【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人(東証REIT) OP
現在値 148,900円/100株 P/E 25.5 P/NAV0.93 5月分配 11月分配
丸紅をスポンサーとする総合型。2010にNCIを吸収合併、用途・地域分散を強調。
予想分配金は年2回の合計6,230円配で、分配金利回りは約4.18%となります。
業績を確認していきます。DPUは分割を遡及修正しています*。
■2019年05月期_第31期 営業収益 272億円、経常利益 124.1億円 DPU 3,661円
■2019年11月期_第32期 営業収益 246億円、経常利益 105.4億円 DPU 3,435円
■2020年05月期_第33期 営業収益 235億円、経常利益 96.3億円 DPU 3,470円
■2020年11月期_第34期 営業収益 239億円、経常利益 96.5億円 DPU 3,119円
□2021年05月期_第35期 営業収益 242億円、経常利益 96.8億円 DPU 3,130円ce修正
□2021年11月期_第36期 営業収益 231億円、経常利益 84.7億円 DPU 3,100円ce
2020年11月期_第34期落着の営業収益は第33期比1.6%増の239億円、経常利益は同0.2%増の96.5億円で着地し、DPUについては同351円減の3,119円となりました。期初予想から一転して増収増益となり、当初2,300円まで大減配を予想していたDPUも予算比では大幅増配となりましたが、第33期計上の圧縮積立金とRTA取崩しが剥落したため前期比では減配となっています。第33期取得9物件(1物件売却)による上乗せがあったもののの、新型肺炎影響継続でホテル・商業施設の固定・歩合賃料の剥落が痛打となりました。それでも懸案だった稼働率0%の日立ハイテクビルのリテナント→売却に成功し、売却益が向こう2期に渡って計上されるため、期当たり18.4億円もの収益押し上げ効果が発生し、トータルでは増収増益を作った格好となります。
進行中である2021年5月期_第35期の見通しについては微増額しており、営業収益は第34期比1.1%増の242億円(従予:239億円)、経常利益は同1.1%増の96.8億円(従予:95.9億円)に修正したほか、DPUについても同11円増となる3,130円(従予:3,100円)を予想しています。第34期に取得した成田物流の巡航化や、期初取得の虎ノ門ヒルズの2%持分、虎ノ門PFビル、茨木賃貸住宅などがオンされる一方、既存物件では府中(KDDIビル)の埋め戻し遅れによる減収幅が拡大するほか、新型肺炎によるホテル・商業物件の減収バッファを第34期並の▲22.7億円程を改めて織り込んでいます。そのため既存物件の減収を新規取得で補えないものの、上述の日立ハイテクビルの売却益が当期にも18.4億円分割計上されるため、出来上がりの数字自体は増収増益となります。
なお翌2021年11月期_第36期については、営業収益が第35期比4.3%減の231億円、経常利益は同12.5%減の84.7億円、DPUは同30円減の3,100円を予想しています。大幅な減収減益見込みとなるのは、前2期に渡って連続計上された日立ハイテクビルの売却益が剥落することが主要因であり、新型肺炎影響の一部収束を見込むものの、ホテル収入については第33期並みの水準で想定しているため穴埋めも限定的となります。
当法人の投資論点としては、日本コマーシャル投資法人を吸収合併した際に生じた豊富な内部留保(125億円)の活用方針ですが、今次決算で会社側は2022年11月期_第38期までは運用状況のいかんによらず、DPU3,100円を下限分配金として設定したほか、実態が上振れした場合は積み立てずにそのまま吐き出す方針が明らかになりました。そのため、ポートフォリオの25%をホテルが占めるため、収益がボラタイルになりやすいものの、本分配方針によりかなりの安心感が醸成されたもののと考えています。
*参考記事① 2020-10-23 118,600円 OP
【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人/翌期の急回復前提は過大、売却と内部留保活用が論点。
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