リストラ一巡で復調気配、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(JQS)  NT

現在値 1,080円/100株 PER75.5 PBR0.98 5月配当11月優待

書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。
配当金は5月に年一回の14円のため、配当利回りは約1.30%となります。

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元

株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、配当と優待を合算した

配当優待利回りは7.35%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で
12,000円に増額されますが、この買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質

半額券なのでその旨ご注意ください。

業績を確認していきます。
■2016年5月期 売上高 467億円、営業利益▲2.7億円、EPS▲565円

■2017年5月期 売上高 356億円、営業利益 2.1億円、EPS▲80.3円  
■2018年5月期 売上高 341億円、営業利益 3.7億円、EPS 22.4 円  
■2019年5月期 売上高 338億円、営業利益 4.4億円、EPS 8.7円
■2020年5月期 売上高 341億円、営業利益 4.9億円、EPS▲0.9円ce

□2019年8月1Q 売上高 82.3億円、営業利益 1.8億円、EPS 12.0円 
□2019年11月2Q 売上高 158億円、営業利益▲1.4億円、EPS ▲38.9円ce

2019年5月期の売上高は前期比0.9%減の338億円、営業利益は同20.3%増の4.4億円での

地となり、トップラインは予算に届かなかったものの、利益については超過となりました。

出退店については、出店8に対し閉店20(うち直営18・FC2)の純減12となり、この閉店超過

減収の主要因となります。VV既存店については、前期比100.6%とまずまずの仕上がりと

なり、店舗内外によるイベントの集客が奏功したほか、仕入れのコントロールとアウトレット

での不良在庫の吐き出しなども比較的うまくいったため、採算性は良化した模様です。

進行期である2020年5月期の予算については、売上高が微増の341億円、営業利益は9.7%

増の4.9億円を予想しており、連続で2桁(弱の)増益継続を見込んでいます。引き続き不採算

店の閉鎖を進めるため、ボトムラインで特損を織り込んでいるものの、VV既存店については

好調なイベント企画や催事、限定グッズ販売の伸長等により底堅い推移が見込まれるため、

全社では増収を確保する見通しです。利益面については、数期前より実施している不採算の

店閉鎖による良化要素にくわえ、商品仕入れも個店裁量による部分を減じ、本部による一括

仕入れを増やすことで原価低減を図る計画です。

当社は中期経営計画を開示していませんが、ここ数年は周辺ドメインのリストラによる事業

規模のダウンサイジングを進めています。2016年には22億円超の債務超過状態にあった

エスニック雑貨販売子会社のチチカカをネクスグループへと売却するために、当社が同社

の三者割当増資を23億円分引き受けて備忘価額でネクスに売却し、借金の肩代わりをす

るとともに、既に親から子へ貸していた20億円の債権についてもタダ同然でネクスに譲渡

し、延べ43億円の“大出血”によりグループ外に出しています。元より、在庫積み上げ型の

モデルであるVVと、鮮度管理が重要なアパレルのチチカカとでは事業の相性が悪かった

のが原因のひとつと考えられるため、チチカカの切り離しについては理解が出来ます。

 

このチチカカ以外にも、ヴィレッジヴァンガードダイナー等を展開する飲食事業についても、

事業分割の上As-Meエステール(7872)に6.5億円で売却しているほか、本業であるVVの

店舗数についても、ここ5年で403店から直近期末時点で346店まで大幅に減じています。

ただ、VVについても、これまでの勘に頼った仕入れ・在庫管理から、近代的なPOS管理の

導入により在庫回転が効くようになってきており、個店ならではの良さが失われるトレード・

オフの部分はあるものの、明らかな採算性の良化が確認出来ます。オーナー会社だから

こそ出来た部分はありますが、これら一連の大ナタを振ったリストラ策により、本業集中の

効果が徐々に発現してきている点は素直に評価したいと考えています。

 

財務面については、上述のチチカカ切り離しにともなう際に起こした長期借入金が依然重

くのしかかっているものの、自己資本比率は再び3割強の水準まで回復してきているため、

年14円の配当金はタコ配圏にあるものの、十分ねん出が可能であると考えています。

 

*参考記事① 2015-09-06 1,551円 N/R

傘下のチチカカは債務超過転落へ、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)。

*参考記事② 2015-02-05 1,398円 N/R
ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(2769)から長期MAX優待がきました!

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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