【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(東証STD) NT
現在値 1,052円/100株 P/E 52.9 P/B 1.12 5月配当 11月優待
書籍をはじめCD、雑貨、食品等も取り扱う複合小売店を展開。
配当基準日は5月末ですが、無配に転落しており、配当予想も未定となっています。
ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは株主優待制度を導入しており、11月末の単元株主に対して、10,000円分の買い物券を進呈しておりますので、優待利回りは約9.50%となります。なお、1年の継続保有で進呈額が11,000円、同2年で12,000円に増額されますが、こちらの買い物券は2,000円につき1,000円分が使用可能な実質“最有効使用で半額割引券”なので要注意です。
業績を確認していきます。2022年5月期から新収益基準に移行しています。
■2020年5月期 売上高 292億円、営業利益▲2.8億円、EPS▲94.1円
■2021年5月期 売上高 282億円、営業利益 0.3億円、EPS▲18.2円
■2022年5月期 売上高 267億円、営業利益 3.5億円、EPS▲0.5円
■2023年5月期 売上高 288億円、営業利益 4.2億円、EPS 19.8円 ce
□2022年11月2Q 売上高 116億円、営業利益▲1.7億円、EPS▲35.8円(1/31)
2022年11月中間期の売上高はYoY▲2.7%の116億円、営業利益はYoY+0.7億円の▲1.7億円となり、対前で減収増益・対予算は減収減益となりました。既存店売上高(SSS)は月により凹凸があるもののハードルの低い前年と同水準に留まったたため、店舗数の純減分だけ減収しました。POP-UP事業は大幅増となったものの、ヒット商品が乏しかったオンライン事業が低調でした。利益面についても、売上減による悪化分だけでなく、時給単価増等による人件費増が響き、赤字が継続しました。
なお2023年5月期の通期見通しは期初予想を据え置いており、売上高がYoY+7.7%の288億円、営業利益YoY+21.2%の4.2億円を見込んでいます。前期の純減16店がマイナス寄与するだけでなく、進行期も期初想定より多い純減13店を見込んでいるため、店舗網は更に縮小します。また既開示の9ヵ月分のSSSについては、下期に入って悪化基調を辿って90%台後半に後退している状況のため、未達の公算が極めて高い状況です。
近年の当社は不採算店の閉鎖を加速させており、直営店舗数は300店を割り込む公算です(2Q末時点で310店体制)。イオンモールを中心とした全国の商業施設に空き区画が続出したことから、非常設店舗であるPOP-UPスペースや通常区画の“つなぎ的な催事売場”でスポット的に出店を進め、歩合賃料で機動的な出店と在庫処分を進めてきました。然しながら、足許の“経済再開”下においては新型肺炎禍よりも賃貸条件が悪化(トラフィックの弱い区画、賃料上昇)しているものとみられます。
実店舗を閉鎖する一方で自社ECの拡充を進めており、実店舗及び催事イベントと融合させるOMO施策を推進しています。ステージを有する渋谷本店でアイドルやyoutuberとのコラボ企画を実施するほか、旗艦店の植田本店・下北沢・mozo・コクーンシティ・レイクタウン等でも店舗独自の企画商品を販売していますが、商流が異なることの多いVtuberへのシフト傾向も相俟って、ヒット作に恵まれていないような状況です。
財務面については、チチカカ売却時の借入金が全く減っていないものの、2017年のDBJ割当のA種優先株式15億円の寄与が大きく、自己資本比率は30弱の水準を維持しています。但し、この優先株の配当負担は年率8.0%と非常に重く、年1.2億円の利払いがあることから、仮に黒字化しても配当は当面見送られる見込みです。
*参考記事① 2022-11-07 1,077円 NT
【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/催事構成比増で採算性は改善、復配まだ先か。
*参考記事② 2021-10-18 1,090円 NT
【2769】ヴィレッジヴァンガードコーポレーション/催事出店による在庫処分で、損益均衡圏を漂流。
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