【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/店舗漸減も、エステール出店分は“助け舟”。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(JQS)  NT

現在値 890円/100株 PER62.2 PBR0.85 5月配当11月優待

書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。
配当金は5月に年一回の14円のため、配当利回りは約1.57%となります。

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当と優待を合算した配当優待利回りは約12.8%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で12,000円に増額されますが、こちらの買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質半額券なので要注意です。

業績を確認していきます。
■2016年5月期 売上高 467億円、営業利益▲2.7億円、EPS▲565円

■2017年5月期 売上高 356億円、営業利益 2.1億円、EPS▲80.3円  
■2018年5月期 売上高 341億円、営業利益 3.7億円、EPS 22.4 円  
■2019年5月期 売上高 338億円、営業利益 4.4億円、EPS 8.7円
■2020年5月期 売上高 341億円、営業利益 4.9億円、EPS▲0.9円ce
□2019年11月2Q 売上高 152億円、営業利益▲1.5億円、EPS ▲38.7円(1/10)

2019年11月中間期の売上高は前年同期比3.0%減の152億円、営業利益は同赤字拡大の▲1.5億円での着地となり減収減益となったものの、概ね期初予想水準の数字を確保して着地しました。
上期の出退店については、出店6に対し閉店5でネット純増1店とほぼ計画通りとなったほか、VV既存店については、台風や消費増税の影響があったものの、前年同期比99.6%とまずまずの仕上がりとなりました。引き続き店舗内外でのイベント実施が集客に寄与しているものの、利益面では不良在庫の吐き出しや配送単価上昇、システム更新による原価上昇もあり、赤字が拡大しました。

2020年5月期通期の予算については、期初のものを据え置いており、売上高が前期比微増の341億円、営業利益は同9.7%増の4.9億円を予想しており、連続で2桁(弱の)増益継続を見込んでいます。引き続き不採算店の閉鎖を進めるため、ボトムラインで特損を織り込んでいるものの、VV既存店については好調なイベント企画や催事、限定グッズ(サンリオ等)販売の伸長等により底堅い推移が見込まれるほか、店外でもポップアップ方式による臨時店舗(すとぷりるーむ!、ディック・ブルーナ、DCコミック等)の展開を積極化しているため、全社では増収を確保する見通しです。利益面については、数期前より実施している不採算の店閉鎖による良化要素にくわえ、商品仕入れも個店裁量による部分を減じ、本部による一括仕入れを増やすことで原価低減を図る計画です。なお、3月13日に9ヶ月累計の月次既存店売上高が開示されていますが、概ね100%水準をキープしているため、対予算ではインラインの進捗が確認出来ます。

当社は中期経営計画を開示していませんが、ここ数年は周辺ドメインのリストラによる事業規模のダウンサイジングを進めています。2016年には22億円超の債務超過状態にあったエスニック雑貨販売子会社のチチカカをネクスグループへと売却するために、当社が同社の三者割当増資を23億円分引き受けて備忘価額でネクスに売却し、借金の肩代わりをするとともに、既に親から子へ貸していた20億円の債権についてもタダ同然でネクスに譲渡し、延べ43億円の“壮絶な大出血”によりグループ外に出しています。

 

このチチカカ以外のハンバーガー飲食事業についても、事業分割の上でヴィレッジヴァンガードプレース(VVP)社とし、90%持分をエステールHD(7872)に6.5億円で売却しているほか、本業であるVVの店舗数についても、ここ5年で403店から今上期末時点で347店まで大幅に減じています。ちなみにVVP社は当社持分が10%しかなく、もはや持分法適用会社もないため業績インパクトは皆無ですが、同社が展開する飲食業態のヴィレッジヴァンガードダイナーは依然当社の屋号を掲げて12店を展開しているほか、食品セレクトショップのこととや/Home Comingを当社プロデュース店舗として積極出店しているため、本体店舗が純減傾向にもあるにもかかわらず、“ヴィレッジヴァンガード”のプレゼンスだけは維持することに成功出来ているため、これは良い形のリストラであったと考えています。

 

財務面については、上述のチチカカ切り離しにともなう際に起こした長期借入金が依然重いものの、自己資本比率は3割前後を確保しているため、年14円の配当金はタコ配状態にあるものの、維持可能な配当水準にあると考えています。

 

*参考記事① 2019-10-23  1,080円 NT

リストラ一巡で復調気配、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)。

 

*参考記事② 2015-09-06 1,551円 N/R

傘下のチチカカは債務超過転落へ、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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