【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/催事出店による在庫処分で、損益均衡圏を漂流。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(JQS)  NT

現在値 1,090円/100株 P/E --.- P/B 1.40 5月配当11月優待

書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。

配当基準日は5月末ですが、実績ベースでは無配に転落しています。

 

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、優待利回りは約9.17%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で12,000円に増額されますが、こちらの買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質“最有効使用で半額割引券”なので要注意です。
 

業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。
■2019年5月期 売上高 338億円、営業利益 4.4億円、EPS 8.7円
■2020年5月期 売上高 292億円、営業利益▲2.8億円、EPS▲94.1円

■2021年5月期 売上高 282億円、営業利益 0.3億円、EPS▲18.2円 

■2022年5月期 売上高 (未定)億円、営業利益(未定)億円、EPS(未定)円 ce

◆2022年5月期 売上高 298億円、営業利益 1.0億円、EPS 5.1円 四e

□2021年8月1Q 売上高 59億円、営業利益▲1.1億円、EPS▲22.8円(10/15)
□2021年11月2Q 売上高 134億円、営業利益▲4.0億円、EPS▲54.8円 四e

2021年5月期の売上高は前期比3.3%減の282億円、営業利益は同黒転の0.3億円となり、予算との比較は無いものの赤字幅が縮小しました。1Qは新型肺炎禍による夏場の帰省自粛により地方イオンモール等の集客自体が不調だったこともあり、既存店売上高(SSS)は82.7%と低調だった一方、2Qは「gotoトラベル」等に政策による追い風で91.5%に復調、3Qは緊急事態宣言再発出で83.1%に再度下落、4Q前年ハードルが異常値で155.5%となり、毎月ガタガタだったものの、均しでは96.3%に収まりました。他方、営業利益については商業施設の賃料減免や人件費、旅費交通費の減少によりシステム投資による償却増を飲み込んで黒字を確保しています。

 

進行期である2022年5月期通期予算については、新型肺炎の影響の見極めが難しいことから“未定”としていますが、外部予想では売上高が微増の298億円、営業利益も微増の1.0億円が見込まれています。既開示の期初4ヵ月分のSSSは概ね90%で推移し、10月15日開示の1Qについては、売上高が59.6億円&営業利益▲1.2億円で進捗しています。トップラインについては店舗純減9店がマイナス寄与するほか、新収益基準への移行による減収影響があるものの、好採算のPOP-UPやオンラインが比較的好調に推移していることから、通期で損益均衡圏確保への期待がかかります。

 

毎年毎年不採算店の閉鎖は進んでいるものの、この2022年5月期の出退店も純増▲9店を計画しており、実績期並みに閉める計画です(年度毎店舗純増数推移▲8店→▲12店→▲3店→▲9店)。これは全国の商業施設に空き区画が大量発生しているため、常設型店舗ではなく、POP-UPスペースや通常賃貸区画の“つなぎ的な催事売場”としてスポット出店を進め、比較的低廉な家賃で賃借し、閉鎖店舗の在庫を捌くといったスキームで当座を凌いでいるものとみられます。

 

また、常設型店舗の減少を埋めるべく自社ECの拡充を進めており、実店舗及び催事イベントと融合させるOMO施策を推進しています。実店舗発の企画としては、簡易ステージを有する渋谷本店発でアイドルやyoutuberとのコラボ展開、ルミネ新宿店発ではvtuberや2.5次元俳優コラボを展開するなどしています。また、これら個店企画した商品を少ロットで販売し、引き合い次第でECで販売するといった在庫削減策が採られていますが、棚卸資産残高は1年前との比較で横ばいの157億円となっており、現状では全社在庫へのインパクトは限定的なようです。

 

財務面については、チチカカ売却時の借入金が依然重いものの、2017年のDBJ割当のA種優先株式15億円の寄与が大きく、自己資本比率は足許でも30%程の水準を維持出来ています。但しこの優先株の配当負担は年率8.0%と大変重く、この実質利払いだけで年1.2億円も消失しているような状況です。そのため、損益均衡圏を漂う目下の業績状況では、従来水準の年14円の普通配当の復元は難しく、まずは数円程度の復配が出来るかどうかというところかと思います。

 

*参考記事① 2021-03-24  975円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/A種優先株配当の支払重く、復配かなり先か。

 

*参考記事② 2020-10-24 1,072円 NT

【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/回復緩慢で通期赤字圏だが、まさかの出店増も。

 

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