【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人(東証REIT) OP
現在値 142,100円/100株 P/E 26.5 P/NAV0.89 5月分配 11月分配
丸紅をスポンサーとする総合型。2010にNCIを吸収合併、用途・地域分散を強調。
予想分配金は年2回の合計6,200円配で、分配金利回りは約4.36%となります。
業績を確認していきます。DPUは分割を遡及修正しています*。
■2019年11月期_第32期 営業収益 246億円、経常利益 105.4億円 DPU 3,435円
■2020年05月期_第33期 営業収益 235億円、経常利益 96.3億円 DPU 3,470円
■2020年11月期_第34期 営業収益 239億円、経常利益 96.5億円 DPU 3,119円
■2021年05月期_第35期 営業収益 242億円、経常利益 98.4億円 DPU 3,182円
□2021年11月期_第36期 営業収益 227億円、経常利益 83.3億円 DPU 3,100円ce
□2022年05月期_第37期 営業収益 226億円、経常利益 83.9億円 DPU 3,100円ce
2021年5月期_第35期の営業収益は第34期比1.1%増の242億円、経常利益は同2.0%増の98.4億円で着地し、分配金については同63円増の3,182円と予想比でも52円の上振れとなりました。ます。第34期に取得の成田物流の巡航化や、期初取得の虎ノ門ヒルズ(2%)、虎ノ門PFビル、茨木賃貸住宅などが寄与した一方、既存物件では府中(KDDIビル)の埋め戻し遅れによる減収幅拡大や、想定以上にホテル・商業の戻りが鈍かったため、新型肺炎禍対応用の減収バッファ(▲22.7億円)を食い尽くしました。他方、日立ハイテクビルの売却益18.4億円分割計上されたほか、3月期中取得の京橋イーストの一部寄与により、出来上がりの上振れを確保した格好です。
進行中である2021年11月期_第36期の見通しについては、従来予想を修正しており、営業収益は第35期比5.9%減の227億円(従予:231億円)、経常利益は同15.4%減の83.3億円(従予:84.7億円)に減額した一方、分配金は同82円減となる3,100円と従来予想を据え置いています。本年6月取得のLEVENおおたかの森、加須物流Ⅰ・Ⅱの期中収益の大半が寄与する一方、新型肺炎禍の減収バッファを▲19.5億円見込むほか、日立ハイテクビルの売却益剥落影響も非常に大きく(売却予定のクオーツタワーは含み損)、一過性の穴埋め材料なく減収減益となります。他方、内部留保取崩を第35期比で4億円増やす(13.3億円)ことにより、3,100円の分配金を維持します。
今回公表の翌2021年5月期_第37期については、営業収益が第36期比0.4%減の226億円、経常利益は同0.8%増の83.6億円、分配金は同横ばいの3,100円を予想しています。新型肺炎禍の減収バッファを依然▲17.5億円見込んでおり、第36期比の回復想定幅は僅か2億円となっています。微増益の一方で分配金が据え置かれるのは、内部留保取崩額を12.7億円に減額することに由ります。
当法人の投資論点は日本コマーシャル投資法人を吸収合併した際に生じた内部留保(124億円)の活用にあり、2022年11月期_第38期迄は機動的な内部留保の吐き出しにより3,100円を下限分配金とするほか、運用上振れ時は+αで増配する方針です。期あたり10億円を超える吐き出しで内部留保は減少しているものの、この1年で250億円弱の物件を売却し、38億円の含み益を顕在化させてきたことから、当面は内部留保活用とこの物件入替の“合わせ技”で分配金を維持するものとみられます。
なお、当法人の最大のネックであったホテルのPF比率は21%まで低下しているものの、ワクチン普及時の収益の戻りが鈍くなった点や、現在の株価水準で弾かれるNAV倍率は0.8倍と低位であり、増資による外部成長が当面出来ない状況点は割引いて評価する必要があります。
*参考記事① 2021-03-27 148,900円 OP
【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人/下限分配金3,100円の設定で安心感が醸成。
*参考記事② 2020-10-23 118,600円 OP
【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人/翌期の急回復前提は過大、売却と内部留保活用が論点。
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