集客自体が不調だったことが主な要因とみられます。なお、足許9月単月の同売上は83.2%水準と回復基調とはならず底這いが続いているほか、商業施設の固定賃料減免(元より歩合賃料ハードルには届いていない店が大宗とみられる)期間が終了するため、こうした家賃や人件費の負担の軽い1Qより通期の方が損益自体は大幅に悪化していくものとみられます。
実績期で出退店は計画超となっていることからも推察されるとおり、既に不採算店の閉鎖は一巡しているとみられ、会社側では今後は出店に舵を切る方針です。新型肺炎禍で全国の商業施設にはかなりの量のテナント募集区画が顕在化しているため、pop-upスペースや通常賃貸区画の“つなぎ的な催事売場”としての役回りが期待される状況です。そのため、大家であるディベロッパー側からは館全体の集客も兼ねてかなり有利な賃借料が提示されている可能性も否定出来ず、当社としては積もりに積もった在庫商品を商業施設の高トラフィック区画で売り捌くまたとないチャンスでもあるため、時限的な恩恵ではあるものの事業継続性の一助にはなるものと考えています。
なお、ハンバーガー飲食事業とフードセレクトショップ“こととや”事業については、既に会社分割の上でヴィレッジヴァンガードプレース(VVP)社とし、90%持分をエステールHD(7872)に6.5億円で売却しております。そのため、“こととや”は比較的出店しているようにみられるものの、最早持分法適用会社ですらなく業績への寄与は皆無となっています。そのため、飲食や食物販業態が無くなって業容ウイングが狭くなっていることから、本業のテコ入れが望まれる状況ですが、好調だったイベント企画による集客が新型肺炎禍で難しくなっており、構造的に苦しい状況が続きます。散発的には独自コラボ商品(ポップンミュージック、ゾンビランドサガ、スカパラetc..)のネット販売等の施策を展開するなどしていますが、効果は限定的とみられます。
財務面については、チチカカ切り離しにともなう際に起こした長期借入金が依然としてのしかかっているものの、2017年12月に日本政策投資銀行を割当先とするA種優先株式15億円を発行していることもあり、自己資本比率は足許でも3割強の水準を維持出来ています。然しながらこのA種優先株の利払い(配当)負担は重く、年1.2億円もキャッシュアウトしてしまうことから、実績期より普通株は年14円から無配に変更していますが、その辺は仕方ないところかなと思います。
*参考記事① 2019-10-23 1,080円 NT
【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/店舗漸減も、エステール出店分は“助け舟”。
*参考記事② 2019-10-23 1,080円 NT
リストラ一巡で復調気配、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)。
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